スタンザ 【1986,1987,1988,1989,1990】

ラグジュアリーな性格を強めた3代目

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さらなる上級化を目指して−−

 バイオレットの基本コンポーネントを使用し、日産サニー系販売店向けに内外装をラグジュアリーに仕立てて市場に放たれたスタンザ。第2世代のT11型系から駆動システムをFFに一新した同車は、1980年代後半に向けてのフルモデルチェンジ企画が進行する。
 第3世代スタンザを企画するに当たり、開発陣は「高級感と上品さを備えたラグジュアリーサルーン」とすることを基本コンセプトに掲げる。シャシーはT12型系のオースター(1985年10月デビュー)を流用。その上に被せるボディは、4ドアセダンに一本化した。外装に関しては「高い品位とセンスの良さを訴えるエレガントなスタイル」をテーマに、洋上のクルーザーをイメージさせるフロントエンドや開放感あふれるキャビンを演出するラップラウンド・リアウィンドウ、三重構造ホワイトレンズを組み込んだリアコンビネーションランプを採用して独自の高級感を主張した。

 インテリアは「乗る人にゆとりとくつろぎをもたらす居住空間」の創出を課題とし、室内寸法の拡大やシートスライド量の増大、シート/ドアトリム/ルーフのトータルカラーコーディネート、シート表地の厳選などを実施する。

メカはオースターをベースに上級化

 メカニズムについては、T12型系オースターの基本シャシーを流用しつつ、4輪ストラットのサスペンションに専用チューニングを施す。また、超音波路面ソナーを備えた電子制御サスペンションの“スーパーソニックサスペンション”を採用した。ステアリング機構は、剛性を高めたラック&ピニオン式パワーステリングを設定。上級仕様には、可変式の“電子制御3ウェイパワーステリング”も組み込んだ。

 搭載エンジンは、電子制御可変吸気コントロールシステムのNICSや電子配電点火システムのNDISなどの先進機構を備えたCA18DET型1809cc直4DOHC16Vターボ(ネット値145ps)を筆頭に、CA18ET型1809cc直4OHCターボ(グロス値135ps)/CA18i型1809cc直4OHC(グロス値105ps)/CA16S型1598cc直4OHC(グロス値90ps)の計4機種をラインアップ。組み合わせるミッションは、CA18型系が5速MTとOD付き4速ATを、CA16S型が5速MTと3速ATを用意した。

キャッチフレーズは“URBAN DRY”

 1980年代後半に向けた新世代ラグジュアリーサルーンのスタンザは、T12の型式を付けて1986年6月にデビューする。キャッチフレーズは“URBAN DRY”。都会の乾いた雰囲気が似合う上級セダンとしてのキャラクターを、このコピーに込めていた。
 車種展開はCA18DET型エンジンを搭載するスプレモ・ツインカムターボをイメージリーダーに、CA18ET型エンジンを積むスプレモ・ターボ、CA18iエンジンを採用するスプレモ/SGLサルーン/GLサルーン、CA16S型エンジンのSGLサルーン/GLサルーンという計7グレードを用意する。車両価格は126万5000円〜218万1000円(東京標準価格)と、兄弟車であるT12型系オースターよりもやや高めに設定していた。

スタンザを名乗るラストモデルに……

 スタンザの人気を押し上げようと、開発陣は様々な改良と車種拡大を実施していく。
 1987年2月には、デビュー10周年記念の特別仕様車であるエクストラサルーンを発売。1988年1月にはマイナーチェンジを実施し、内外装のイメージを一新する。同時に、CA18ET型エンジンはカタログから外れ、代わってCA18DE型1809cc直4DOHC16V(ネット値135ps)が新たに設定された。

 工夫を凝らした改良が施されたT12型系スタンザ。しかし、販売成績の回復は残念ながら図られず、結果的に1990年には生産が中止されてしまう。後継を担ったのは、まったく異なる車名を冠したプリメーラ(P10型)。つまり、T12型系がスタンザを名乗る最後のモデルとなってしまったのである。