セドリック 【1987,1988,1989,1990,1991】

高級とスポーツ。2つの個性を持った7代目

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パーソナルユースをターゲットに開発

 日産の高級車ブランドであるセドリックおよび兄弟車のグロリアは、1987年6月にフルモデルチェンジされて、それぞれ第7世代と第8世代となった。すでに、1971年2月に両車は統合され、バッジやラジエターグリルの意匠など細部が異なるだけの兄弟車となっていた。

 7代目となったセドリックは、トヨタのクラウンと共に、日本の法人向けやタクシー向けとしての市場を持っていた方向から一転して、個人オーナー向けのファクターを強めたモデルへと転換した。兄弟車として良く知られていたかつてのロールス・ロイスとベントレーで言えば、ベントレー的な方向へと舵を切った訳である。同じボディを使いながら、ロールス・ロイスはフォーマル、ベントレーはスポーティーと明確な役割分担をしている。

スポーティーなムードを備えたエクステリア

 セドリックはスポーティーなモデルとなり、個人ユーザーにとって魅力的なモデルへ変身した。
 ボディバリエーションは、4ドアハードトップ、4ドアセダン、ステーションワゴンの3車種を備えた旧型とは異なり、4ドアハードトップ、4ドアセダンを用意(ステーションワゴンは旧型を継続)。シャシーは2車種とも共通で、ホイールベースは2735㎜、全長4860㎜、全幅1720㎜、全高13800㎜(ハードトップV30ターボブロアムの数値)で、2Lモデルは小型バンパーの採用などで5ナンバーサイズに収まる。

 スタイリングは旧型が直線基調のシャープなものだったのに比べ、新型では面取りをしたように、エッジ部分は全て丸められて、外見上はソフトなイメージとなった。また、エンジンがリニューアル版のV型6気筒となったために、搭載位置も低くされ、フェンダーとボンネットの位置が下がったため、見た目にもスタイリッシュなものとなっている。ウィンドウアレンジメントも側面窓が3個の6ライトと呼ばれるスタイルとなり、前後左右の視界が向上すると同時に、個性的なスタイリング上のポイントとなっている。

2L・V6ツインカムターボ搭載

 搭載されるエンジンは5種となり、ディーゼル仕様の排気量2825㏄の直列6気筒SOHC(RD28型、出力94ps/4800rpm)以外はすべてⅤ型6気筒のVGシリーズとなる。排気量1998㏄のV型6気筒SOHCのVG20E型(出力125ps/6000rpm)、排気量1998㏄のV型6気筒ながらツインカム&ターボチャージャーを採用のVG20DET型(出力185ps/6800rpm)および、排気量2960㏄のV型6気筒SOHCのVG30E型(出力160ps/5200rpm)、同・ターボチャージャー付きのVG30ET型、出力195ps/5200rpmがある。この中で、VG20DET型は、日本初のV6ツインカムターボチャージャー仕様のエンジンとなる。

 トランスミッションは電子制御4速オートマチックと5速マニュアルで、いずれもフロアシフトが基本である(セダンのガソリンATモデルにはコラム式も用意)。サスペンションは前がストラット/コイルスプリング、後がセミトレーリングアーム/コイルスプリング。最上級のブロアムVIPでは電子制御エアサスペンションを装備した。ブレーキは前がベンチレーテッドディスク、リアがディスクの組み合わせで、ターボプロアムVIPではリアもベンチレーテッドタイプとなる。駆動方式はフロント縦置きエンジンによる後輪駆動。4輪駆動仕様の設定はない。

 クラウン的な高級車の枠から飛び出し、スポーティーセダンという新しいジャンルへ挑戦したセドリックだったのだが、当時の日本国内市場は未だ熟成しておらず、シェアを伸ばすことはできなかった。しかし先進技術の実験台として大きな役割を果たしたのである。