プレオRSリミテッドII 【2002,2003】

4WD発売30周年を記念した特別仕様車

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スバル4WD車の販売30周年を記念して−−

 時は1960年代、東北電力では冬季の送電線点検作業のため、ジープタイプの多目的4WD車を活用していた。しかし、ハードな乗り心地や暖房効果の悪さなどに、現場では頭を悩ます。その打開策として東北電力は、地元のディーラーである宮城スバルに、スバル車のバンをベースに4WD化できないかを相談した。

 宮城スバルでは、日産自動車からブルーバードのデフ&ドライブシャフトを購入し、苦心しながらスバル1000バンに組みつける。東北電力にも協力を仰ぎ、試走を繰り返した。満足のできる試作モデルが完成したのは、1971年2月になってから。翌3月には、その試作モデルが富士重工業(現SUBARU)の群馬製作所に持ち込まれる。同所では早速4WD車チームが発足し、開発を本格化させた。富士重工業の社内では4WD車の製造に反対する意見もあったが、市場調査である程度の需要が見込めることがわかり、生産にゴーサインが出る。1971年10月開催の東京モーターショーでは、参考出品車の「スバルff-1・1300G・4WDバン」を披露。このときに20台あまりが製作され、東北電力などに販売された。その後も富士重工業の開発陣は、精力的に4WD機構の熟成を重ねる。そしてショーデビューから11カ月ほどが経過した1972年9月、ついに量産版の「スバル・レオーネ4WDエステートバン」をリリースした。

 国産初の乗用4WD車を発売してから30年を迎える2002年、富士重工業は“スバル4WD車販売30周年記念特別仕様車”を企画する。ベース車として選んだのは、スバル・ブランドを代表する乗用モデルのレガシィとインプレッサ、そして軽自動車のプレオだった。

スポーツイメージを高めたプレオRSリミテッドII

 プレオに関しては、市場での要望が高い仕様・装備を加えて商品力を高めた3タイプを設定する。スポーティ志向の「RSリミテッドII」、車高を1550mmに落として立体駐車場に入庫可能としたうえで装備のさらなる充実化を図った「LS リミテッド」、ボディ色を拡充しながらもバリュープライスを実現した「F リミテッド」だ。

 スバリストたちからとくに注目を集めたのは、アグレッシブなルックスに仕立てた「RSリミテッドII」だった。ベースグレードはEN07型658cc直列4気筒DOHC16Vインタークーラー付スーパーチャージャーエンジン(64ps/10.5kg・m)を搭載した高性能バージョンのRS。主要装備として、エクステリアには専用大型カラードルーフスポイラー(ハイマウントストップランプ内蔵)/ブルーリフレクターヘッドライト&フォグランプ/リアクリアコンビランプ/専用ブラック塗装14インチアルミホイールなどを、インテリアには本革巻きステアリングホイール/メッキリング付合皮シフトブーツ(i-CVT車)または本革巻きシフトノブ(5MT車)/アルミ製スポーティペダル&フットレスト/ブルーセンターパネル/アンサーバック機能付電波式リモコンドアロック(ハザードランプ連動)などを装備する。また、安全性および機能性の向上を目的に、デュアルSRSエアバッグ/シートベルトプリテンショナー&ロードリミッター付フロント3点式ELRシートベルト/MD&CDプレーヤー・AM/FMチューナー一体120Wオーディオ(ADDZEST)/オートエアコン(エコノモード付)/電動格納式リモコンカラードドアミラー/レバー式運転席シートリフターなどを採用した。

ボディ色は世界ラリー選手権(WRC)で活躍するWRカーのインプレッサWRC2002をイメージさせるWRブルー・マイカを筆頭に、グロスホワイトパール/ピュアホワイト/プラチナシルバーメタリック/ピュアブラックマイカという計5カラーを用意。内装ではステアリングやシート表地、ドアトリムの一部にブルーのアクセントを施す。グレード展開は、2WD(FF)と4WDの駆動レイアウトにそれぞれ5速MTと7速マニュアルモード付のスポーツシフトi-CVTをラインアップした。

「RSリミテッド」はプレオの高性能版のアイコンに昇華

 月500台の販売計画でスタートしたプレオRS リミテッドIIは多くの受注を獲得し、たちまちシリーズの主力モデルに発展する。この人気を好感した富士重工業は、2003年6月になると装備をより充実させた特別仕様車の「RSリミテッド」をリリース。足もとにはゴールド塗装の14インチアルミホイールをセットし、さらに内装にはメタリックシルバー塗装のメーターパネル&パワーウィンドウスイッチパネルを新採用していた。

 プレオは2006年6月に実質的な後継車となるステラがデビューしたのに伴い、車種構成を縮小。2007年6月からはバンのみの展開となり、そのバンも2010年3月には生産を終了した。一方、中古車市場ではスポーティ系のRSグレード、とくにWRブルーマイカのボディカラーとエアロパーツを纏った特別仕様車のRSリミテッド系が高い人気を博し、スバリストたちのコレクターズアイテムとして長く注目を集めたのである。