ソアラ 【1981,1982,1983,1984,1985】

ハイパフォーマンスで時代を変えたGT

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国産スペシャルティを極める

 ソアラは、日本のスペシャルティカー代表として、1981年2月にデビューした。「ソアラ」とは、上昇気流を意味する。
 ボディサイズは全長4655mm、全幅1695mm、全高1360mm、ホイールベース2660mmと堂々たるもので、組み合わされるエンジンは2種。いずれも電子制御燃料噴射装置を備えており、直列6気筒DOHCで排気量2759cc(170ps)と、直列6気筒SOHCの排気量1988cc(125ps)が選べた。

 コイルスプリングを用いた4輪独立懸架、4輪ディスクブレーキの装備、パワーアシスト付きラック&ピニオン式ステアリング、3分割式プロペラシャフトの採用など、メカニズム上の新機軸を見ても、ソアラが国際的なレベルで設計されているモデルだった。

見る者を魅了するスタイリング

 ボディスタイリングは、クリーンノッチバックと呼ばれるシャープなエッジを持った特徴的な造形。薄く小さなルーフ部分を支える6本のピラーは細くデザインされており、ウエストラインが低く、前後左右の窓面積は大きい。空気抵抗係数Cd=0.36で、国産同クラスのクルマとしてはきわめて優れた値を示していた。装備は豪華さと多彩さでは群を抜いており、速度やエンジン回転数などをすべて電子表示としたエレクトロニック ディスプレイメーター、コンピューター制御のフルオートマチック エアーコンディショナー、番組予約付き電子同調AM/FMラジオ、コンピューター制御のクルーズコントロールなど、クルマ全体が電子制御の塊と言えるものとなっていた。すでに、クルマは電子制御の時代に突入していた。

当時のカーエレクトロニクスを極めた装備群

多彩な装備の中でもエレクトロニック ディスプレイメーターは印象的だった。デジタル式のスピードメーター、発光ダイオードによるゾーン式のタコメーター、そして、燃料系に至るまで、「針」をメーターパネルから完全に廃していたからだ。
 設定した速度になるとアラームが鳴るスピードアラームやオートドライブ、そして、半ドア時などに電子合成の女性の声が注意を促すシステムなど、先進のカーエレクトロニクスはソアラが新たな時代を牽引する存在であることを実感させた。

多様化する国産車の象徴的な存在

 販売価格は高価だった。最もベーシックな2000VIでも166万2000円、最上級の2800GTエクストラでは293万8000円に達した。ソアラは、好景気に沸く日本では高い人気を集め、トヨタのスペシャルティカーとして大きな成功を収める。ソアラのデビューをきっかけとして、ライバル他社も相次いで高級スペシャルティカーの開発を開始する。クルマはいよいよ多様化の傾向を強めることになった。