コロナ 【1970,1971,1972,1973】

“理想のファミリーカー”を目指した4代目

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時代に即した数々の新機軸を採用

 ベストセラーカーであるRT40型コロナの後を受け、1970年2月に登場した第4世代のコロナ(RT80型)は、基本的には旧型からのキープコンセプトではあるが、数々の新機軸を盛り込み、時代に即した進化を遂げていた。

 ボディは新しく設計されたフルモノコックだが、ボディの中にフレームを一体化したトヨタ独特のビルトインフレームと呼ばれる構造を採用、ボディ剛性を飛躍的に向上している。ボディスタイリングは3ボックスの4ドアセダンという基本は変わらないが、旧型のイメージは残しながらも、きわめて近代的なスタイルとなった。ホイールベースは2430mmで、旧型のRT40系よりは10mmほど長くなっている。サイドウィンドウに曲面ガラスを使い、キャビンスペースを拡大するなど、新しい時代の感覚を巧みに盛り込んだものとなった。

 インテリアのデザインも全く新しくなり、3個の大型円形メーター(標準仕様では右端は時計、スポーティーモデルのSLではエンジン回転計となる)を収めるインスツルメンツパネルはドライバー側の部分が一段高くされて、パーソナルカーの雰囲気を感じさせるものとなっている。スポーティー仕様ではフロアシフトのシフトレバーを中心にしたセンターコンソールが装備される。

電子制御オートマチックを初搭載

 装備されるエンジンは基本的には旧型からのキャリーオーバーだが、1490ccの4気筒OHVエンジン(77ps/5200rpm)の他に、ひとクラス上のマークIIにも搭載される2種類の1591ccの4気筒OHCエンジン(シングルキャブ仕様85ps/5500rpm、ツインキャブ仕様100ps/6200rpm)が加わった。トランスミッションは、3速マニュアル、4速マニュアル、2速オートマチックに加えて国産車では初となるコンピューター制御のEATと呼ぶ3速オートマチックが設定された。EAT(Electronic Controlled Automatic Transmission)と呼ばれるこのシステムは、従来の油圧による変速制御を電子デバイスに置き換えたもので、今日で言うマニュアル操作も可能なオートマチックである。クルマの高度な電子化へのパイオニアとなるものでもあった。

スポーティ仕様はディスクブレーキ装着

 サスペンションは、当時としては少数派となりつつあった前・ダブルウィッシュボーン/コイルスプリング、後・半楕円リーフスプリングで吊ったリジッドアクスルの組み合わせだった。ブレーキはスポーティー系モデルのフロントブレーキにディスクブレーキが用いられていたが、他は基本的に4輪ドラムブレーキであった。駆動方式はフロントエンジン、リアドライブである。価格は52万2千円から74万4千円まで。EAT装備は12万円〜12万5千円高くなる。

本格高速時代に対応したパフォーマンス

 第4世代のコロナは東名高速道路の全線開通など本格的な高速時代の到来に対応して高いパフォーマンスを実現していた。主力モデルの1600デラックスの最高速度は155km/h。0→400m加速タイムは18.4秒、スポーティー仕様の1600SLではそれぞれ165km/h、17.7秒に向上した。航続距離を伸ばすため燃料タンク容量も従来の45Lから50Lへと増量したのもポイントだった。

 安全装備も充実。全車が運転席と助手席に3点式シートベルトとヘッドレストを標準装備し、インサイドミラーも衝撃を受けると脱落するタイプを採用した。さらに一部車種には衝撃吸収タイプのステアリングを装備する。当時の保安基準を上回る安全装備の数々はベストセラーカー、コロナに寄せるユーザーの高い信頼を具現化したものだった。