インプレッサWRX・STi 【2000,2001,2002,2003,2004,2005,2006,2007】
WRC王者。速さが結晶したスーパーモデル
![](https://meisha.co.jp/wp-content/themes/habakiri/images/g_img_01.png)
![](https://meisha.co.jp/wp-content/uploads/2019/03/129-11p01-1.jpg)
2000年8月に第2世代のインプレッサがデビューする。今回の主役であるSTiは、WRXをベースに一段とポテンシャルを磨き込んだリアルスポーツモデルで、ベースモデルの2ヵ月後の2000年10月に登場している。エンジンや足回りはもちろん、トランスミッションなども専用調律しており、セダンとワゴンの両ボディにSTiを設定していた。セダンにはモータースポーツ参戦を前提にしたスパルタンなタイプRAも選べた。
ところで「SUBARU」のブランドはWRCのフィールドでは本格参戦直後から絶対的な存在となっていた。1992年10月には初代のインプレッサにWRX・STiの名を持つモデルが登場しているが、このWRXの名は、WRCのイニシャルの一部であるWRとレオーネ時代のスポーティー・バージョンに使われていたRXの名を重ねてWRXとしたものだった。STiはスバルのモータースポーツ統括部門であるSUBARU Tecnica Internationalのイニシャルを採ったものだ。
![](https://meisha.co.jp/wp-content/uploads/2019/03/129-12p01-1.jpg)
パワーユニットは超強力。STI仕様は排気量1994ccの水平対向4気筒DOHC16バルブエンジンに空冷式インタークーラー付きターボチャージャーとAVCSと呼ばれる可変吸気バルブタイミング機構と電子制御燃料噴射装置を備え、280ps/6400rpmの最高出力と38.4kg・m/4000rpmの最大トルクを発揮する。
必要に応じてターボチャージャーで圧縮され吸気される空気の温度を下げて吸入効率を向上させ、更なるパワーアップを図るために、インタークーラーの表面積はベースモデルより1.5倍も表面積が増やされていた。ちなみに280psの最高出力は、ベースモデルのWRX・NBの250psと比較して30psアップ、最大トルクの38.0kg・mは同4kg・mアップとなっていた。
カタログ上の数値だけでなく実際のレスポンスも一段と優れており、さらに剛性を上げたエンジンブロックなど、さらに高度なチューンアップの要求に耐えるポテンシャルを持っていたことも特筆ポイントだった。
![](https://meisha.co.jp/wp-content/uploads/2019/03/129-15p01-1.jpg)
SUBARUのお家芸となった4輪駆動方式は、センターデフとビスカスLSDを組み合わせたフルタイム4WDシステムを基本とし、タイプRAには前後輪への駆動力配分をドライバー自身の手でコントロールすることができるドライバーズコントロールセンターデフを採用した。トランスミッションは新開発となる6速マニュアルのみでオートマチック仕様はない。
ブレーキは横Gセンサーと電子制御動力配分システム(EBD)を持つABSを備える4輪ベンチレーテッドディスクブレーキで、フロントは対向4ポッド型、リアには2ポッド対向型が装備される。ディスクローターのサイズは17インチ径だ。これらは永年の国際的なラリー競技への参戦で鍛え上げられたものの応用だった。
WRX・STiのインテリアは、WRCマシンのそれをイメージしたものとなっており、モータースポーツ参戦用のベースグレードとなるタイプRAではエアコンやオーディオシステムなど快適装備の多くは省かれている。車両重量は1430kgと軽くはないが、性能的には第一級のレベルにあった。これだけのモデルながら価格は319万8千円とお買い得なものであり、同性能の輸入車であれば優に3〜4倍はするはずである。これもSUBARUの良心と言って良い。
![](https://meisha.co.jp/wp-content/uploads/2019/03/129-16p01-1.jpg)
インプレッサWRX STiはWRCの経験を生かした様々なスペシャルモデルをリリースする。なかでも2005年1月に555台限定で送り出されたS203は特徴的なモデルだった。WRCで培った特別な「速さ」を、洗練された「上質さ」でラッピングしたファインチューニングカーだったからだ。キャラクター的にはBMWに対するアルピナのようにクルマの魅力を総合的に磨いた大人のスポーツモデルだった。
エンジンは各部のバランスを入念に取った320ps仕様で、専用設定のピレリ製タイヤを装着、4段階可変減衰力設定を持つ足回りは標準車よりむしろしなやかな設定だった。シートは名門レカロと共同開発した軽量カーボンフレームを持つスペシャル(1脚の価格は55万5000円!?)である。風洞実験で煮詰めたスポイラー形状や質感を向上させた内装を含め、すべてが特別。価格は460万9500円と高価だったが、1ヵ月を待たずに完売したのは、その高い完成度を示していた。
![](https://meisha.co.jp/wp-content/uploads/2019/03/129-16p02-1.jpg)