CITROËN C5 X 【2022】

シトロエンの新しいフラッグシップとして、 シトロエンらしさが際立つ

会員登録(無料)でより詳しい情報を
ご覧いただけます →コチラ


中川和昌
シトロエンの新しいフラッグシップとして登場。

「シトロエンC5 X」は2016年のパリモーターショーで初公開されたコンセプトカー「CXPERIENCE(シーエクスペリエンス)」の市販版ともいうべきモデルで、シトロエンの新しいフラッグシップとして登場して、日本では10月1日に販売を開始した。C5Xの大きな特徴は、セダンとステーションワゴン、SUVのそれぞれの個性を盛り込んだ独創性であり、さらにシトロエン独自のハイドロニューマチックサスペンションの最新のシステム、プログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)を全車に標準装備して、シトロエンらしいしなやかさを進化させている。さらに、ネーミングはかつてのCXにはじまるXの系譜を継承して、シトロエンの上級モデルとして明確にしている。

セダンのエレガンスさを生かしたステーションワゴンに力強さを盛り込んだSUV。

シトロエンのフラッグシップと言えば、近年は2012年まで、当時、フランス大統領の公用車としても使用されていたC6で、その後、2001年に登場して、2007年に2代目となったC5はC6の後のフラッグシップモデルとなった。このC5とC6の基本となるのは、3ボックスセダンボディで、C5はステーションワゴンがあり、シトロエン独自の窒素ガスと油圧によるハイドロニューマチックとハイドラクティブサスペンションを採用した最後のモデルであった。今回の新型C5Xは、セダン風のエレガンスなシルエットを基本としたステーションワゴンの地上高を高め、バンパーやホイールアーチにSUVらしい力強さを盛り込んで、シトロエンのフラッグシップにふさわしい雰囲気に包まれているほか、フロントフェイスは、C4から導入したV字型シェイプのライティングシグネーチャーを採用してブランドとしてデザインを統一している。

ガソリン仕様とハイブリッド仕様を設定。

パワートレーンは、1.6リッターガソリン仕様と、プラグインハイブリッド仕様が用意され、今回試乗したC5 X SHINE PACK(シャインパック)は、1598cc直列4気筒ガソリンターボ・エンジンを搭載した前輪駆動モデルで、最高出力は133kW(180ps)、最大トルクは250Nm。それに8段オートマチック変速機を組み合わせられる。SHINE PACKは上級モデルで、複数構造のラミネートガラスを標準装備するほか、フロントシートには、空気圧でサポートするマルチポイントランバーサポート付きの電動シートに加え、シートヒーターとベンチレーションを装備し、さらに運転席には、乗車時にシートを自動で後退させるウェルカムファンクションも装備している。

シトロエンらしさが際立つDセグメント

ボディサイズは、全長×全幅×全高=4805×1865×1490mmで、ホイールベースは2785mm。Dセグメントのサルーンとしてはゆとりがあり、SUVとしてより高く確保された地上高と19インチのタイヤによって、SUVでありながら、少し背の高いワゴン的な雰囲気を持つ。
 インテリアも、シトロエンらしく魅力的で、SHINE PACK(シャインパック)は、スライディングガラスサンッルーフをはじめ、360度の広いガラスエリアに囲まれて明るく、水平基調のダッシュボードと、フロントドアまで回り込んだウッド調パネルによってゆとりを感じる。シトロエン独自のアドバンスコンフォートシートも座り心地が良く、かつて乗ったり所有したりした、50年代のDSや70年代のSMやCX、90年代のXM
などの上級モデルの流れを汲み、乗り心地は厚めでゆったりとしている。トランクスペースも一般的なステーションワゴンよりユーティリティーがあり、フラットなフロアと側面、低く広い開口部などにより容量は大きく、後席使用時は545リッターで、後席の背もたれを倒した場合は、最大1640リッターもあり、テールゲートハンズフリー電動テールゲートを採用している。

しなやかさとフラット感、しっかりとした乗り心地の良さ。

走り始めて、感じるのも、シトロエンらしさで、かつてのハイドロニューマチックほどソフトではないが、しなやかさとフラット感によるしっかりとした乗り心地の良さははシトロエンらしく、快適且つスポーティである。180馬力/250Nm を発生する1.6リッター4気筒直噴ガソリンターボと8速ATのパワートレーンは、1.5トン強のC5 Xにとって十分なスペックで、気持ち良く走ることができる。

シトロエンの個性を生かした上級モデル。

かつてのシトロエンは、エクステリア、インテリアともにデザインが個性的で、適度な動力性を備え、走行性や運動性はしなやかさとフラット感によって、実に気持ち良く走ることができる。こうしたシトロエンの個性は、ほかに似たものはない。C5 Xも、個性的なスタイリングをはじめ、まさにかつてのシトロエン上級モデルと共通する点が多く、実に気持ち良く乗ることができる。