2007TMSピックアップ・SUBARU 【2007】

次世代/近未来/現在を語る見事なプレゼンテーション

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心躍る走りの世界を表現したスバル・ブース

 SUBARU(スバル)は世界中のクルマのなかでも走りを重視しているブランドだ。水平対向エンジンやシンメトリカルAWDをコアテクノロジーとしたスバルの走りのこだわりは、欧米を含め世界中に熱烈な信奉者を生みだしている。 そんなスバルが、2007年の東京モーターショーに掲げたテーマは“Fantastic moments”。「人生を愉しく走る人々に、ファンタスティックな時間を。」というキャッチコピーが示すように、心躍る走りを大切にするスバルの世界を、次世代、近未来、現在という時間軸でプレゼンテーションした。

 モーターショーの意義には、メーカーの未来戦略をアピールすることと、実際の拡販に結びつけることの2点があるが、2007年の東京モーターショーのスバルの取り組みはその好例と言えた。

未来が愉しくなるEVの新提案

 次世代スバルの提案となった「G4eコンセプト」は、ゼロエミッションビークル、すなわちEVのスバルらしい解釈だった。環境を守るために、なにかをあきらめるEVではなく、EVの可能性を追求した意欲的な次世代コンパクトカーとして開発していた。

 G4eコンセプトの個性はスタイリングに表現されている。トライアングルシェイプと名付けた滑らかなウェッジフォルムは風を切り裂く躍動感を表現しており、シティコミューター的な造形が一般的だった従来のEVとは一線を画していた。EVの特性を生かしたフラットフロア構造によりパッケージングも秀逸で、EVを次世代コンパクトカーの本命として捉えた設計が随所に見てとれた。

 EVとしての完成度も高かった。バッテリーにはエネルギー密度の高いリチウムイオンバッテリーを採用し、航続距離200kmを実現。急速充電器を利用すると僅か15分で80%の充電が可能で、ファーストカーとして十分な実用性を持っていたのだ。走行中にCO2をいっさい排出しないEVは、環境負荷が最も少ないクルマの代表だが、G4eコンセプトは、未来がちょっぴり愉しくなるワクワクするEVだった。

エクシーガやアイサイトの登場を予言

 近未来の時間軸では「エクシーガ・コンセプト」と予防安全技術の「次世代ADA」を提案する。エクシーガ・コンセプトはスバル流の7シーター・ミニバンの新解釈で、細部を除き2008年に市販を開始したエクシーガそのものだった。7シーター・ミニバンながらステーションワゴンを思わせるスポーティな造形と、開放的なインテリアが特徴で、ショー出品車は大胆なガラスルーフを採用し、伸びやかなツーリングの世界を表現していた。

 もうひとつの近未来、次世代ADAは、スバル独自のステレオカメラが人を認識し、危険を回避する予防安全技術。フロントウィンドーに配置した2基のカメラで前方を監視し、ドライバーの見落としなどから生じる危険に警告を与えると同時に、適切な自動ブレーキで積極的に危険回避するシステムである。スバルは1999年からステレオカメラ方式のADAシステムを実用化しているが、その進化バージョンで、2010年よりレガシィに採用する「アイサイト」の先行技術展示だった。歩行者の見落としや渋滞中のうっかり追突などを防ぐアイサイトは、いまやスバルの重要なセールスポイントのひとつだが、2007年のモーターショーですでに登場が予告されていたのである。

 現在という時間軸では、ショー直前に正式デビューを飾ったインプレッサWRX STIがスバルの高い技術力を示した。WRC(世界ラリー選手権)でも活躍するマシンだけに、すべての機能が本格派。実戦で磨き上げた熟成のメカニズムの説得力は格別だった。市販モデルとともにWRC参戦モデルのプロトタイプをディスプレーするなど、その速さがファッションではなく、勝利を目指したものであることを表現していた。