エクリプス 【1994,1995,1996,1997,1998,1999】
2代目和製アメリカンスペシャルティ
1995年6月、スポーティークーペの三菱エクリプスがフルモデルチェンジして第2世代となった。実は、一年前の1994年にアメリカではすでにデビューしており、一年遅れての日本市場への導入だった。車名のエクリプス(Eclipse)とは、18世紀に英国で活躍した競走馬の名前に由来する。
三菱自動車は、1970年にアメリカのクイライスラー社と資本提携を締結、日本で生産する三菱車の一部をアメリカの市場向けにクライスラーブランドで販売していた。1985年にはクライスラー社との合弁でダイヤモンドスターモーターズを設立、初代のエクリプスとミラージュの生産を開始、エクリプスはプリマス レーザーおよびイーグル タロンの名で、またミラージュはイーグル サミットの名で販売していた。
初代のエクリプスはギャランのシャシーコンポーネンツを流用し、4人乗りの3ドアハッチバッククーペのボディーを組み合わせたモデル。第2世代のモデルはエンジンなどのパワープラントはランサーのものだが、シャシーコンポーネンツは初代同様にギャランのものを使っている。日本市場では、アメリカのダイヤモンドスターモーターズ社で生産したものを日本へ逆輸入する形で販売されていた。モデルは2リッターの直列4気筒エンジンを搭載した前輪駆動仕様のみであった。
2代目のボディはスタイリングを一新し、初代のエクリプスに比べてより曲面を多用した先鋭的なものとなった。搭載されるエンジンは、ランサーエボリューションにも使われていた排気量1997㏄の直列4気筒DOHC16バルブにインタークーラー付きターボチャージャー装備(4G63型、出力MT230ps/6000rpm)で、駆動方式はフロント横置きエンジンによる前2輪駆動となる。
トランスミッションは5速マニュアルと4速オートマチック。サスペンションは前後ともマルチリンク/コイルスプリングの組み合わせで、将来的に4輪駆動仕様の導入を見越していたものと思われる。ブレーキは前がベンチレーテッドディスク、後ろがソリッドディスクでサーボ機構を備える。車重は1330㎏(MT)と軽くはなかったが、パワフルなエンジンのおかげで、性能的には十分以上のレベルを実現していた。
直接的なライバルはトヨタ セリカや日産シルビア/ガゼール、マツダRX-7などであったが、輸入される台数が限定されていた(クーペは2870台を日本で販売)ことや、価格(MT236万円/AT247万円)に割高感があったことなどで販売は期待されたほどには伸びなかった。
1996年5月には第2世代のエクリプスをベースとしたオープン仕様のスパイダーが加わる。電動ソフトトップを備えた4人乗りのオープンボディーは特に後部座席が狭く、実際上は2+2であった。エンジンなどメカニズムには変わりなく、価格は288万円となっていた。
スパイダーモデルがデビューした1995年7月に、三菱自動車は、経営危機に陥っていたクライスラー社が所有していたダイヤモンドスターモーターズ社の株式の50%以上の取得に成功し事実上の子会社化。社名をMMMA(Mitsubishi Motor Manufacturing of America Inc.)とした。エクリプスの逆輸入による本格販売はこの2世代のモデル目以降は中止された。もはや高性能パーソナルカーの時代は過ぎて、世界的にSUVやミニバンの時代が到来していたからだ。
だが、日本市場以外では1999年7月に第3世代が、2005年5月には第4世代のモデルがデビューしている(3世代目に関してはスパイダーモデルのみが2004年に日本上陸)。