スカイライン 【1998,1999,2000,2001】

“THE BEST DRIVING PLEASURE”を掲げた10代目

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10代目は“スカイラインらしさ”を再構築

 バブル景気の崩壊による経営の悪化から立ち直るために、事業の再生に邁進していた1990年代後半の日産自動車。その一環として開発現場では、ニューモデルの企画に懸命の汗を流す。なかでも同社のイメージリーダーに位置するスカイラインの次期型に関しては大いに力が入れられ、あらゆる面において「スカイラインらしさ」の具現化を目指す方針が打ち出された。

 新型の基本理念として掲げられたのは“意のままに操る走りの楽しさ〜THE BEST DRIVING PLEASURE”の創出。具体的には、走りの楽しさを予感させる精悍なデザイン、卓越した走行性能、走りの楽しさを支えるトップレベルの安全性、環境への徹底した配慮をテーマに開発が進められた。

“DRIVING BODY”を謳って市場デビュー

 10代目となる新型スカイラインは、日産の新たな経営指針である「グローバル事業革新」を発表したのと同時期の1998年5月に市場デビューを果たす。型式はR34で、4ドアスポーツセダンと2ドアスポーツクーペの2タイプを設定。キャッチコピーには“DRIVING BODY”を冠し、高次元の動的剛性感のあるボディを実現したことを声高に主張していた。

 基本骨格については、旧型比で55mm短縮したホイールベース(2665mm)に引き締まったボディ、リアクロスメンバーおよびリアスプリングサポート周辺の強化などを実施して運動性能に優れる高剛性の車体構造を構築する。また、4輪マルチリンク式のサスペンションは取付部の強化を図りながら、運動性能シミュレーションやテストドライバーによる徹底的な走り込みによって各部品の特性を最適化した。さらに、ターボ車には改良版の電動SUPER HICASや225/45ZR17サイズのハイグリップタイヤを組み合わせる。一方で制動機構には、大容量ブレーキ&大型ブレーキブースターやABS、ブレーキアシストをセットした。

パワーユニットは新世代6気筒

 搭載エンジンは専用チューニングを施したターボ付きのRB25DET型2498cc直列6気筒DOHC24V・NVCS(280p)と自然吸気のRB25DE型2498cc直列6気筒DOHC24V・NICS+NVCS(200ps。2WD車はLEV仕様)、そしてリーンバーン化したRB20DE型1998cc直列6気筒DOHC24V・NICS+NVCS(155ps)という3機種のNEOストレート6をラインアップする。トランスミッションには新開発のE-Flowトルクコンバーターを導入したワイドレンジロックアップ式の4速AT“E-ATx”とマニュアルモードを備えた4速AT“デュアルマチックM-ATx”、そして1/2/3/5速ギアにショットピーニング加工を施したうえで1/2/3速にダブルコーンシンクロを導入した5速MTを設定。駆動方式はFRの2WDとアテーサE-TSの4WDを用意した。

 外装デザインに関しては、鋭い目つきのヘッドランプにバンパー一体型フロントグリル、メリハリのあるシャープさを表現したサイドビュー、強靭な足腰を連想させるリアフェンダー、躍動感と斬新さを主張する大小の丸型4灯式リアコンビネーションランプ、ウイング形状のリアスポイラーなどによって新世代スカイラインならではの力強さと美しさを表現する。インテリアについては、高揚感とクルマとの一体感を感じさせるスポーティかつ機能性に富むコックピットデザインを採用。前席にはフィット感と心地いい着座感が味わえるモノフォルムスポーツシートを装備した。

結果的に最後の国内専売モデルに−−

 R34系スカイラインは発売後1週間で月販目標の5000台を超える5072台の受注を記録するなど、上々のスタートを切る。また、1999年1月には究極のドライビングプレジャーを目指して開発したBNR34型GT-Rがデビューし、市場でのスカイラインの注目度はいっそう高まった。

 このまま勢いに乗るかに見えた10代目スカイライン。しかし、RV人気に押されるなどして販売台数は次第に低迷していく。また、日産本体は1999年3月にルノーの資本参加を含むグローバルな提携契約に調印。同年10月には「リバイバルプラン」と称する抜本的な改革案を発表した。ドラスティックな組織改革やコストカットが行われるなか、スカイラインの開発陣は知恵を絞った改良を画策し、1999年8月にはヘリカルLSDの採用を、2000年1月には2ドアスポーツクーペに上級モデルの25GT-Vの追加を、2000年8月には内外装の一部変更やRB25DETエンジン+5速MT車のトルクアップなどを実施したマイナーチェンジを行う。

 一方でリバイバルプランの一環により村山工場の閉鎖が決定され、スカイラインの生産は2000年10月より栃木工場に移管された。そして、2001年6月にはV6エンジンを載せる新世代のFMパッケージを採用した海外ではインフィニティを名乗る11代目のV35型系へと移行(BNR34型GT-Rは2002年8月まで生産)。結果的にR34型は、直6エンジン搭載した国内専売モデルの最後のスカイラインとなったのである。