ドマーニ 【1992,1993,1994,1995,1996,1997】

快適性を磨いたまじめサルーン

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明日を意味する新世代

 1991年に英国のローバー・グループと資本提携を締結したホンダは、1988年にデビューしていた小型乗用車コンチェルトをローバーとの共同開発の形でリファインし、英国ではローバー400(4ドア)/200(4ドア・ハッチバック)の名で現地生産する。使い易さと高級感を巧くミックスしたコンチェルトは、決して派手ではないが、実用性に優れた小型車として特に海外市場で好評を得ていた。そのコンチェルトの第二世代に当るモデルが、1992年10月に登場したドマーニ(DOMANI)である。車名のドマーニとは、明日とか未来を意味するイタリア語だ。

シビックベースの日本専売車

 フルモデルチェンジされたコンチェルト改めドマーニは、英国生産のモデルからは切り離され、100%ホンダの開発による日本専用車となった。メカニズムやプラットフォームは、シビック用をリファインして使用した。ボディは4ドアセダン。ベースとなったのは、シビック系の4ドアセダンであるシビック・フェリオで、フルモノコックボディの骨格やエンジン、トランスミッションなどを共用する。車種構成はシンプルに徹したもので、車型は4ドアセダン1種、前輪駆動モデルにグレードが4つ、「イントラック」と呼ばれるフルタイム4輪駆動モデルに1つの計5グレードが設定され、フロントに横置きされて前輪を駆動するエンジンは、1.6リッターが2種、1.8リッターが1種の計3種となっている。トランスミッションは5速マニュアルと4速オートマチックがある。

快適性を重視した室内空間

 エクステリアやインテリアはドマーニのオリジナルとなり、エクステリアではヘッドライトやテールライト、ラジエターグリルの周囲に付けられるクロームメッキの飾りなどを極力省略したシンプルなものとなっている。ドア・ウィンドウもサッシュレスではなく、しっかりしたフレームを持ったもの。この辺りもボディ剛性の向上に役立っている。
 インテリアも新しくデザインされ、ベースとなったシビック・フェリオとは異なる高級感を感じさせるものとなった。ただし、コンチェルトには設定されていた本革張り仕様は消滅した。見た目の豪華さよりも、実質的な快適性を重視した結果だ。また、安全性にも格段の配慮が見られる。ドライバー側のみだが、SRSエアバッグは全車種標準装備となり、上級車種では助手席側にオプション設定されていた。ホンダは、エアバッグの実用化でも他のメーカーに先んじていた。各ピラーを立て大開口のドアにより乗降性をハイレベルに仕上げたり、後席の着座ポジションを前席より20mm高めることで居住性をリファインした設計なども光っていた。ハイデッキ処理により418Lの容量を確保したトランクも実用的だった。

エンジンは全車がPGM-FI仕様

 エンジンは基本的にはシビック・フェリオやインテグラのユニットと同じだが、チューニングは微妙に異なり、ホンダ独自の燃料噴射制御システムであるPGM-FIやバルブ駆動制御システムであるVTECなどの進化により、僅かずつの性能向上を果たしている。パワーユニットは1.6LのOHC(120ps)と、そのVTEC仕様(130ps)、そして1.8LのDOHC(140ps)の3種。国内専用車とはいえ、足回りの設定や、キャビンのパッケージングなどは欧州車的なレベルの高いもので、長距離クルーズで威力を発揮するものだった。性能一辺倒だったホンダが、快適性を前面に押し出すようになった記念碑的なモデルである。