アスパイア 【1998,1999,2000,2001,2002,2003】

根本を磨き上げた正統派セダン



“大志を抱いた”ニューモデルの誕生

 三菱自動車は1998年8月に新型車となる三菱 アスパイアを発売した。車名のアスパイア(Aspire)とは、「大志を抱く」とか「憧れを持つ」と言う意味の英語である。
 日本の自動車メーカー各社が、経済的な好景気にも支えられて自社の販売網の拡張に躍起となっていたのが1970年代末の時代だった。某自動車メーカーなどは、販売チャンネルを増やしたまではよかったが、そこで売るクルマの種類が足らず、全く同じモデルをバッジだけ付け替えて売っていたものだ。いわゆる「バッジエンジニアリング」である。三菱自動車もその例外ではなく、1978年にカープラザ店系列とギャラン店系列の2チャンネル体制となった。
 カープラザ店系列の専売車種としてデビューした三菱アスパイアは、三菱ギャランの兄弟モデルであった。シャシーやボディの基本部分は全く同一のモデルであり、異なるのはフロントエンドのラジエターグリル回りの意匠と室内の内装と装備のわずかな違いだけであった。アスパイアには、高性能バージョンのあるギャランシリーズとは違って、強心臓を持ったスポーツモデルはラインアップしていなかった。ボディバリエーションもノッチバックの5人乗り4ドアセダン一種、グレードもデビュー当初はスポーティー仕様のヴィエントと上級仕様のVR-Gの2種に絞られていた。

1.8L DOHC GDIユニットを搭載

 スタイリングはこの時期の三菱製モデルに共通した躍動感に溢れたもので、フロント回りは逆スラントした前端部を緩くカットした独特の形状で、ボディーを大きく見せている。インテリアもギャランに共通したもので、VR-Gに木目パネルを採用、ヴィエントにはカーボン調パネルを装着していた。

 搭載されるエンジンは、デビュー当初には排気量1834㏄の直列4気筒DOHC16バルブのみの設定となっていた(4G93型、標準仕様は出力140ps/6000rpm)。燃料供給システムは三菱が独自に開発した電子制御によるGDI(ガソリン ダイレクト インジェクション=燃料直接噴射)システムを搭載していた。GDIそのものは、1955年にメルセデスベンツがスポーツカーの300SLで最初に実用化したシステムだったが、電子制御化した点は三菱の技術力であった。GDIは、クラス平均を上回るパワーとともに、優れた燃費を約束。さらに環境性能にも優れる新世代のエンジンである。

マイナーチェンジで2Lに格上げ

 1999年5月に安価なスタンダード版であるビバーチェ仕様をラインアップ。厳しさを増した排出ガス浄化規制に対応するために、2000年5月にはエンジンを排気量1999㏄の直列4気筒DOHC16バルブ(4G94GDI型、出力145ps/5700rpm)に代え、三菱独自の衝突安全ボディーであるRISEを強化している。また、2002年9月には標準装備となるタイヤのグレードアップ、ブレーキを4輪ディスクとするなどの実質的な変更も加えられている。

 しかし、アスパイアのみに限らず、日本の自動車市場における4ドアセダンの人気は明らかに凋落傾向にあり、販売台数は伸び悩むことになる。加えて、リコール隠しなどがメーカーとしての三菱自動車の存在そのものも危うくする事態となり、2003年1月にカープラザ店系とギャラン店系が統合されることになった。結局、アスパイアは車種整理の対象となって、2003年3月に販売を終了した。