コロナ 【1973,1974,1975,1976,1977,1978】

安全&環境性能を磨いた実直な5代目

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ライバルとは異なるモデル戦略

 1973年8月、トヨタは5世代目となる新型コロナを発表した。先代から3年6か月の期間を経ての新型で、基本的には旧型モデルの順当な発展型と言える内容となっていた。
 5世代目となったコロナは、長年ライバル関係にあり、一時はBC戦争とさえ言われた日産ブルーバード系とは明確な路線の違いを見せていた。ブルーバードがイメージリーダーとして2.0Lクラスの直列6気筒エンジンを登場させたのに対し、コロナは主力となるエンジンを1.8リッター・クラスの直列4気筒としたのだ。6気筒エンジンは一クラス上に位置するマークⅡに任せた格好でラインアップしていなかった。コロナ・シリーズは新型になってシャシーやボディは確実に拡大された。しかし、それは居住性を向上させるための必要最小限と言えるものであり、同じ時期にデビューしたブルーバードUの6気筒モデルとはホイールベースで150mm、全長では210mmも短くなっていた。

安全&環境への積極的な取り組み

 第5世代のコロナが目指したのは、厳しさを増す安全規制と、排気ガス浄化規制への対応だった。5世代目のボディは、全幅を拡大することで横転時の安全性を高めていた。客室部分を強固な構造とし、相対的にエンジンルームとトランクスペースをクラッシャブル・ゾーンとすることで衝突時の衝撃を和らげる手法も採用している。この当時話題を呼んだESV(安全実験車)の考え方を量産車に応用したわけだ。2ドアハードトップに敢えてノッチバック形式を採用していたことも安全重視設計の表れだった。ボディタイプは4ドアセダン、2ドアハードトップ、5ドアバンとなっていた。

先進の「OKモニター」を上級車に装備

 第5世代コロナは「OKモニター」と呼ぶクルマの健康管理システムを装備していた。OKモニターは主要な部品の機能をつねにチェックし、異常が生じた場合に警告を与える故障診断装置だった。現在では一般的なシステムだが、日本車ではコロナが初採用。国際的に見てもコロナは先駆だった。1800GLと2000GTの2グレードに標準装備され、SLグレードではオプションで選べた。OKモニターが見守るのはブレーキ関係(パッド摩耗量&バキューム&フルード量)、液量関係(エンジンオイル&ラジエター冷却水&バッテリー液&ウォッシャー液)、灯火関係(ヘッドランプ&テールランプ&ブレーキランプ&ナンバープレートランプ)の全11項目。異常箇所を感知するとOKモニター内の警告ランプが点灯する仕組みで、ドライバーは愛車のコンディションをリアルタイムで知ることができた。

トップグレードは走りを磨いた2000GT

 搭載されるエンジンは多彩を極めた。5世代目のコロナでは経済性重視の1.6Lが一種(100ps)、中核となる1.8Lが2種(105ps/110ps)。そしてスポーティ系向けの2.0Lが3種(130ps/140ps/145ps)もあった。最上級モデルはセリカと共通のDOHCエンジンを搭載した2000GTである。トランスミッションはマニュアル型が3速コラムシフトおよび4速/5速フロアシフトの3種、オートマチックは2速コラムシフトと3速および3速EAT(電子制御付き)があった。これだけを見ても、ユーザー層の広さが分かる。サスペンションは前がダブルウィッシュボーン/コイルスプリング、後が半楕円リーフ/リジッドアクスルとオーソドックスなデザインとなっていた。価格は最廉価版である1600スタンダード・セダンの55万8千円から2000GTハードトップの114万円までと、これまたワイドレンジとなっていた。
 カローラの上級車種として、マークⅡまでの広いモデルレンジを埋めなければならないポジションに在ったコロナは、それだけに十分吟味された内容と多用途性を併せ持ったモデルとなっていた。それは同時に最もトヨタ的な万人向けのクルマでもあった。