ミニカ 【1962,1963,1964,1965,1966,1967,1968,1969】

FRレイアウトの3ボックス軽自動車

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ライトバンから誕生した乗用車

 新しい三菱製軽乗用車「三菱ミニカ」が発売されたのは、1962年10月だった。当時、すでに三菱は軽自動車規格のボンネット型貨客兼用車(つまり、ライトバンである)の「三菱360」を販売していた。ミニカは、この三菱360をベースにした乗用車だった。三菱360の大きな特徴は、ボディがモノコックというべき構造を持っており、エンジンをはじめとするドライブトレーンは、数本のボルトを緩めることで比較的簡単に脱着できることだった。この時代の国産車としてはかなり進歩的な構造である。

 駆動方式はフロントエンジン、リアドライブ。荷物を積むことを優先するライトバンでは、 FR方式が圧倒的に有利である。ミニカでは、ライトバンの三菱360のBピラーまでをそのまま用い、ルーフ後半部分をノッチバックスタイルとして2名の座席スペースを確保する。さらに、リアウインドウをほとんど垂直まで立てて、後部座席乗る乗員のヘッドスペースを広くしていた。小さいながら後部には独立したトランクスペースがあり、これは軽自動車中最も容量の大きな容量があった。

 ボディサイズは全長2995mm、全幅1295mm、全高1370mm、ホイールベース1900mm。エクステリアは、メッキを施したラジエターグリル、サイドモールディング、筆記体で描かれたメッキのエンブレムなどで高級感を演出していた。

ルーミーな室内が魅力ポイント

 搭載されるエンジンは、2サイクルの空冷直列2気筒で排気量は359cc、出力は17ps/4800rpm、トルクは2.8kg-m/3500rpmと実用上十分なもの。トランスミッションはコラムシフトの4速MTが採用されている。サスペンションなどは三菱360からの流用で、前が横置きリーフスプリングによる独立懸架、後は縦置きリーフスプリングによる固定軸となっている。いずれも、複動型油圧ショックアブソーバーが併用される。ブレーキは4輪ドラムでサーボ機構はない。タイヤサイズは、当時の軽自動車としては標準的な5.20-10サイズのバイアスタイヤが装備される。

 室内は前後の前後スライド調節が可能なツートンのシート(前席)や扇型のメーターナセル、白色でホーンリングの付いたステアリングなどで、乗用車的な雰囲気を醸し出している。後部座席のレッグスペースはミニマムではあるが、短時間であれば大人ふたりが座れた。天井が高いので、閉鎖感がないのは誉められてよい。最高速度は86km/h、価格は38万5000円であった。

好セールスを維持した長寿モデル

 当時の軽自動車の多くが、リアエンジン、リアドライブ、あるいはフロントエンジン、フロントドライブ方式が多かった中にあって、フロントエンジン、リアドライブという、小型車並みの駆動方式と特徴的なスタイリングが人気を集め、ミニカの販売は好調に推移する。

 誕生直後の1962年度には4399台、1963年度には8915台のセールスをマーク。1964年11月には大がかりなマイナーチェンジが実施され、1967年5月には21psへのパワーアップを果たし、1968年9月に再びのマイチェンを受け、その年の10月には、水冷エンジン(23ps)を搭載したスーパーデラックスが登場(空冷もラインアップとして残る)。2代目ミニカ(1969年7月発売)への移行まで、7年もの間、生産を行った人気者に成長した。

 ちなみに1964年11月のマイナーチェンジのポイントは新エンジンの導入だった。新開発されたリードバルブ管制方式パワーユニットは、2サイクルエンジンの宿命だった低速出力(低速トルク)を高めた画期的なエンジンとして脚光を浴びた。低速時の吸気のキャブレターへの吹き返しを防止し、吸気がもれなくシリンダーに供給されるシステムを導入。従来型(初期型)と比較し、最大トルクは0.3kg-mアップし、3.1kg-m/3000rpmに。最高出力は18ps/4800rpmに改善。0→200m加速は、0.3秒上回り16.5秒となった。