サバンナRX-7 【1985,1986,1987,1988,1989,1990,1991】

孤高の存在に成長したロータリーロケット

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新世代ロータリースポーツの追求

 ロータリースポーツのイメージリーダーとして1978年3月にデビューしたSA22C型サバンナRX-7は、ライトウエイトスポーツの性格が強く、一部のファンには大歓迎されたが、時代の流れは確実に“ラグジュアリー化”にシフトしていた。さらにRX-7は北米市場に向けた重要な輸出モデルという役割も担っていたため、現地の要求、すなわち大型化と高級化が大きな課題となる。その回答策として次期型RX-7の開発陣には、グランツーリスモとしての性格を加味することが命題となった。
 開発陣が目指したのは「心地よい緊張感が感じられるクルマ」。
 エンジンは、コスモに搭載していたフラッグシップロータリーの13B型を採用する。ただし、そのまま積み込むだけではスポーツ性能が実現できない。開発陣は、ツインスクロールという凝ったメカニズムのターボ機構を装着する。得られた最高出力は185ps。自然吸気の13Bに比べて25psのパワーアップを達成した。

 強力パワーを支えるサスペンションには、アルミ材を多用した前マクファーソンストラット、後ラテラルロッド付きセミトレーリングアーム(マルチリンク)を採用する。さらにリアサスにはトーコントロールハブを組み込み、メカニカルな4輪操舵の機能を持たせた。エクステリアに関しては入念な風洞実験を実施したうえで、スポーティで空力特性に優れた(Cd値0.32)スタイリングを構築する。見た目の雰囲気も、従来型より立派に仕上げた。外観と同様、内装も従来以上に見栄えと質感を高め、さらに室内空間自体も大きく広げた。

豪華なGTスポーツに進化

 コードナンバーP747を名乗って開発が進められた2代目サバンナRX-7は、FC3Sの型式を取得して1985年9月に市場デビューを果たす。グレード展開はGTリミテッド、GT-X、GT-R、GTの4タイプで、全車に13B型ロータリーターボエンジンを搭載していた。
 新型は、スポーツ派のドライバーから大歓迎で迎えられた。とくにスタビリティが向上したコーナリング性能が高く評価され、たちまちワインディング王者の称号を獲得する。ただし、速く走らせるにはちょっとしたコツを必要とした。低回転域で起こる燃焼の荒れに起因したカーバッキング現象を避けるテクニックが必要だったのである。低回転域に入らないようにクラッチやアクセル操作を駆使し、ターボのパワーバンドをキープしてコーナーを素早く駆け抜ける……。これが出来て初めて、RX-7を乗りこなせたのだ。ある程度のウデがあり、気合いが入ったドライバーでなければRX-7は応えてくれない−−そんな玄人好みの特性も、RX-7の人気の要因だった。

さらなる速さの追求

 スポーツ派から絶大な支持を集めた2代目サバンナRX-7。しかし開発陣はこの状況に慢心せず、ロータリースポーツにさらなる磨きをかけていく。
 デビューから約11カ月が経過した1986年8月、後席を省いて2シーターとし、さらにBBS製鍛造アルミホイールや専用ダンパー、アルミ製ボンネットなどを装着した300台限定の「∞(アンフィニ)」がデビューする。走りに特化したスパルタンなRX-7はクルマ好きの大注目を集め、たちまち完売状態となった。その後、∞モデルは小変更を加えながら、1991年までに計6回の限定販売を実施した。

 1987年8月にはロータリーエンジン車販売20周年を記念して、「カブリオレ」が追加される。このモデルは予想以上の人気を博し、RX-7が1991年12月にフルモデルチェンジした後も販売が続けられた。1989年4月に入ると、サバンナRX-7はマイナーチェンジを敢行する。インディペンデント・ツインスクロールターボの装着や圧縮比のアップなどで、最高出力は205psにまで向上した。さらに、ローターやフライホイールの軽量化、内外装の意匠変更なども実施し、ロータリースポーツとしての完成度がより高まる。このころになると、ロータリーの欠点とされたカーバッキング現象やオイル消費もかなり改善されていた。

 2代目サバンナRX-7は、約6年3カ月の長寿命を全うし、3代目となるFD3S型アンフィニRX-7へと移行する。しかし、新型がデビューした後も2代目の人気が衰えることはなかった。日本の狭いワインディングを駆け抜けるのにちょうどいいボディー幅(1690mm。FDは1760mm)が、走り屋を魅了し続けたのだ。5ナンバーサイズのロータリースポーツ完成型−−FC3Sにはそんなキャッチがふさわしいのかもしれない。