アルファード 【2002,2003,2004,2005,2006,2007,2008】
快適性と質感を磨き上げたトヨタの最上級ミニバン
2002年5月22日、トヨタはミニバンのフラッグシップを目指し、アルファードをデビューさせた。日産の最上級ミニバン、エルグランドが2代目に移行したのが2002年5月21日。ヒットモデルとなっていたエルグランドの牙城を切り崩すためにトヨタが送り込んだ刺客が、このアルファードである。アルファードGとアルファードVが存在し、両者の違いはフロントグリルのほかリアに記された「G」と「V」のバッジのみ。アルファードGは、全国のトヨペット店(大阪地区は大阪トヨタ)、アルファードVはビスタ店(のちにネッツ店)からリリースされた。
最上級ミニバンを標榜したアルファードの開発コンセプトは「ダイナミズム&ホスピタリティ」。存在感溢れる先進的スタイルともてなしの空間づくりを徹底している。ダイナミックなスタイリングから見ていこう。フロントは、逞しさを強調した造形。ソリッドでシャープな塊によって描かれたボディーやボリューム感たっぷりのバンパーにより、堂々とした存在感を演出した。サイドでは、フロントからリアへ勢いよく続く長いルーフライン、ホイールアーチの張り出しを特徴的に扱ったキャラクターラインなど力強いデザインが魅力。リアセクションは、室内スペースを優先したスクエアなシルエットが特徴だ。全長×全幅×全高は4800×1805×1935mm。堂々としたボディサイズを誇る。
インテリアは、室内長3085mm、室内幅1585mm、室内高1390mmの国産ミニバン最大級の室内空間を創出。FFレイアウトの採用により、低いフロアと高い室内高を実現。フロントシートで160mm、セカンドシートで205mmの余裕のヘッドクリアランスを持つ。また、フロントとセカンドシートの間のヒップポイント間距離は1165mm、セカンドとサードシートでは1035mm(客室最大時)。ゆとりあふれるレッグスペースは、類い稀な居住性を実現している。また、フラットなフロアと、両側スライドドアも手伝い、優れた乗降性と居住性を生み出した。
インパネは、扇形の大型センタークラスターを中央に配置。上部に手触りに優れたソフトパッドを採用し、大型3眼メーターに加え、木目調パネル、クロムメッキ、金属調塗装を随所に施すなど豪華さと新しさを存分にちりばめていた。シートは、最上級パッケージのMZ Gエディションでは、質感を重視した本革を採用。グレードに応じて、シート地を使い分け、上級グレードのMZにはボリューム感のあるジャカードモケットを、エアロモデルのMS/ASにはエッチングで凹凸を施したスウェード調ファブリックを、ベースグレードのMX/AXでも高品質のトリコットを採用した。エルグランドは全車豪華。質感にこだわったインテリア空間が魅力になっていた。
搭載エンジンは2タイプを用意した。3L・V6の1MZ-FE型エンジンはVVT-iを採用し、最高出力220ps/5800rpm、最大トルク31.0kg-m/4400rpmを発揮。2.4L直4の2AZ-FE型エンジンもVVT-iを組み込み、最高出力159ps/5600rpm、最大トルク22.4kg-m/4000rpmを生み出す。専用のFFプラットフォームを採用し、フロントサスペンションはマクファーソンストラット式、リアはトーションビーム式。十分なストロークの確保によって、優れた乗り心地を実現。ワイドトレッドの効果もあり、横風安定性など高い走行安定性を達成した。またリニアで安定感ある操縦性能も同時に確保している。アイドリング振動を低減するアクティブコントロールエンジンマウント(V6モデル)や、樹脂ギアバランスシャフト(直4モデル)の採用など、高級サルーンに匹敵する最上級ミニバンにふさわしい優れた静粛性も魅力だった。
デビューからほぼ3年を経た2005年4月19日、アルファードはマイナーチェンジを受ける。フロントグリル、バンパー、ヘッドランプ、リアではコンビネーションランプやガーニッシュのデザインを変更。いちだんと高級感ある洗練されたスタイルに生まれ変わった。インテリアでは、新タイプのオプティトロンメーターを組み込んだ新デザインのインストルメントパネルが目を引く。3L・V6モデルではトランスミッションが5速に進化し、優れた発進加速性能を実現。高速走行時の低燃費と静粛性の向上を図った。2003年7月にラインアップに加わったハイブリッド仕様も同時にマイチェンを受け、こちらはフロントグリルとヘッドランプのデザインをさらに先進性を感じさせるスタイルへと変更した。