ラクティス 【2005,2006,2007,2008,2009,2010】

2代目ヴィッツから派生したハイトワゴン

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次世代コンパクトハイトワゴンの開発

 21世紀に向けた新世代コンパクトカーのヴィッツやハイトワゴンのファンカーゴの大ヒットによって、コンパクトカークラスのシェアを大きく高めていた2000年代前半のトヨタ自動車。開発現場では、2000年代後半に向けたコンパクトカーの創出に精力を傾ける。そして、2005年2月には新プラットフォームを採用した2代目ヴィッツを市場に放った。

 基本的に初代モデルのコンセプトをキープしたヴィッツ。対して派生モデルのファンカーゴは、コンパクトハイトワゴンとしての特性にいっそうの磨きをかけると同時に、スタイリッシュさも追求する方針を打ち出す。開発テーマは“高速大容量スタイリング”と制定。また、車名についても一新する旨を決定した。

デザインと広くて使いやすい室内空間を両立

 次世代ハイトワゴンのプラットフォームについては、ヴィッツ用を基本にホイールベースを2550mmまで延長し、有効なフロアスペースを確保する。懸架機構には専用セッティングを施した前マクファーソンストラット、後トーションビームをセットした。組み合わせるボディは、トヨタ車のデザインフィロソフィである“VIBRANT CLARITY(活き活き、明快)”を基本にワンモーションフォルムの伸びやかなスタイルで構成。また、シャープなデザインのフロントノーズや面を三角形に削ぎ落としたエンジンフード、フロントグリルと一体化させたワイドバンパー、タイヤを四隅に配置したうえで大きく張り出させたホイールアーチ、角度をつけたリアエンドなどで個性を打ち出した。

 インテリアは、ロングホイールベースとワイドトレッド、低床フロアによってゆとりのあるキャビン空間とラゲッジスペースを創出する。さらに、簡単な操作で後席を格納できる6対4分割ダイブインシート(2WD)/6対4分割ダブルホールディングシート(4WD)を設定した。キャビン自体はセンタークラスターからメーターフード、ドアトリムへとつながるラウンディッシュな造形により包まれ感を演出。同時に、素材および座り心地のよさにこだわったシートやオプティトロンメーターなどを組み込んで上質感を演出する。クラストップレベルのガラス面積を有するパノラマルーフを設定して乗員の開放感を引き上げたことも、新ハイトワゴンのトピックだった。

 搭載エンジンは高性能と低燃費を両立させた改良版の1NZ-FE型1496cc直4DOHC16V・VVT-iと2SZ-FE型1296cc直4DOHC16V・VVT-iの2機種を採用する。駆動方式は1NZ-FE型と2SZ-FE型に2WD(FF)を、1NZ-FE型に4WDを設定。トランスミッションは2WDにSuper CVT-iを、4WDにSuper ECT(4速AT)をセットし、1NZ-FE型エンジンの2WDと組み合わせるSuper CVT-iには新開発のACTIVE CVT(パドルシフト付7速スポーツシーケンシャルシフトマチックとCVT SPORTモードを設定)を導入した。

発売から1カ月間で月販目標の3倍を受注

 トヨタの新しいコンパクトハイトワゴンは、“Runner with ACTIvity&Space”(アクティブな走りと広い室内空間をあわせ持つクルマの意)の略である「RACTIS(ラクティス)」と命名され、2005年10月に市場デビューを果たす。キャッチコピーは「いまクルマにも高速大容量の気持ちよさを」。グレードはベーシック仕様のX/X・Lパッケージ、上級モデルのG/G・Lパッケージ/G・パノラマパッケージ/G・Lパノラマパッケージ/G・Sパッケージで展開した。

 発売から1カ月間で月販目標7000台の3倍となる約2万1000台を受注して好スタートを切ったラクティスは、その新鮮度を失わないよういくつもの特別仕様車を設定する。そして、2007年12月にはスポーティなイメージを強調するとともに車格感を向上させた内外装のマイナーチェンジを実施。イメージキャラクターには新たに綾瀬はるかさんとゆずが起用され、CMソングに使われたゆずの『ストーリー』が話題を集めた。

 コンパクトハイトワゴンの定番モデルに成長したラクティスは、デビューから5年超が経過した2010年11月に全面改良が行われ、2代目のP120型系に移行する。従来のファンカーゴ→ラクティスのように車名が変わらなかったのは、それだけラクティスがハイトワゴンのネーミングとして市場に浸透していたからだった。