カルディナ 【1992,1993,1994,1995,1996.1997】

理想のワゴンを目指した高品質モデル



ワゴンのリーダーカーを目指して開発

 カルディナはライフスタイルをより豊かにするクルマを求めるユーザーニーズの高まりに対応して、トヨタが1992年11月にリリースした自信作だった。モデル系譜的にはカリーナ・サーフの後継車だが、カルディナはセダン派生の脇役だったカリーナ・サーフとは異なっていた。スタイルからメカニズムまで、すべてが理想のステーションワゴンを目指していた。

 レガシィ・ツーリングワゴンの成功によってワゴンの人気が高まっていただけに、開発姿勢は実に意欲的だった。ちなみにカルディナ(CALDINA)というネーミングは、「中心的な、主要な」を意味するイタリア語のCARDINALEからの造語だ。ネーミングからもワゴンのリーダーカーを目指していたことが見て取れる。

同一ボディで商用車のバンも設定

 カルディナは扱いやすい5ナンバーサイズのなかに優れたユーティリティを盛り込んだワゴンだった。ラウンディッシュな面で構成したフォルムは伸びやかで、しかもスポーティな色彩が強かった。大型ガラスサンルーフをレイアウトしたRVイメージのスカイキャノピー仕様(1993年2月販売開始)の設定や、標準ルーフ仕様の全車にお洒落なルーフレールを装備するなどワゴンらしい遊びゴコロを巧みに盛り込んでいた点も光った。

 ただしフロント回りの造形や、2580mmのホイールベース数値から理解できるようにカルディナのベースはコロナだった。コロナより数段若々しく変身していたものの、新鮮な印象は薄かった。さらに残念だったのは基本的に同じスタイルで商用車のカルディナ・バンも同時デビューさせたことだった。
 バンはルーフレールがなく、各部の仕上げもシンプルな生粋の仕事グルマだった。バンの設定はカルディナのラゲッジスペースの広さと使い勝手のよさを象徴していた。つまり機能に優れたことの証明だった。しかしパーソナルユースの上質なクルマとしてワゴンに注目していたユーザーは落胆した。

 最大のライバルであるレガシィ・ツーリングワゴンは、商業車のバンを設定せず、あくまで豊かなライススタイルをサポートするワゴンという価値観にこだわっていた。カルディナはバン派生のステーションワゴンではなく、どちらかと言うとステーションワゴンから派生したバンを持つニューカマーだったが、ユーザーはレガシィのほうがより上質なワゴンと考えた。まだまだ日本のユーザーは実質機能ではなくイメージでクルマの価値を図っていたのである。

快適装備を満載! 走りは俊敏な印象

 カルディナのラインアップは充実装備のTZ、中心モデルのCZ、そしてシンプルなFZの3グレード構成だった。全車にオートエアコン、3本スポークステアリング、大型コンソールボックス、パワーウィンドーを標準装備するなど快適性についての配慮は万全で、ラゲッジスペースも後席に6対4の分割可倒機構を盛り込み、クラス最高のユーティリティと広さを誇った。

 エンジンはガソリンが直列4気筒DOHC16Vの自然吸気型で、1998ccの3S-FE型(140ps・4WD仕様は135ps)と1838ccの4S-FE型(125ps)の2種。経済性を重視するユーザー向けに1974ccの2C型ディーゼル(73ps)もラインアップした。トランスミッションは電子制御式4速AT(ECT-S)がメインで、グレードによっては5速マニュアルも選ぶことができた。駆動方式はFFと、4WDの2タイプである。ちなみに4WDのメカニズムはMT車がセンターデフとビスカスカップリングを組み合わせた方式、AT車は前後輪の回転差、車速、スロットル開度などの情報を元に油圧多板クラッチを電子制御して駆動力を配分するECハイマチック方式を採用していた。

RVワゴン、魅力的なスカイキャノピーの内容

 カルディナの新世代ワゴンらしさを象徴したのがスカイキャノピーだった。標準モデルと比較してルーフ部を85mm高め、大型のサンルーフを備えたスカイキャノピーは、開放感たっぷりの室内を実現する。サンルーフは5分割構造で、前端部はチルトが可能。日差しが強いときにはシェードを引き出すことも可能だった。前席はもちろん、とくに後席から眺めるスカイキャノピーのパノラマは素晴らしいものだった。まるで青空を友達にしたような錯覚に陥ったほどだ。上級グレードのTZをベースにしていただけに装備も充実しており、作り手の遊びゴコロを感じる個性派だった。

 カルディナは気持ちのいい走りと、しっかりとした乗り心地、そして広いラゲッジスペースを持った新世代モデルだった。乗るほどに開発陣の熱意が感じられる上質なワゴンといえた。販売も好調に推移しトヨタの主力モデルの1台に成長する。しかし残念ながらステーシンワゴンのリーダーカーだったレガシィ・ツーリングワゴンを販売面でもイメージ面でも凌ぐことはできなかった。実質機能ではレガシィに劣るところはなかったが、バンの設定も含めプラスαの上質さの訴求という点で及ばなかったからだ。