ランドクルーザー80 【1989,1990,1991,1992,1993,1994,1995,1996,1997】

フルタイム4WDに進化した世界最強オフローダー

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世界の頂点に立つプレステージ4WDの登場

 ランドクルーザーの大型モデル80シリーズは、まさに“陸の巡洋艦”という表現がぴったりのスーパー4WDだった。60シリーズの後継として1989年10月にデビューした。
 ラインアップは、3955ccの直6OHVガソリン(155ps/29・5kg・m)を搭載したワゴンと、バンの2シリーズ。バンのパワーユニットは4163ccの直6OHCディーゼルのターボ(165ps/37kg・m)と自然吸気(135ps/28・5kg・m)から選べた。ワゴンは3ナンバー登録、商用車となるバンは1ナンバー登録である。乗車定員は3列シート仕様のワゴンが8名、バンは5名だった。

 パワーユニットは、ワゴン用のガソリンは旧型の60シリーズから踏襲。バン用ディーゼルは新開発で、回転の滑らかさ、静粛性はガソリンと同等。パワー(とくにターボ仕様の場合)や燃費はガソリンより圧倒的に優れていた。日本ではバンの自動車税がワゴンより大幅にリーズナブルなこともあって、販売の主力はバンだった。
 全長×全幅×全高4820mm(背面タイヤ装着車4970mm)×1900×1900mm(ワゴン)の堂々たる体躯は、日本以上に北米やオーストラリア、中東など世界のマーケットを意識したもの。ボディスタイルはオーソドックスなステーションワゴン・イメージでまとめられ、あえて強い主張や個性はなかった。しかしサイズ自体が伸びやかなこともあり強い存在感の持ち主といえた。
 ランドクルーザー80は、日本では三菱パジェロや、いすゞビッグホーンのさらに上をいくフラッグシップ4WDとして、海外ではレンジローバーやメルセデス・ベンツGクラスをライバルとするタフでプレステージな存在として、高い人気を獲得する。

全地球対応、信頼のフルタイム4WD搭載

 ランドクルーザー80の特徴は、4WDシステムを刷新した点にあった。60シリーズのセレクティブ方式から、ベースグレードを除きセンターデフを持つフルタイム4WDへと進化している。センターデフが前後輪の回転差を吸収することでオンロードでのタイトターン・ブレーキング現象を解消。またドライバーが路面状況を判断して4WDに切り替える必要がないため、つねに高水準の走破性と安定性を享受できるようになった。トランスミッションはローレンジを備えたトランスファー機構付きの4速ATと5速MTの2種。ワゴンとバンの上級グレードではATのみが組み合わされた。

 足回りは前後コイルスプリング仕様のリジッド方式。上級グレードのブレーキは4輪ベンチレーテッドディスクである。
 ランドクルーザー80の走破性は圧倒的だった。道と名のつくところはどこでも、さらに砂漠や山奥に分け入っても信頼できる世界最強のツールといえた。とくにオプションのデフロック機構を装備したモデルは、それこそドライビングスキルさえあれば、地球上のどんな場所も走れる4WDだった。

サルーン並みの快適性。ワゴンのパワーユニットを一新

 ランドクルーザー80は、圧倒的な走破性を上級サルーン並みの快適性とともに実現した点が個性だった。たっぷりとしたサスペンションストロークを持つ足回りは、路面の不整を適切に吸収。優れた乗り心地を示した。オートACをはじめ空調やオーディオなどの装備も一級品。ランドクルーザー80の室内は、外界とはっきり隔絶された快適空間だった。しかも信頼性は抜群。この点では間違いなく世界最高水準に達していた。

 ランドクルーザー80は、1992年1月にワゴンのパワーユニットを新開発の4476ccの直6DOHC24Vガソリン(215ps/38.0kg・m)に積み替え、走りにさらに磨きをかける。同時に本革シートの新設定やアルミホイールの形状を変更するなど完成度を高めた。ランドクルーザー80は、4WDをオフロードのクルマから、オンロード/オフロードを問わずにどこでも安定して走れるオールラウンダーに変えたエポックモデルだった。日本が世界に誇る名車である。

パリダカ市販無改造クラスで大活躍

 ランドクルーザー80のタフさと高水準の総合性能は、日本で「パリダカ」として知られているダカールラリーでも実証されている。多くのプライベーターが、マシンにランドクルーザーを選んでいるのはもちろん、1995年からは、ランドクルーザーの生産を手がけるトヨタ車体が「チーム・アラコ」(現チーム・ランドクルーザー)として市販無改造ディーゼルクラスに参戦している。80で初参戦の1995年はクラス4位、翌1996年には2台体制で挑戦、見事クラス1−2位に輝いた。その後1998年にもクラス1−2位を飾るなどランドクルーザー80の優れたパフォーマンスを世界に印象づけた。