ラルゴ 【1993,1994,1995,1996,19971998,1999】

ワゴン専用開発。走り快適な上級ミニバン



セレナを基本にすべてをリファイン

 1980年代にアメリカで生まれたワンボックス型の多用途車、つまりミニバンは、たちまち世界的な大流行となった。大げさにいえば、それまでセダン、ステーションワゴン、ピックアップの3台で使い分けていた機能を、ミニバン1台でこなせるようになったのだ。こんな便利なクルマはない。このミニバンの流行は、日本のメーカーにも波及することになる。
 日本で生まれたミニバンの一つが、1985年9月に発表された日産 チェリー&サニー・バネットであり、発展型として1991年6月にバネット・セレナが登場する。ラルゴは、このセレナのボディを大型化した進化型。1993年5月に登場した。ラルゴとなったモデルでは、バンなどの商用車的な要素は見られず、性能や室内装備などの点では大型のボックス型ボディを持った乗用車に近いものとなっていた。ラルゴ(Largo)の車名は、イタリア語でゆったりした拡がりを意味する音楽用語だという。
 チェリー・バネットに始まる日産製ミニバンのシリーズとしては5世代目、ラルゴとなってからは3世代目となるモデルは、1993年5月にデビューした。短めのボンネットをフロントに突き出したスタイルは、ワンボックスに対して1.5ボックスなどと呼ばれることもあった。

3ナンバーサイズの専用ボディを採用

 ラルゴは「高品質で快適なドライバーズワゴン」を開発のコンセプトとし、乗用車登録となるワゴン仕様のみの展開となっていた。直接のベースとなったのはバネット・セレナで、全長を270mm延長して4585mmに、全幅を50mm増の1745mmに、全高を10mm増して1835mmに、ホイールベースは40mm延長して2735mmとした。この結果、ボディサイズは3ナンバーサイズとなった。内外装を豪華仕立てとし、エンジンも強力なものを組み合わせて、ワゴンとは思えない高性能な走りを実現した。また、ラルゴが国内専売モデルであったことも特徴的なことである。それは、日本市場以外では、これほど豪華装備を持ったワンボックス型ワゴンは必要とされていなかったからであった。

パワフルな心臓と豊富な装備が快適な走りを約束

 搭載されるエンジンは排気量2388ccの直列4気筒DOHC16バルブのガソリン仕様(145ps/5200rpm)と1973ccの直列4気筒SOHCディーゼルにターボチャージャーを組み合わせたターボディーゼル仕様(100ps/4400rpm)の2種。トランスミッションは4速オートマチックが2種となる。駆動方式はフロント縦置きエンジンによる後ろ2輪駆動およびフルタイム4輪駆動の2種があった。サスペンションは前がマクファーソンストラット/コイルスプリング、後ろはマルチリンク/横置きリーフスプリングと乗用車的な組み合わせとなっていた。

 室内装備は高級セダン並みに充実したもので、独自デザインのインスツルメンツパネルや多種多様なアレンジメントが可能な7人乗りが可能なシート、大型サイズのガラスルーフ(パノラマビュートップと称した)、側面のオートスライドドアなどを採用していた。意識的にステアリングポストとドライバーズシートの位置関係を、セダンに近いものとしただけあり、ミニバンに特有のドライビングポジションの違和感はほとんどなかった。ミニバンの完成形と言えた。

上質な走りと快適性にこだわったGTパックの存在

 ラルゴの新世代ミニバンぶりを象徴したのが“GTパック”だった。上級グレードのグランデージとSX-Gのガソリン車に設定されたオプションパックで、スーパーHICAS、電子制御サスペンション、電子制御パワーステ、ビスカスLSD、パノラマビュートップ、ルーフスポイラー、前後マッドガードの専用装備を組み込んでいた。シャープなハンドリングと快適な乗り心地を実現する足回りアイテムと、爽快なクルージングをサポートするガラスルーフ、そしてスポーティなスタイリングパーツをセットしたGTパックは、パーソナル志向のミニバンというラルゴのキャラクターを象徴するものだった。