シャルマン 【1974,1975,1976,1977,1978,1979,1980,1981】

オリジナルデザインのカローラ上級車

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カローラを基本とする上級セダン

 ダイハツは、1967年にはトヨタと業務提携を締結する。そのダイハツが、コンソルテ・ベルリーナ(1969年)に続いて、本格的なファミリーカーとして、1974年に登場させたのがシャルマンである。基本的にはトヨタ・カローラのダイハツ版なのだが、流用しているのは、エンジンやトランスミッション、サスペンションなどのパワートレーン、およびフロントドアだけであった。内外装はダイハツが独自にデザインしていた。ボディバリエーションは3ボックススタイルの4ドアセダン1種だが、エンジンは1400と1200の2種、室内装備の違いにより、デラックス、カスタム、ハイカスタムの3グレードを設定した。価格はカローラよりわずかに高かった。ハイカスタムで81万6000円。

ダイハツ車としての個性を発揮

 搭載されるエンジンは、1400シリーズがトヨタ製のT型で、水冷直列4気筒OHVで排気量1407cc、出力86ps/6000rpm、トルク12.0kg-m/3800rpmのユニット。1200シリーズには3K‐H型直列4気筒の1166cc、出力71ps/6000rpm、トルク9.7kg-m/3800rpmだった。

 ボディサイズはほぼカローラに準じたもの。各部にダイハツ独自のデザインが採り入れられており、上質感を感じさせるものとなっている。たとえば、フロントグリルの中に収められた丸型4灯式ヘッドライトは、この当時のこのクラスの車としては最初のものだった。また、室内の造りやデザインも、同クラスのカローラなどよりも上品かつ入念で、上級車にも引けを取らないレベルだった。絶対的な性能はともかくとしても、こうした細かな部分で、おそらく、「ダイハツでなければ〜」という熱烈なファンが少なからず存在していたのだろう。日本のマーケットにおける中小メーカーの在り方を示したモデルだといえる。

マルチユースレバーという親切装備

 シャルマンのカタログを眺めると、「マルチユースレバー」という名の装備が目につく。ステアリングコラムから左右に突き出たレバーで、右側のレバーがヘッドライト、ビーム切り替え、ターンシグナル、パッシングライト、レーンチェンジャーの5つの機能。左側が2ピードワイパーとウォッシャーだ。現代のモデルに多く見られるスイッチだが、当時では珍しく、デビュー時の報道向け資料に「スイッチ類をステアリングコラムに集中させたマルチユースレバーによりシートベルト装着時でも操作は容易」とある。フラッグシップながらユースフルなキャラクターは装備の新採用に表れていた。