歴代クラウン研究 【1955~2012】

時代を映す国産ラグジュアリーサルーンの代表

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日本独創の高級サルーンの誕生

 トヨタ自動車が国産車の代表という意味を込めて命名した「クラウン(CROWN)」。デビューは、1955年1月にまで遡る。多くのメーカーが欧米の自動車技術を学ぶ目的でノックダウン生産を選択したのに対し、トヨタは純国産方式を貫き、トヨペット・クラウンを開発した。ハシゴ型フレームを採用する車両デザインやR型1453cc直列4気筒OHVエンジンといったメカニズムは、すべて独自設計。1960年10月には3R型1897cc直列4気筒OHVエンジンを積む1900シリーズを設定する。乗り心地や耐久性などバランスがとれた“観音開きドア”の純国産サルーンは、富裕層のオーナーカーや公用車、タクシーとして大活躍した。

 1962年10月には全面改良を実施して2代目に切り替わる。基本フレームはより剛性の高いX形に変更。車両デザインには最新の流行を取り入れたフラットデッキスタイルを採用した。エンジンは1965年10月に新開発のM型1988cc直列6気筒OHCを追加する。
 1967年9月になると“日本の美”をテーマにデザインした3代目を発売する。このモデルでは個人ユーザーの拡販を狙って「白いクラウン」キャンペーンを展開。自家用車に人気だった白が似合うことをアピールした。また、ボディタイプでは1968年10月に2ドアハードトップモデルを追加し、高級パーソナルカーのキャラクターを前面に押し出す。搭載エンジンは完成度を高めたM型と5R型1994cc直列4気筒OHVを設定。基本フレームはX型からペリメーター型に変更した。

 1971年2月にはブランド名をトヨペットからトヨタに改称した4代目がデビューする。車両デザインには“スピンドルシェイプ”と呼ぶ先進的かつ個性的な造形を採用。ただし、そのデザインは保守的なユーザー層からあまり支持を得られず、1955年以来守り続けてきたクラス首位の座を一時明け渡すこととなった。1971年5月には4M型2563cc直列6気筒OHCエンジンを搭載した2600シリーズを設定。1973年2月には不評だったエステリアのリファインを実施する。1974年1月にはEFI車を追加した。
 5代目は1974年10月にデビューする。エクステリアは先代の反省からボクシーかつ安定感のあるデザインで構成。ボディタイプには新たに4ドアピラードハードトップを設定した。

心に残る「いつかはクラウン」のキャッチは7代目で登場

 1979年9月には6代目に移行する。車両デザインは先代から引き継いだボクシーフォルムをさらに洗練。搭載エンジンは5M-EU型2759cc直列6気筒OHCを筆頭に4機種でスタート。1980年10月にはM-TEU型1988直列6気筒OHCターボを追加し、1981年8月には5M-GEU型2759cc直列6気筒DOHCの設定のほか、自然吸気のM型を新開発の1G-EU型に換装した。

 1983年8月には「いつかはクラウン」のキャッチを冠した7代目がデビューする。ボディタイプは4ドアHTを中核に設定。クリスタルピラーと称する光沢のある樹脂でカバーしたリアピラーを組み込んで他ボディとの差異化を図った。搭載エンジンは5M-GEU型や1G-GEU型など6機種をラインアップ。1984年8月には5M-GEU型から6M-GEU型2954cc直列6気筒DOHCに換装され、1985年9月には1G-GZEU型1988cc直列6気筒DOHC24Vスーパーチャージャーを設定した。

 8代目は1987年9月に登場する。ボディタイプは先代と同様だが、3Lエンジン搭載のハードトップは全幅1745mmのワイドボディとした。搭載エンジンは7M-GE型2954cc直列6気筒DOHC24Vや1G-GZE型、1G-GE型など7機種を設定。電子デバイスとして、電子制御エアサスペンションやトラクションコントロールなどを採用する。1988年9月には2lの主力エンジンが1G-FE型に切り替わり、翌1989年8月にはセルシオに先駆けて新開発の1UZ-FE型3968cc・V型8気筒DOHC32Vを搭載。1990年8月には1JZ-GE型2491cc直列6気筒DOHC24Vを追加した。

10代目以降、全車軽量設計モノコックボディに進化

 1991年10月に発売した9代目では4ドアHTのみを全面改良し、「クラウン」ロイヤル・シリーズと上級モデルの「クラウン・マジェスタ」の2モデル体制とする。基本骨格はクラウンが改良版のペリメーターフレーム、マジェスタが新開発のモノコックボディを採用した。

 1995年8月にはクラウンの4ドアHTがフルモデルチェンジして10代目に切り替わる。さらに、同年12月には4ドアセダンも全面改良した。基本骨格はこのモデルからモノコックボディを採用。これにより室内スペースは拡大し、車重は100kg以上軽くなった。
 1999年9月になると11代目が登場する。新型に移行したのは4ドアHTのみで、しかもボディ形状はサッシュ付きの4ドアセダンに刷新。さらに、車種ラインアップを高級志向のロイヤル・シリーズとスポーティ系のアスリート・シリーズ に大別した。一方でセダンモデルは、マイナーチェンジを行いながら継続生産。2001年8月になると新世代に切り替わり、2002年10月にはマイルドハイブリッド仕様を設定した。

原点からのクルマ造りを実践した12代目“ZERO CROWN”

 2003年12月になると、「ゼロからのスタート」をテーマにプラットフォームやエンジンなど主要コンポーネントを一新した“ZERO CROWN”こと12代目がデビューする。搭載エンジンは従来の直列6気筒に代えて、新開発のV型6気筒DOHC24VのGRユニットを採用した。
 13代目は2008年2月に登場する。モデルラインは従来のロイヤルとアスリートのほか、ハイブリッドを新規に設定(同年5月デビュー)。ハイブリッドは3.5Lエンジンとモーターを組み合わせ、電気式無段変速機を介して後輪を駆動するFR専用2変速式リダクション機構付ハイブリッドシステムを搭載していた。
 2012年12月には14代目に移行。車種構成は従来と同様にロイヤル、アスリート、ハイブリッドをラインアップ。王冠をモチーフにした大胆なフロントグリルや高機能なトヨタマルチオペレーションタッチ、数々の先進安全装備などが注目を集めた。また、ジャン・レノさん等を起用したCM、ピンクのボディカラーを纏った特別仕様車など、多くの話題を提供する。