ムラーノ 【2008,2009,2010,2011,2012,2013,2014,2015】

プレミアム感を向上させた2代目スタイリッシュ SUV

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「ムラーノらしさ」の進化を目指して−−

 初代ムラーノは、2002年に北米で市場デビュー(日本発売は2004年)を果たし、その高い評価から世界80カ国を超えるマーケットで販売された。個性的なスタイリングと上質なインテリア、そしてスポーティかつ快適な走行性能を有したプレミアムなクロスオーバーSUVは、グローバルモデルとして世界中のユーザーの心をしっかりとつかんだ。

 第2世代も基本ラインを継承しながら、独創性あふれるモデルチェンジを図っていかなければならない−−。そう判断した日産自動車の開発陣は、2代目モデルの商品コンセプトに「“ムラーノ”らしさの進化」を掲げる。具体的には、内外装の“モダンアートデザイン”とキャビンの“スイートルーム”、そして走りの“プレミアムドライビング”の実現を目指した。

“モダンアートデザイン”と“スイートルーム”の創出

 外装は、流麗な面と曲線エッジを組み合わせたボディデザインを採用する。基本シルエットはエンジンフードからルーフ、リアにかけて連続性のある伸びやかなラインと面で構成。フロントマスクはラジエターグリルと4連プロジェクターヘッドランプを巧みに融合し、ワイドかつ先進的な顔に仕上げた。また、サイドはフェンダーと好対照をなす立体的な凹面造形を、リアは独自性を感じさせるウィンドウグラフィックスや斬新なアレンジのLEDコンビネーションランプを導入する。さらに、ガラスルーフとフロントウィンドウのつなぎ目を1枚のパネルのように仕上げたスタイリッシュガラスルーフも設定した。

 内装は、曲線を基調にボリューム感と上質感を醸し出すモダンデザインの造形で仕立てる。インスツルメントパネルはラグビーボールシェイプを基本に、左右非対称のデザインでアレンジ。メーターにはファインビジョン化したリング照明付き大径タイプを組み込んだ。また、クルーザーをイメージしたセンタークラスターは本アルミとクロームメッキを効果的に組み合わせ、多様な機能をスタイリッシュに融合させる。居住空間に関しては、スイートルームのような居心地の良さと上質感を演出。厳選した素材と優れた面圧分布を採用したシートに柔らかなタッチのアームレスト、風を直接体に受けずに快適さが得られるマイルドフローエアコン、雰囲気のいいLED照明、電動復帰機構を組み込んだリモコン可倒式リアシート、圧倒的な臨場感を生み出すBOSEサウンドシステム、使い勝手と機能を向上させたカーウイングスナビゲーションシステムなどを装備した。

“プレミアムドライビング”のためのメカ刷新

 基本骨格に関しては、ティアナなどに使われるDプラットフォームを採用する。同時に、フロント側の新ジョイントメンバー構造の設定やリア側のサイドメンバーの断面拡大、前後の左右ショックアブソーバー間の結合強化、クロスメンバーの追加、グレードの高いハイテン材(780MPa級)の多用などにより、クラストップレベルの高剛性ボディを実現した。サスペンションはフロントに加減速挙動に強いリンクジオメトリーを採用したストラット式を、リアに新リンクジオメトリーとブッシュの剛性アップを図ったマルチリンク式を組み込む。また、ロールや余計な上下動を抑える新開発の4輪リバウンドスプリング内蔵ショックアブソーバーも装備した。

 搭載エンジンは、連続可変バルブタイミングコントロールの作動域を10度拡大したほか、吸気用パワーバルブのツイン化や高着火性/高耐久性両針プラグの装着などを実施したVQ35DE型3498cc・V6DOHC24V(260ps/34.3kg・m)とカムシャフトおよびクランクシャフトの加工精度の向上や吸排気系の径拡大、圧縮比のアップなどを図ったQR25DE型2488cc・直4DOHC16V(170ps/25.0kg・m)の2機種を設定する。組み合わせるミッションはVQ35DE型がエクストロニックCVT-M6、QR25DE型がエクストロニックCVTで、全車にアダプティブシフトコントロール(ASC)を装備。駆動機構には、ヨーモーメントコントロール付きのオールモード4×4-iを採用した。

キャッチフレーズは「デザインをシフトする」

 第2世代となるムラーノは、まずメイン市場となる北米で2008年1月より販売が開始され、日本では同年9月に「ムラーノは、デザインをシフトする」というキャッチを冠して市場デビューを果たす。ボディサイズは従来型比で55mm長く(4825mm)、15mm幅広く(1895mm)、15mm高い(1700mm)ディメンションに設定。車種展開はシンプルに、VQ35DE型エンジン搭載の350XV FOUR/350XL FOUR、QR25DE型エンジン搭載の250XV FOUR/250XL FOURという4グレードで構成する。一方のボディカラーは新色のグレイッシュブロンズとダークブルー・パールのほか、ブレードシルバー・メタリック/ホワイトパール/ブリリアントシルバー・メタリック/スーパーブラック/ボルドーレッド・パールという計7色をラインアップし、全色スクラッチシールド付きとした。内装色はブラックとベージュの2タイプで、上級グレードのXV系には本革シートを標準で装備する。ちなみに、2代目ムラーノは初代よりもさらにグローバル展開を拡大。世界約170カ国での販売が計画された。

 初代モデルよりも上質感と個性が増し、さらに燃費性能や静粛性も向上した2代目は、好評をもって日本のユーザーから受け入れられる。また、“NISSAN PREMIUM FACTORY”と称する新たなキャンペーン手法も、市場で高い注目を集めた。

 フルモデルチェンジしたムラーノは好評を2010年1月になって2WDモデルを追加する。車種展開はQR25DE型エンジン搭載の250XV/250XLという2タイプを用意。標準グレードの250XLでは、シリーズ中で唯一200万円台のプライスタグ(297万1500円)を付けていた。
 内外装から走りに至るまで、上級クロスオーバーSUVとしての魅力度をさらに引き上げた2代目ムラーノ。しかし、国内市場では人気とは裏腹に販売台数が低迷。グローバルでは3代目に移行しているが、日本国内は2代目で販売が終了した。