モビリオ 【2001.2002,2003,2004,2005,2006,2007,2008】

独自性にあふれたコンパクト7シーター

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タウンユースで活躍する小型ミニバン

 RVブームが定着し、ミニバンが圧倒的な人気を見せていた2001年12月、ホンダから登場したコンパクトな7人乗りモデルのモビリオ。それまで販売していた1.5Lクラスのトールワゴンであるキャパに代わってデビューした。全長4m程度の小さなボディに3列シートを配置する、という神業とも言えるパッケージングが特徴となっていた。

 同年5月にトヨタからはカローラ スパシオの2代目がデビューしていたが、4055mmのモビリオの全長は、4260mmの2代目スパシオよりも205mmも短いものだった。モビリオは、すでにその年の6月にデビューしていたフィット同様、グローバルスモールプラットフォームを採用。燃料タンクを車体中央のフロントシート下に配置する構造が、キャビンのスペース効率を飛躍的に向上させ、「4mのコンパクトボディ」と「3列シート」という組み合わせを実現した。

デザインは路面電車がモチーフ!?

 モビリオのエクステリアは、とてもユニークだった。フランスのストラスブールや、イタリアのミラノなどヨーロッパの各都市で活躍する路面電車、ユーロトラムがデザインのモチーフ。低い床と圧倒的に大きな窓を持つ近未来的なデザインの路面電車のイメージを取り入れていた。モビリオを目にすれば、誰もがその窓の大きさに驚くはず。スリーサイズは4055×1685×1740mm。同じプラットフォームを持つコンパクトカーのフィットと比較すると210mm長い全長を持つが、幅は5mmだけワイド。全高は180mmも背が高く、トールデザインがディメンションの特徴である。

 フロントセクションは大型のヘッドライトがそのショートノーズをさらに引き立たせている印象を放つ。そこに取り付けられたサイドターンランプは、半球状のもの。相手からの視認性を存分に確保させながら親しみやすいフロントマスクの創造に寄与している。サイドには使い勝手に優れたスライドドアを左右に設置。このスライドドアの採用もユーロトラムと似た部分である。リアゲートは低床のトールボーイであるがゆえの大型タイプで、バンパーのすぐ上から跳ね上がる。

パワーユニットは実用的な1.5L

 搭載エンジンは、1496ccの直列4気筒SOHC8V。最高出力90ps/5500rpm、最大トルク13.4kg-m/2700rpmを発揮する実用タイプのパワーユニットである。サスペンションは、フロントがストラットで、リアはFFモデルがトーションビーム、4WDモデルがド・ディオン式。タイヤサイズは全車で共通の185/65R14となっていた。

 インテリアでは、大型の各ウインドウによるパノラミックな視界が魅力。そのほか、多彩なシートアレンジはミラクルシートアレンジと銘打たれ、フルフラットシートはもちろんのこと、さまざまなスタイルを可能にしていた。なかでも、サードシートのダイブダウン機構は、サードシートがセカンドシートの下にすっぽりと収まるという他車にはない魅力のひとつだった。

車種ラインアップはシンプル構成

 グレード設定は、上級グレード、中核グレード、ロワグレードの3タイプ。グレード名は、上級から順番に、W、A、Yとなっており、そのまま英語のWAYとなるユニークさもユーザーを大いに楽しませてくれた。
 用意されたトランスミッションは、ホンダマルチマチックS(無段変速)のみ。駆動方式は全グレードにFFと4WDを設定していた。搭載エンジンは1種なので、ユーザーは3タイプのグレードから好みのものをチョイスし、あとは駆動方式を選択するだけのシンプルな車種構成を持っていた。

 全車7名乗りのモビリオ登場から1年足らずの2002年9月に、2列シート/5名乗りのモビリオスパイクが登場。VTECエンジンの追加なども経て、モビリオは2008年、フリードに後を任せる形でラインアップから退いている。しかし、そのコンセプトとキャラクターは独自性にあふれるもの。ホンダの歴史を飾る名車である。