バモスホビオ 【2003~2018】

趣味に合わせたアレンジができるハイルーフワゴン

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多彩な荷室アレンジが出来るセミキャブワゴンの開発

 1998年10月の規格改定、並びに小型車と同レベルの安全規格の適用によって、自動車としての質と性能が大きく引き上がった軽自動車。市場ではその特性が高く評価され、ハイトワゴン系を中心に販売台数を伸ばしていった。

 こうした状況を検分したホンダは、軽自動車のラインアップ拡充を積極的に推し進める。その一環として実施したのが、既存のセミキャブオーバー型ワンボックス車のバモスをベースとする派生モデルの設定だった。目指したのは、遊びや趣味の道具として多彩に使える軽ワンボックスの創出。とくに、カーゴルームのアレンジ性や使い勝手などに重点を置いて開発が進められた。

“趣味”のサブネームをつけてデビュー

 2003年4月になると、ホンダはバモスの一部改良を実施。合わせて、派生モデルの軽ワンボックス、「バモス・ホビオ」を発売する。サブネームのホビオ(hobio)は、エスペラント語で“趣味”の意味。「豊かな創造性と遊びのアイデアを大切にしたい趣味人にとって、いつも欠かせない存在であってほしい」という願いを込めて命名された。

 車両デザインに関しては、バモスより105mm高いハイルーフ形状のボディを基本に、専用アレンジの大型横桟フロントグリルや大型前後バンパーなどを装着して個性を強調する。また、ステッカーチューン等のベースとなるリアクォーターメタルパネルをオプションで用意。ボディカラーにはパープリッシュブルーメタリックやアメジストパープルパールなど計10タイプを取りそろえた。インテリアについては、撥水処理を施したシート表地&ドアライニングに大型のフロントシート、扱いやすさを重視したインパネ、フルオープン式のスライドドアウィンドウ、豊富なポケッテリア、足もとスペースにすっぽりと収納できる可倒式リアシートなどを採用し、高い機能性および利便性を実現する。さらに、前席の広い頭上空間を活かした大型ルーフコンソールや夜間の積み下ろしに便利な6W蛍光灯ライトをオプションで設定した。

 荷室高1180mmを確保したカーゴルームは、多彩なアレンジが簡単にできるよう、4種類のナット類やフック類を荷室壁面および床面に配置する。壁面には、穴あけ加工なしにφ6mmのボルトが取り付けられるユーティリティナットを28カ所(商用モデルは32カ所)設定。そして、そのナットにはめ込むことができるアタッチメントフックを4個装備する。さらに、上位モデルにはユーティリティフックを8カ所に設けた。ほかにも、重い荷物をフロアにしっかりと固定できる4カ所のタイダウンフックを用意。オプション装備として、泥などの汚れを簡単に拭き取れるワイパブルマット(フロアおよびリアシート背面)なども設定した。

 ミッドシップ搭載のエンジンは、E07Z型656cc直列3気筒OHC12Vユニットの自然吸気とターボの2機種を設定する。駆動機構には2WD(MR)と4WDをラインアップ。組み合わせるトランスミッションは、2WDの自然吸気仕様がエンジン横置搭載で5速MTと3速ATを、4WDの自然吸気仕様が5速MT、と4速ATを、2WDおよび4WDのターボ仕様は4速ATを採用した。懸架機構は前マクファーソンストラット式/後ド・ディオン式で、フロントにはトーションバータイプのスタビライザーをセット。オプションのUパッケージには、専用ローダウン(前25mm/後20mm)サスペンションを組み込んでいた。

15年も販売するロングセラーモデルに成長

 乗用モデルのMタイプ/Lタイプ/ターボ、商用モデルのPro(プロ)という車種構成でスタートしたバモス ホビオは、広い室内空間と多彩なアレンジが可能なカーゴルーム、安定感がありかつ丈夫な足回り、リーズナブルな価格設定などで好評を博し、市場から根強い支持を獲得する。そのポテンシャルをさらに高めようと、開発陣は着実な改良を鋭意図っていった。

 2005年12月には、新ボディ色の設定やサイドアンダーミラーの装備、ターボモデルへのオイル交換インジケーターの追加などをメニューとしたマイナーチェンジを実施。2007年2月には、撥水+消臭機能付シート表地&撥水ドアライニングやマイクロアンテナの採用などを行う。2010年8月になると、メタリックな金属調の文字盤とブルーリング照明付きの新意匠メーターや運転席用カップホルダー(固定式)の装備などを実施。同時に、ターボモデルはカタログから外れた。2012年6月には、乗用モデルをGタイプに集約。また、Proにはワイパブルマットを標準で装備する。2015年3月になると、JC08モード燃費の向上やEBD付ABSの採用、新ボディ色の設定、Gタイプへのワイパブルマットの標準装備化などを実施した。
 熟成に熟成を重ねていったハイルーフ軽ワンボックスのバモス ホビオ。10年をゆうに超えても新車として販売されたのは、基本設計の優秀さの証だった。

愛犬のための装備を充実させた「トラベルドッグバージョン」

 ホンダは「愛犬とクルマで楽しく出かけてほしい」という発想から、2001年11月に「Travel Dog」というウェブサイトを立ち上げる。そして、これに登録した会員の提案や意見を反映し、愛犬家と愛犬のための装備を充実させたバモス ホビオの特別仕様車「トラベルドッグバージョン」を期間限定(2003年5月9日発売。同年10月31日までオーダー受付)で販売した。

特別装備の内容は、犬の毛やよだれを簡単に掃除できるワイパブルドアライニング、泥などの汚れを簡単に拭きとれるワイパブルマット、制菌・防臭・防ダニ加工を施した専用機能性フロアカーペットマット、寒い日も効率よく後席を温めるリアヒーター、専用色のアタッチメントフックおよびユーティリティフック、散歩用トートバッグ、専用ステッカーなどを採用する。車種展開はLタイプの2WDと4WD、ターボの2WDと4WDをラインアップ。車両価格はベース車比で3〜5万円アップと、買い得感の高いプライスタグを掲げていた。