オッティ 【2005,2006】

三菱eKシリーズのOEM供給で誕生した軽ワゴン

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日産と三菱自工が軽自動車のOEM供給拡大で合意

 カルロス・ゴーンCEOの指揮によるリバイバルプランおよび3カ年経営計画の「日産180」によって、急速なV字回復を果たしていた2000年代前半の日産自動車。さらなる発展を目指した経営陣は、成長著しい軽自動車市場への本格参入を計画する。2001年4月にはスズキから軽乗用車のOEM供給を受けることで合意し、スズキのMRワゴンをモコの車名で発売。2003年8月には三菱自動車工業から軽商用車のOEM供給を受けることで、三菱自工のミニキャブをクリッパーの車名でリリースした。

 2005年1月になると、三菱自工から軽乗用車のOEM供給を受けることが決定した。ベース車には三菱自工のベーシック軽ワゴンであるeKワゴンおよびeKスポーツを選択。プレス発表では、「日産としてはモコ、クリッパーに続き3車種目の軽自動車を市場に投入できることとなり、商品ラインアップの充実と、新たな顧客の拡大が期待できる。また、三菱自工はOEM供給の車種を増やすことによって軽自動車の生産台数を増加させ、生産性の向上が図れる」と、両社のメリットを説明した。

eKシリーズをベースに独自のマスクで個性を演出

 OEM供給拡大のアナウンスから5カ月ほどが経過した2005年6月、日産は三菱eKシリーズをベースとする新型軽乗用車の「オッティ(OTTI)」を市場に放つ。車名のOTTIはイタリア語のOTTIMO=最高から発想した造語で、すべての要素がベストバランスでパッケージングされている商品特徴を表現。車種構成は、eKワゴンに当たるE/E FOUR/S/S FOURとeKスポーツに当たるRX/RX FOUR/RS/RS FOURという計8グレードで展開した。

 内外装のデザインについては基本的にeKシリーズを踏襲しながら、日産の考えるベーシック軽ワゴンの姿、具体的には「“ちょうどいいパッケージ”と“工夫いっぱいの、かしこい収納”で、毎日の使いやすさを考えた軽自動車」の実現を目指す。エクステリアは、機能感および開放感を表現したスマートなフォルムで構成。フロント部にはスクエアボディとの統一感を図った専用デザインの“シカク”グリルパターンを採用し、さらにエアロパーツを纏うRX/RS系グレードではスポーティ感をより強調したマスクに仕立てる。また、ランスブルーをはじめとする個性的な全10色のボディカラーによって幅広いユーザー層にアピールした。

 インテリアも機能性および開放感、さらには新しさを融合させた。インパネは操作系をセンターに集中させたうえで、多くの収納を配置した使い勝手のよいデザインを採用。カラーリングはE/S系グレードがベーシュ(オプションでブラック)、RX/RS系グレードがブラックで仕立てる。シートはフロントにフルフラット機構付きのベンチタイプ(ATモデル。MTモデルはセパレートタイプ)、リアにリクライニング機構付きの5対5分割可倒式ベンチタイプを装備した。実用性の高さもトピック。立体駐車場に入庫可能な1550mmの全高や大きなグラスエリアによる広い視界、各席乗員の用途に合わせて設定した多彩な収納スペースなどによって、最上レベルの扱いやすさと利便性を実現していた。

エンジンは自然吸気とターボの2種。安全性も高水準

 搭載エンジンはRS/E/S系グレードに3G83型657cc直列3気筒OHC12Vユニット(50ps/6.3kg・m)を、RX系グレードに3G83型657cc直列3気筒OHC12Vインタークーラーターボユニット(64ps/9.5kg・m)を採用する。組み合わせるトランスミッションは、S系グレードに5速MTとコラム式3速AT、そのほかのグレードにコラム式の電子制御4速ATをセット。駆動システムには2WD(FF)とフルタイム4WDの2タイプを設定した。前マクファーソンストラット/後トルクアーム式3リンクのサスペンションは、滑らかな乗り心地と高い直進性、安定感のあるコーナリング特性を目指してチューニングする。
 安全性の向上にも注力し、衝突安全強化ボディや頭部衝撃保護対応トリムの採用、運転席・助手席SRSエアバッグ/ABS/EBD/ブレーキアシスト/ハイマウントストップランプを全車に標準化した。

使い勝手のよさで,定番モデルに成長

 キャッチフレーズに“SHIFT_convenience”を掲げ、ブルーステージ(日産系/モーター系販売会社)とレッドステージ(サティオ系/プリンス・チェリー系販売会社)の2系列から大々的に販売されたオッティは、シンプルなスタイリングや使い勝手のいい内外装、リーズナブルな価格設定(95万5500円〜149万5200円)が好評を博し、女性やヤングファミリー層を中心に根強い支持を獲得する。

 この人気に応えようと、メーカー側も地道な改良を実施。2005年12月には、エアコンフィルター消臭機能の追加や質感の高いシート地の採用(E系グレード)、リアスピーカーの標準装備化(RX/RS系グレード)、車体色へのライトイエローソリッドの追加、ヘッドランプレベライザーの全車標準装備化などを実施した。
 そして2006年10月、eKシリーズの全面改良に伴い、オッティも第2世代に移行したのである。