日産ECO04 【2010,2011,2012,2013,2014】

ゼロエミッションEVを世界に先駆け量産化!

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量産EVの第1弾として5ドアHBの「リーフ」を発売

 地球温暖化の主要因とされるCO2の排出量削減は、自動車業界が取り組まなければならない緊急課題となっている。その具体策として日産自動車は、ゼロエミッションビークルとなる電気自動車(EV)の研究開発を推進。2010年12月には、初の量産型EVとなる「リーフ」を発売した。

 動力源には80kW/280Nmのパワー&トルクを発生する最新の交流同期モーターを前置きで搭載し、前輪を駆動する。電池は最新タイプのラミネート型リチウムイオンバッテリーで、90kW以上の出力を発生。さらに協調回生ブレーキシステムとの組み合わせによって、1回のフル充電で200kmの航続距離(JC08モード)を可能とした。充電に関しては、急速充電器使用時で電池容量0%から80%までの充電を約30分でこなし、さらに家庭での充電時間も200Vの普通充電で電池容量0%からフル充電までを約8時間で果たす。また、リーフにはEV専用のICT(Information and Communication Technology)システムを装備。ドライビングサポート機能のほか、タイマー充電&タイマーエアコン設定や充電スポット案内などの機能を内蔵した。

 車両パッケージは、コンパクトな新型リチウムイオンバッテリーをフロア下に配置したうえで、独創性あふれる5ドアハッチバックのボディを構築する。デザインにも工夫を凝らし、スタイリングは“スマート・フルディティ(賢い流動体)”を基本テーマにクリーンなイメージと知性を感じさせるルックスを創出。インテリアについては、“シンプル・ヒューマン”をコンセプトに先進的で明朗なイメージに仕上げた。また、メーターには専用のツインデジタルタイプを採用。上部は速度やECO運転、下部はバッテリー残量や航続可能距離などを表示する。さらに、バイワイヤシステムによるシフトのノブにはマウスタイプを取り入れ、軽い操作での変速を実現した。

近距離移動を想定した2名乗り小型EVの開発

 日産は2010年11月になると、高齢者や単身者世帯の増加といった社会的背景、および乗用車の近距離移動・少人数乗車の使用実態に着目した移動手段の提案形である都市型EVの「ニューモビリティ・コンセプト」を公開する。動力レイアウトは、交流インダクションモーターを横置き搭載して後輪を駆動し、蓄電池としてリチウムイオンバッテリーをセット。ボディ骨格は軽量スチールで仕立てられ、被せるボディパネルには強化プラスチックをメイン素材として採用した。車重は約470kgで、最高速度は約80km/h、航続距離は約100kmに達する。充電ケーブルを収めるボックスは、最も扱いやすい位置といえるフロント部に配置した。

 キャビンスペースはタンデム型の2シーターレイアウトを基本に、一般的なクルマと同様の操作系アイテムを装備する。サイド部は開放感があり、かつ乗り降りに優れるオープン形状を導入し、跳ね上げ式のシザーズドアを組み付けることも可能とした。
 ニューモビリティ・コンセプトは2011年9月に国土交通大臣の認定を取得し、横浜市との協同による「ヨコハマ・モビリティ・プロジェクト・ゼロ」(YMPZ)などでの実証実験を始める。そして、公道走行テストを通じて各種データを収集しながら進化の歩みを続けていった。

グローバル展開の量産EV第2弾はNV200がベース

 2014年10月には初の多目的商用バン/ワゴンEVとなる「e-NV200」が発売される。動力源には80kW/254Nmのパワー&トルクを絞り出す交流同期モーターを搭載し、電池にはラミネート型リチウムイオンバッテリー(総電力量24kWh)をセット。さらに専用セッティングの協調回生ブレーキシステムなどを組み込み、1回のフル充電での航続距離はJC08モード走行で185(7名乗りワゴン)〜190km(ルートバン)を実現した。充電に関しては、急速充電器使用時で電池容量0%から80%までの充電を約30分で、家庭での充電時間も200Vの普通充電で電池容量0%からフル充電までを約8時間でこなす。

 日産の開発陣はe-NV200に新たな機能も持たせた。電力供給装置としての役割だ。“パワープラグ”と称する電源システムは、最大負荷1500Wの容量を確保。電力消費の目安としては、1000Wで約8時間の使用を可能とする。工事現場などでは騒音を伴う発電機を使用することなく電気機器がスマートに使え、また万一の災害時の電源としても幅広く活用できるこのパワープラグは、EVの使用パターンに“走る蓄電池”という新たなキャラクターをもたらしていた。