ティーノ 【1998,1999,2000,2001,2002,2003,2004,2005,2006】

3名掛け×2列シートの個性派モデル

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欧州仕様はスペインで生産

 モノスペースワゴンとかワンボックスワゴンなどと呼ばれる6~7人乗りのワゴンが世界的に流行していた1990年代末、日産はバネットやセレナなどの実用性重視のワゴンモデルとは別に、快適性と高性能を前面に押し出した2ボックススタイルのワゴンをデビューさせた。1998年12月に登場したティーノである。車名のティーノ(Tino)とは、スペイン語で理性的とか判断の正しさなどの意味を持つ。スペイン語系のネー二ングは、このティーノのヨーロッパ向けモデルであるアルメーラ ティーノが、スペインのバルセロナにあったモトール イベリカ工場で生産されることを意識したものだった。

シャシーコンポーネンツはサニーがベース

 生産性合理化のため、セダンのサニー系(B15型)と共通のシャシーコンポーネンツを使っており、ホイールベースはサニーと同じ2535㎜だが、全長は4270㎜と75㎜短くされている代わりに、全幅は65㎜大きい1760㎜となっていた。したがって、ティーノは日本のナンバー区分では3ナンバーサイズとなる。全高は1610㎜と、この種のモデルとしてはそれほど高くはない。

 スタイリングは4ドア+ハッチゲートの1.5ボックスワゴンで、フロントウィンドウの傾斜を強め、ルーフラインを丸くするなどスタイリッシュなもの。インテリアのシートアレンジは3人掛け2列シートの6人乗りで、あえて3列シートとせず、居住空間に余裕を持たせたデザインとしていた。さらに、後部座席は必要に応じて取り外すことも可能で、取り外せば荷室は大型バンにも匹敵する広さになった。この辺りの割り切り方は、ヨーロッパを中心とするユーザーの好みを反映させている。

エンジンは2Lと1.8Lの2本立て

 フロントに横置きされ、前2輪を駆動するエンジンは日本国内仕様には2種あり、排気量1998㏄の直列4気筒DOHC(SR20DE型、出力135ps/5600rpm)と排気量1769㏄の直列4気筒DOHC(QG18DE型、出力120ps/5600rpm)があった。トランスミッションはハイパーCVTと電子制御4速オートマチックの2種があり、シフトはスペースを広く取るためにコラムシフトのみの設定でフロアシフト仕様はない。サスペンションは前がマクファーソンストラット/コイルスプリング、後ろがマルチリンクビーム/コイルスプリングの組み合わせとなる。ブレーキは4輪ディスク(前はベンチレーテッドタイプ)でサーボ機構を持つ。

ハイブリッド仕様を限定販売

 注目して良いのは、2000年4月には1.8Lガソリンエンジンと17Kwの出力を持った交流同期型電気モーターを組み合わせ、リチウムイオン電池を搭載したハイブリッド仕様車を限定100台で発売している。インターネットによる受注生産だったが、時代を先取りした販売方法として話題となった。
 2000年4月からはフロントシートを独立型とし、2列目シートを5対5の分割式とした5人乗り仕様とした仕様を加え、従来からの6人乗り仕様の2列目中央部にビルトイン型のチャイルドシートを設けた仕様が加えられた。

 しかしながら、3ナンバーサイズであったことや価格設定が割高であったことなどが災いして販売台数は伸び悩むこととなり、2003年3月に生産を中止した。ただし、スペインのモトール イベリカでの生産は2006年3月まで続けられている。モノスペースのクルマとしては魅力的なものだったが、安価を優先する日本市場の持つ特殊性に敗れたと言える。