トヨタデザイン17 【2014,2015,2016,2017】

大胆なアプローチで造形を刷新した新世代モデル群

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“知恵をカタチにした”車両デザインを標榜するMIRAI

 環境対応車の開発で市場をリードする2010年代中盤のトヨタ自動車は、その先進性を表現した車両デザインの刷新を積極的に図っていった。
 2014年12月には、トヨタフューエルセルシステム(TFCS)を採用した新型燃料電池自動車のMIRAI(ミライ)を発売する。パワーユニットは新しいトヨタFCスタック(最高出力114kW)にFC昇圧コンバーター、高圧水素タンク(2本、公称使用圧力70MPa)、交流同期電動機(113kW/335N・m)、駆動用ニッケル水素バッテリーで構成。アッパーボディへの徹底した空力対策に加えてアンダーボディのフルカバー化を実施し、優れたエアロボディを具現化した。

 内外装は、“知恵をカタチにした”デザインで構築する。エクステリアはひと目でMIRAIと分かるスタイリングの実現がテーマ。フロントマスクは酸素の確保とFCシステムの冷却のために空気を取り込む左右のグリルを強調し、FCVならではの独自性を主張。サイドセクションは水滴をイメージした流麗な形状とし、空気を導入して水を生成するFCVの特長を表現する。リアビューはタイヤに向かうように台形フォルムを構成する大胆な造形で仕立てるとともに、バンパー下を空気が通り抜けていく軽快感とクリーンなイメージを創出した。一方でインテリアについては、フロントからリアへとシームレスに続く心地よいキャビン空間を演出したことが訴求点。また、表皮一体発泡工法を採用したフロントシートや高精細な4.2インチTFT液晶でアレンジしたスピードメーター&マルチインフォメーションディスプレイ、軽くタッチすることで操作が可能な静電式ヒーターコントロールパネルなど、先進的な装備を豊富に盛り込んでいた。

低重心パッケージによる走りのよさを追求したスタイルの4代目プリウス

 2015年12月にはプリウスのフルモデルチェンジを敢行する。クルマ造りの構造改革であるTNGA(Toyota New Global Architecture)を採用した第1号車となる4代目プリウスは、パワートレインに進化したハイブリッドシステムを組み込んだうえで、ICONIC Human-techをコンセプトとする車両デザインを導入した。

 エクステリアはプリウスの象徴であるトライアングルシルエットを基調に、TNGAによる低重心パッケージを融合させた先進的でエモーショナルな造形を採用する。フロント部はBi-Beam LEDヘッドランプと三角形状のLEDクリアランスランプを組み合わせた個性的なマスクで演出。リアビューはスポイラーからコンビネーションランプ、コーナーエッジへとつながるユニークな線使いで空力性能のよさと新鮮さを強調した。インテリアは、歴代モデルが継承してきた“人にやさしいデザイン”を基本に、先進感と温かみのある空間を創出。具体的には、低い位置で薄く造形したインパネや効果的なホワイト加飾、バネ特性の最適化を図ったフロントシートなどを採用していた。

ダイヤモンドをモチーフに強く絞り込んだボディが印象的なC-HR

 2016年12月になるとTNGAの第2号車となるコンパクトSUVのC-HRがデビューする。車両デザインのキーワードは“センシュアル スピード-クロス”。基本フォルムはダイヤモンドをモチーフに強く絞り込んだボディと大きく張り出したホイールフレアの対比による立体構成によって、個性的で構えのよい造形を創出。さらに、キーンルックやその構成要素であるアンダープライオリティ、翼形状に回り込んだヘッドランプなどで構成するフロントビュー、バックドアと一体感のあるキャビンを大胆に絞り込んだうえでフレアとコンビネーションランプを張り出させたリアセクションを組み合わせて独自性を際立たせた。

 内装に関しては“Sensual Tech and Quality(大人の感性に響くインテリア)”をテーマにデザインを突き詰める。インパネはドアトリムからつながるソフトパッドや金属調オーナメントなどによって広がりのある空間を表現。2眼筒型タイプのメーターは盤面にブルーラインを放射状に施すことで奥行と先進感を演出する。前席には座面のパッド厚および硬度を最適化して座骨への圧力を分散させたスポーティシートを装備した。

走りを予感させるエモーショナルな10代目カムリ

 2017年7月には10代目となるカムリを市場に放つ。リダクション機構付きTHS-IIの新パワートレインを搭載したカムリの外形デザインは、TNGAに基づきエンジンおよび乗車レイアウトを下げることで低重心シルエットのエモーショナルで美しいデザインを実現。具体的には、スリムなアッパーグリルと立体的で大胆に構えたロアグリルを融合させたフロントマスク、低く構えたフード&フェンダーや抑揚豊かな面構成で仕立てたサイドビュー、ワイドスタンスかつショルダーを張り出させた安定感のあるリア造形などで先進ミッドサイズセダンの個性を主張した。

 インテリアについては、スポーティなコクピット空間と広がり感の両立が訴求点となる。厚みを抑えたインパネは、先進のインターフェイスとフラッシュサーフェスデザインによって構成。また、複数の色・素材を効果的に組み合わせるフレックスコーディネーションを採用し、上質で風合い豊かなキャビンルームを演出していた。