RAV4 【1994,1995,1996,1997,1998,1999,2000】

都市を颯爽と駆け抜けた新感覚SUV

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ジュネーブでデビュー!

 小型軽量なボディに比較的排気量の大きなエンジンを組み合わせる。これは、高性能車を造り上げる最も手軽な方法の一つだ。この手法を用いて短期間で生み出されたモデルが、1994年3月のジュネーブ・モーターショーで発表された、トヨタRAV4であった。
 RAV4の名は、4輪駆動/レクリエーショナル/アクティブ/ヴィークル(Recreational Active Vehicle 4WD)のイニシャルで、本格的なオフロード向けの4輪駆動車では手に余るが、積極的にアウトドア・スポーツを楽しみたいと言ったユーザーのために用意されたモデルだった。悪路走破性と安全性を確保するために、フルタイム4WDシステムを備えた全く新しいジャンルのクルマである。

扱いやすいジャストなサイズ設定

 フルモノコックのボディは新設計。エンジンやサスペンション、駆動系はカローラ・シリーズのユニットを多用してコストダウンを図っていた。モデル・バリエーションは少なく、デビュー当初は2ドア+リアゲートの4人乗り1車種で、キャンバストップ仕様などは存在せず、小型軽量化と装備の簡素化による低価格を実現していた。
 ホイールベース2200mmは、国産の本格的オフロード車の草分けである三菱JeepのJ‐3Rと同じであり、全幅と全高も1695mm、1655mmとほぼ同じとなっていた。スタイリングは独特のキュービックなプロポーションが特徴になる。スタイリングは全体に角が取れた丸味の強いもので、リアゲート外側にスペアタイヤが取り付けられているほかは外部に余計な装備もなくスッキリしたものとなっていた。室内も当時の水準からしてもシンプルさが際立つ。

足回りは贅沢な4輪独立!

 都市型4WDに見られがちなRAV4だが、ランドクルーザーを手がけた開発スタッフが仕上げたモデルだけに、そのメカニズムは本格派。搭載されるエンジンは、ボディに対して余裕のある排気量1998ccの水冷直列4気筒DOHC16バルブで、電子制御燃料噴射装置と9.5の圧縮比から最高出力135ps/6000rpmと最大トルク18.5㎏・m/4400rpmを得る。エンジンはこの一種のみ。トランスミッションは4速オートマチックと5速マニュアルの2種から選べた。駆動方式はフルタイム4WDで、操作の簡略化とコストダウンを狙った設計。サスペンションは前がマクファーソン・ストラット/コイル・スプリング、後がトレーリングアーム付きのダブルウィッシュボーン/コイル・スプリングを採用。軽いオフロード走行には十分なサスペンション・ストロークを確保している。ブレーキはベンチレーテッドディスク(前)とドラム(後)の組み合わせだが、当時まだABSはメーカー・オプションとなっていた。

都市型4WDという、新ジャンルを創造

 トヨタとしては、一見中途半端に見えるRAV4にそれほどの販売台数を予想していなかったと言うが、発売されるや大きな人気を獲得し、生産が追い付かない状態になった。取り回しに優れたボディサイズや愛くるしいスタイル、本格的なオフローダーにも迫る走行性能の良さなどが人気の理由だったが、何よりもマニュアル・トランスミッション仕様で176万9千円、オートマチック仕様でも189万8千円と言う2.0リッター級としては破格の低価格が魅力だったRAV4の登場で、日本での小型4WD時代が始まったと言って良い。