インテグラ 【1993,1994,1995,1996,1997,1998,1999,2000,2001】

個性的なマスクで話題をさらった3代目

会員登録(無料)でより詳しい情報を
ご覧いただけます →コチラ


インテグラに求められる性能とは−−

 小型車のシビック・シリーズとミディアムクラスのアコード・シリーズとの間を埋める量産スペシャルティに位置づけられたインテグラ。同車はバブル景気の名残が漂う1990年代初頭に、3代目となる新型の開発を推し進めていた。
 インテグラに求められる性能を様々な角度から検討した結果、ホンダのスタッフは開発テーマを「スポーツマインドの深化」に決定する。走りにおいてもデザインにおいても、ドライブすることの気持ちよさ、すなわち“走快”の実現を目標に掲げた。

 フォルムは、スポーツキャラクターを明快に打ち出す。ホイールベースは従来型比で20mm延長。全長は3ドアクーペが10mm短縮の4380mmとし、4ドアハードトップでも45mmの拡大にとどめた。スタイリングについては、“100mアイキャッチ”をテーマに先進性と躍動感に満ちたスタイルを構築する。大きな特徴はフロントマスクで、「遠くから見ても違いが分かる新しい顔」としてバンパーにインテグレートした独立丸型4灯式ヘッドランプ(内側リフレクター式ハイビーム/外側プロジェクター式ロービーム)を採用した。さらに、ホイールアーチと面一化したマスキュラーフェンダーやスプリットタイプのリアコンビネーションランプ、国産乗用車最大級の面積を持つビッグラウンド・テールゲートウィンドウ(クーペ)など、各部にも個性を持たせた。

ジャストフィットを追求した室内空間

 インテリアは「シンプルで力強いデザインとジャストフィット感」の創出を主要テーマに開発を進める。インパネは緩やかな面で構成したうえで、立体的な新感覚センターコンソールや発光指針4眼メーター、ホールド性に優れたフロントシートなどを装着。またステアリングについても、グリップの断面形状や指がかかる凸部の位置などを徹底的に見直した。積載性の面では、クーペがビルトイン・テールゲートオープナーの採用を、ハードトップがトランク容量自体の増大を実施し、使い勝手の向上を図っている。

 搭載エンジンは、新開発のB18C型1797cc直4DOHC16V・VTEC(180ps/170ps)を筆頭に、B18B型1834cc直4DOHC16V(145ps)/ZC型1590cc直4OHC16V(PGM-FI仕様120ps/キャブレター仕様105ps)を用意する。ミッションはB18C型に新開発のショートストローク&高剛性の5速MTとプロスマティック・タイプIIの4速ATを組み合わせた。シャシーは改良版の4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションで、リアには新開発の高剛性ハブユニットベアリングを、フロントには大径パフォーマンスロッド&タワーバーやボールジョイント式フロントスタビライザーを組み込む。駆動機構はFFのほかに、新開発のデュアルポンプ式リアルタイム4WDを設定(ハードトップのみ)。ブレーキシステムには新開発の3チャンネル・デジタル制御ABSを採用(市販時はオプション設定)した。

3ドアクーペ、4ドアハードトップの順で市場デビュー

 スポーツキャラクターを前面に打ち出した3代目インテグラは、まず3ドアクーペ(DC1/2型)が1993年5月に、続いて4ドアハードトップ(DB6/7/8/9型)が同年7月にデビューを果たす。キャッチフレーズはクーペが「ドラマチック・レスポンス」、4ドアハードトップが「ここちよい挑発」と冠した。

 3代目インテグラは、特異なフロントマスクが注目を集める。ついたニックネームは“深海魚”。その評価は賛否両論で、賛同派は既存車にはない斬新なアレンジとして、否定派はスポーティに見えない顔として捉えていた。一方、B18C型エンジン+新5速MTと改良された4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションによる高性能な走りは、とくに走り好きのユーザーから高く評価された。

究極のスポーツモデルを設定

 個性派スペシャルティに一新された3代目インテグラは、デビュー後も様々な改良と車種追加を実施していく。
 1994年4月には上級仕様のZXエクストラを追加。1995年9月にはマイナーチェンジを敢行し、薄型の横長ヘッドランプを組み込んだオーソドックスなフロントマスクに一新する。同時に、NSXに続く第2弾の“タイプR”をインテグラのクーペ/4ドアハードトップに新設定した。タイプRの搭載エンジンはB18C型をベースに、圧縮比のアップやピストンおよびバルブの改良、インテークポート/バルブシートの研磨などを実施したユニットで、パワー&トルクは200ps/18.5kg・mを発生する。さらにタイプRは、トルク感応型ヘリカルLSDや専用セッティングのハードサスペンション、レカロ製バケットシート&MOMO製本革巻きステアリングなども組み込んでいた。

 1996年3月になると、インテグラに4ドアセダン仕様の“SJ”が追加される。シビック・フェリオをベースに専用デザインのフロントおよびリア回りを採用し、3ステージVTECエンジンなどを積み込んだインテグラSJは、保守派ユーザーの高い支持を集めた。
 その後もインテグラは様々な改良を繰り返し、21世紀に入ってもモデルの生産が続けられる。そして2001年7月、ついに4代目となるDC5型系に切り替わった。結果的に3代目インテグラは、当時の量産車としては異例の8年2カ月という長寿命を記録したのである。