アルテッツァ 【1998,1999,2000,2001,2002,2003,2004,2005】

クルマ好きを魅了したFR+NAの4ドアスポーツ

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AE86の兄貴分!?にファンが興奮

 トヨタを代表するスポーツモデルのひとつ、カローラ レビンとスプリンター トレノ。そのレビン&トレノの4A-G型エンジン(1.6LDOHC16V)搭載車が、FRモデル(AE86型)から、FFモデル(AE92型)にスイッチされたのは、1987年のことだった。当時、レビン&トレノのFF化を残念に思ったクルマ好きは多かった。結果、中古車市場でAE86型の価格は大きく跳ね上がった。以来、ライトウェイトFRスポーツの代表として、AE86型は絶版車でありながら、高い人気を維持。長年に渡り、空前の“ハチロクブーム”が続くことになる。トヨタのFRスポーツ。それを望むユーザーが多く存在していたのだ。

 トヨタの他のラインアップを眺めてみると、マークIIはFRの駆動レイアウトを採用していた。しかし、主力エンジンは2.5Lであり、ボディも大型化されていた。ツインターボ仕様は存在したが生粋のスポーツモデルとは言えなかった。そんな状況下で、手頃なサイズのトヨタのFRスポーツ、それを望むクルマ好きの注目を一心に集めるモデルが登場した。アルテッツァである。デビューは1998年、AE86の販売終了から、実に11年が経過していた。
 多くの脚光を浴び、登場したアルテッツァ。そのスタイリングは、スポーツセダンと呼ぶに相応しい造形を備えていた。全幅こそ3ナンバー枠となる1720mmだったが、前後のオーバーハングを切り詰め、全長は4400mm。短いフロントオーバーハングは、FFモデルではとうてい達成できないもので、エンジンとトランスミッションが前輪後方に置かれていることの証だった。

NAながら210ps(MT)のパワーを発揮

 搭載エンジンは、1988cc直列6気筒DOHC24V(ハイメカツインカム)の1G-FE型と、1998cc直列4気筒DOHC16V(スポーツツインカム)の3S-GE型の2種類。最高出力160ps/6200rpm、最大トルク20.4kg-m/4400rpmの1G-FE型に対して、3S-GE型は最高出力210ps/7800rpm(MT)、最大トルク22.0kg-m/6400rpm(MT)をマークした。

 設定されたグレードはAS200とRS200で、AS200には1G-FE型エンジンを、RS200には3S-GE型エンジンを搭載。スポーツ派が注目したのはもちろん210psユニットを搭載したRS200である。

6スピードのMTミッションを装備

 トランスミッションは、1G-FE型エンジンには4速ATのみが組み合わされ、3S-GE型にはステアマチック機構の付いた5速ATのほか、6速MTが用意された。サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーン。ブレーキはフロントがベンチレーテッドディスク、リアがディスクで、タイヤサイズは215/4517(RS 6速MT)が奢られた。
 プラットフォームは、FRマルチプラットフォームの最新版であり、先にデビューを果たしていたプログレや、ブレビスと共有化が図られていた。ただし各部が大幅に強化していたのは言うまでもない。

 インテリアは、スポーツモデルらしくブラックが基調色とされ、サイドサポートに優れたバケットシートを装備。メーターは、スピード計の内側に水温計などの計器をレイアウトしたクロノグラフ風のデザインである。
 アルテッツァは、オート店の後を受け1988年8月に立ち上げられたネッツ店で同年10月から販売された。ネッツ店となってから最初の新型モデルである。ちなみに海外では、レクサスISとしてメルセデス・ベンツCクラスやBMW3ジリースに対抗するプレミアムモデルとして販売された。

 2001年にはワゴンモデル(アルテッツァ ジータ)を追加。2005年に国内でもモデルチェンジとともにレクサスISへと進化し、アルテッツァの名は消滅した。しかし、2.5Lを最小エンジンにする次世代のレクサスISに対し、2Lエンジンを搭載しマニュアルトランスミッションが選べたアルテッツァは、生産終了後もクルマ好きにとって特別な存在となっている。