コロナ 【1982,1983,1984,1985】

ジェームズ・ボンドも愛したトヨタの実力車

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打倒ブルーバードを目指しフルチェンジ!

 7代目のコロナは、3年4ヵ月という短いインターバルで先代からバトンタッチした。7代目の登場が早まったのはライバルであるブルーバード(910型)にベストセラー(小型車クラス)の座を奪われ、存在感が薄くなったからだった。コロナは、カローラ、クラウンと並ぶトヨタの主力モデルである。販売台数でブルーバードに負けることは大きな屈辱だった。

 7代目の内容は意欲的だった。従来のコロナは「石橋を叩いて渡る」という表現が適切なほど斬新なメカニズムの採用に慎重で、信頼性をなにより重視していた。しかし7代目はシャシー回りを前年に登場したセリカやカリーナと共通化し、俊敏なハンドリングを実現する。スポーティグレードの足回りは前ストラット式、リアセミトレーリングアーム式の4輪独立タイプで、標準仕様でもリアはトレーリングリンク式にグレードアップした。ステアリングは全車ともシュアな手応えを示すラック&ピニオン式である。

フレッシュ感覚のシャープなスタイリング

 直線基調のシャープなスタイリングも目を引いた。ラインアップはコロナ伝統の2ドアハードトップと、4ドアセダンの2種類。大型の角形ヘッドランプとスラントノーズの組み合わせは両ボディともに共通だったが、シルエットはまったく異なり、2ドアハードトップはスペシャルティ感覚満点。セダンも若々しい印象でまとめていた。とくに2ドアハードトップは3枚のガラスを組み合わせた大型リアウィンドーやピラーレス構造によりグラッシーなキャビンを実現しており、全長4505mm×全幅1665mm×全高1315mmのサイズ以上の伸びやかさを感じさせた。

 インテリアデザインは基本コンポーネンツこそハードトップとセダンで共通なものの、細部のリファインで巧みに差別化が図られた。ハードトップはスポーティかつエレガントに、セダンは格調と高い品質が実感できるように仕上げられていた。ちなみにハードトップ、セダンともにミドルクラスの代表モデルらしく室内の広さは十分で、前席はもちろん後席の居住性もクラス水準を抜くレベルだった。

快適性へのきめ細やかな挑戦!快適装備を満載

 コロナはトヨタの主力モデルだけに快適性追求に熱心だった。装備は充実していた。上級グレードでは先進的なデジタルメーター、航続距離や消費燃料を表示するクルーズコンピューター、オートドライブ、キーの抜き忘れやライトの消し忘れを女性の声で知らせるスピークモニターを設定。超音波で障害物への接近を知らせるバックソナーもコロナが世界で初めて採用したアイテムだった。

 セダンの上級モデル用に新開発したシートヒーターやリアリクライニングシートも話題を呼ぶ。運転席&助手席の両方に設定されたシートヒーターは電気式で、ヒーター効果を上げるため専用シート素材を採用、強弱2段階式の温度調節が可能だった。2重回路、サーモスタット&サーマルプロテクターなど安全についての配慮も万全を期していた。リアリクライニングシートは後席パッセンジャーに大きなゆとりを与えた。シートバックが後方に3度リクライニングするだけでなく、センターアームレストや回転式ヘッドレストを装備。クラウン並みの快適性を実現していた。

1982年秋、日本初のDOHCターボを設定!

 エンジンは1968ccの18R-GEU型・直列4気筒DOHC(135ps)を筆頭に、経済性を重視した1452ccの3A-U型・直列4気筒OHC(83ps)まで合計5種類を用意した。主力ユニットは新世代エンジンとなる1832ccの1S-U型・直列4気筒OHC(100ps)。燃費性能に優れた1839ccの1C型・直列4気筒OHCディーゼル(65ps)はセダンのみに用意された。トランスミションは4速&5速マニュアルと3速&4速オートマチックをエンジンタイプ別に組み合わせる。

 7代目コロナは、1982年9月に日本初のDOHCターボ搭載モデルを設定し、1983年1月には全面新設計のFF5ドアモデル、同年10月にはFFセダンを加えるなどラインアップを充実していく。当初こそライバルのブルーバードの販売成績に叶わなかったが、しだいに肉迫。ついには抜き去り小型車クラス・ベストセラーの座を奪回した。ちなみにCMキャラクターは007のジェームズ・ボンド役を務めたロジャー。ムーアが務めた。