トヨタデザイン7 【1976,1977,1978,1979】

空力性能の向上と個性化が際立った1970年代後半

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“The Quality Car”を標榜した3代目マークII

 1970年代後半のトヨタ自動車工業は、厳しさを増す排出ガス規制への対応や安全性の引き上げを図る一方、車両デザインの刷新にも力を注ぐ。意図したのは各モデルの個性の強調と空力特性の向上。また、来るべき1980年代のライフスタイルを先取りする進歩的なスタイルの創出を目指した。

 1976年12月には、高級オーナーカーであるマークIIの全面改良を実施する。キャッチフレーズに“The Quality Car”を掲げた3代目は、内外装や走りの演出など、従来モデルよりも上級指向で仕立てた点が特徴だった。エクステリアは直線を活かしたロングノーズ&ロングデッキのフォルムを基調に、メッキ枠の立派なグリルや丸目2灯式のヘッドライト、後方にいくに従ってなだらかにすぼまっていく流麗なサイドライン、精悍な印象を持たせたリアビューなどで新鮮かつ上質なイメージを演出する。ボディタイプは4ドアセダン/2ドアハードトップ/ワゴン(バン)を設定した。一方のインテリアについては、各機能部を明確に分けたインパネに視認性に優れたメーター造形、サポート性を高めたうえで質感を向上させたシートなどを配して快適かつ高機能な室内空間を創出する。

2代目カリーナはシンプルかつシャープな造形で演出

 1977年8月になると、スポーティファミリーカーのカリーナが2代目に移行する。ボディタイプは2/4ドアセダンと2ドアハードトップを設定し、全タイプともに直線基調のシンプルなスタイルに一新。同時に、セダンはノッチバックの精悍なフォルムをベースに広いガラスエリアやシャープなサイドラインなどを、ハードトップはルーフからリアクォーター部にかけての流れるような連なりや鋭くカットしたフルオープンウィンドウなどを採用し、それぞれの個性を際立たせた。内装に関しては、インパネおよびドア上端のラインを低く抑えて広い視界を創出したことがトピックとなる。また、メーターパネル部とセンター部を一体化させたインパネ造形やシックなカラーコーディネーション、厳選した内装素材などで上質感を演出した。

 シャシー関連については、従来の特性である“足のいいやつ”を基本に、走行安定性や操縦性などのレベルアップを図る。また、マウント部のゴムブッシュの徹底改良や遮音材の増設を行い、室内に侵入する振動や騒音を大幅に低減した。

エアロダイナミックフォルムを纏った新スペシャルティ

 2代目カリーナのデビューと同時期、基本メカを共用するセリカも第2世代に切り替わる。ボディタイプは従来と同様に2ドアクーペと3ドアリフトバックを設定。ともにスラントしたノーズや三次曲面のウィンドウグラフィック、空気力学を追求したボディラインなどで仕立てた“エアロダイナミクス”フォルムを採用する。メーカーでは「答えは風の中に−−」というキャッチコピーを冠して、2代目セリカの先進的な空力ボディを強調した。一方、内装デザインについても工夫が凝らされる。室内空間自体は三次曲面のサイドガラスを導入した効果でショルダー幅が拡大し、オーバル形状のキャビンスペースを創出。また、内装色をライトブラウン/ブルー/ブラックの3タイプでカラーコーディネートしてスペシャルティ感を盛り上げた。

上級スペシャルティ、そして4代目カローラの誕生

 1978年4月になると、2代目セリカをベースとする6気筒エンジン(4M-EU型/M-EU型)搭載の“グランドツーリングカー”「セリカXX」が市場に放たれる。ボディについてはリフトバック仕様をベースに、フロントノーズを210mm、ホイールベースを130mm、全幅を15mmほど拡大。同時に、落ち着きのある角型ヘッドランプや2000GTを彷彿させるT型グリル、横長で立体感のあるリアコンビネーションランプ、七宝製の“XX”エンブレムなどを装着し、上質でスポーティなスタイリングに仕立てた。インテリアに関しては、高性能車にふさわしい豪華で高級な雰囲気を演出。ファブリックやコノリーレザーのシート地にランバーサポートアジャスター付きの運転席、オートエアコン/オートドライブ/パワーウィンドウなどのアイテムを装備する。さらに、エンジンルームとキャビンの間の遮音材を増やすなど、静粛性の向上にも力を入れた。

 上級モデル群に続き、量産ファミリーカーのカローラも1979年3月に全面改良を実施する。「総合性能に優れた、80年代をリードする高級大衆車」の実現を開発テーマを掲げた4代目カローラは、車両デザインについて流行に左右されないスタイルと価値の創造を画策。最終的にフードとベルトラインを低くした直線的でシャープなウエッジシェイプを生み出し、これを“スーパーシェイプ”と呼称した。ボディタイプは2/4ドアセダン、ハードトップ、クーペ、リフトバックという5タイプを設定する。