東京モーターショーの歴史07 【1997~1999】

会場の拡大と乗用車・二輪車ショーの分離



市販前提モデルと環境対応車が中心に

 バブル景気崩壊の余波にあえぐ1990年代後半の日本の自動車業界。先の見えぬ不況に苦心するものの、2年1度のクルマの大祭典である東京モーターショー(TMS)では各メーカーが将来に向けた渾身の力作を数多く披露した。

 ショーのトピックとしては、1997年から乗用車と商用車をメーカー別に一体展示する方式が採用される。さらに2階建てのディスプレーも可能となり、各社の立体的でダイナミックな構成が話題を呼んだ。また、この年から幕張メッセイの北ホールが本格的に稼動し、二輪車と部品のブースが集結することとなる。1999年になると、従来の乗用車・商用車・二輪車の総合ショーから乗用車・二輪車ショーへと姿を変える。これ以後、隔年で乗用車・二輪車ショーと商用車ショーが開催されるようになった。

1997年、乗・商一体のメーカー別展示

 「つ・な・ぐ--あなたとくるま。」をテーマに開催された1997年の第32回ショーでは、市販間近の参考出品車やハイブリッドカー群が注目を集める。また、海外メーカーのワールドプレミアモデルも観客の熱い視線を浴びた。

 各メーカーの取り組みを見ていこう。トヨタ自動車は量産ハイブリッドカーのプリウスを公開。さらに、RAV4ベースのFCEV(フューエル・セル・エレクトリック・ビークル)やe・comといった環境対応車も出品する。NC250(後のプログレ)やファンタイム(ヴィッツの原型)、MR-Sなど、後のトヨタ車の核となるモデルも披露された。

 日産自動車は電気自動車のハイパーミニやハイブリッドカーのAL-Xのほか、トレイルランナーやスタイリッシュ6といったRVのコンセプトカーを展示。市販間近のキューブやR390GT1のロードモデルなども注目を集める。ホンダはライトスポーツのJ-VX、マルチパーパスカーのJ-MJ、ライトSUVのJ-WJ(HR-Vの原型)、ハイトワゴンのJ-MW(後のキャパ)などを披露した。

三菱はガルウィングとバスをディスプレー

 三菱自動車はHSR-Ⅳやテトラ、マルチパーパスカーのマイアなどを発表する。マツダは市販間近のロードスターとカペラ・ワゴン、さらにMV-XやSW-Xといったコンセプトカーを公開した。ほかの国産メーカーの作品では、いすゞのコンセプトSUVであるVX-2、世界最小GTを目指して開発されたダイハツのFR-X、コンパクトスポーツのスズキC2などが観客の視線を集めた。

 海外メーカーでは、2つの作品が脚光を浴びる。フォルクスワーゲンのスーパースポーツとなるW12プロトタイプとメルセデスベンツの最上級サルーンであるマイバッハ・コンセプトが披露されたのだ。第32回ショーでは日本メーカーのショーモデルが地味めだっただけに、この2台のドイツ製コンセプトカーはショーの花形に位置づけられていた。

1999年、初の乗用車・二輪車ショー

 開催テーマに「未来発走。くるまが変わる。地球が変わる。」を掲げた1999年の第33回ショーは、21世紀に向けた各社のクルマ造りの指針が感じられる展示内容となった。基本テーマは環境、安全、ITSといった項目で、とくに環境に関しては燃料電池車やハイブリッドの新しい提案が各メーカーから示された。

 トヨタ自動車はハイブリッド4WDシステムを採用するHV-M4(エスティマ・ハイブリッドの原型)を主役に据える。また、電気自動車の共同利用システムである“Crayon”も公開。さらに、国内累計生産1億台を記念して開発されたオリジン、ハイトワゴン+ピックアップのオープンデッキ、電動開閉ハードトップを備えたレクサス・スポーツクーペ(後のソアラ)など、数多くの参考出品車を披露した。日産自動車は電気自動車のハイパーミニやハイブリッドカーのティーノ、直噴ディーゼルを積むサイパクトといった環境対応車のほか、プレミアムセダンのXLV(後のスカイライン)やハイトワゴンのAXYを展示する。またプレスデーの記者発表の席では、ルノーとの提携に関する内容もアナウンスされた。

マツダはロータリーの可能性を追求

 ホンダは燃料電池車のFCX、コンパクトスポーツのスポーケット、キャビン空間の新提案となるノイコム、そして独特のスタイリングとユニークな車名から大注目を集めた不夜城を公開。三菱自動車はGDIシグマシリーズと名づけたHEV/ASG/GPTという3台のコンセプトカーを雛壇に上げる。マツダは新ロータリー車のRXエボルブ(RX-8の原型)が主役で、「ロータリー車はさらに進化する」ことを内外にアピール。ほかにもSUVのアクティビークル・コンセプト(後のトリビュート)やコンパクトカーのネオスペースなどを発表する。他メーカーではスズキのハイブリッドスポーツであるEV-SPORT、ダイハツの3Lカー(3Lの燃料で100km走るクルマ)のマイクロ3、いすゞの本格オフローダーの提案形となる回-KAIなどが注目を集めた。

 第33回ショーは前回と同様に、海外メーカーの参考出品車も華やかで、内容の濃いものだった。メルセデスベンツはSLRロードスター、VWグループが商標・販売権を獲得したブガッティ・ブランドからはベイロン、フォードは観音開きドアの021C、そしてピニンファリーナはモノスペースのMETROCUBOを出展する。また第33回ショーでは海外メーカーの名立たるVIPが数多く来日し、世界規模で広がる自動車メーカーの合従連衡を象徴するムードが醸し出されていた。