セレナ 【1999,2000,2001,2002,2003,2004,2005】

理想のファミリーカーを目指した新型ミニバン



セレナとはスペイン語で晴れの意味

 小型ミニバンのバネットシリーズの新型車として1991年6月にデビューしたバネット・セレナは、1999年6月にフルモデルチェンジを受けて第2世代となる。兄弟車であったラルゴは統合される形で消滅し車名もセレナが取れバネットの単独ネーミングとなった。

 車名のセレナ(Serena)とは、スペイン語で晴れ晴れとしたとか平穏ななどの意味がある。スペイン語は、初代バネット・セレナがヨーロッパ市場向けにスペインのバルセロナにあったモトール・イベリカ社でも生産されていたことに由来する。ライバルはホンダ・ステップワゴンやトヨタのライトエース&タウンエース・ノアなどであった。

FFプラットフォームを得て進化した2代目

 初代バネット・セレナは専用設計のミッドシップ・シャシーの採用で、ミニバンに乗用車的な乗り心地と高レベルなハンドリングを持ち込んだパイオニアとして知られる。FFプラットフォームを基本とする第2世代になってもその性格は引き継がれている。また、実用性を向上させるために、左右スライドドアを採用していた。便利な左右スライドドアの採用は、ライバルに先駆けたものだった。

 スペース面でもエンジンやトランスミッションがキャビンに侵入しないFFレイアウトの採用で、キャビンフロア面を低くすることにも成功している。ボディサイズは5ナンバー枠ぎりぎりの大きさとなっており、室内スペースは広大ながら使い勝手に優れたミニバンだった。

ミッションにハイパーCVTを新採用

 搭載されるエンジンは、日本市場向けには排気量1998ccの直列4気筒DOHCガソリン(最高出力145ps/6000rpm)と、2488ccの直列4気筒DOHCターボチャージャー付きディーゼル(150ps/4400rpm)があった。駆動方式は前2輪駆動と4輪駆動仕様。トランスミッションはハイパーCVTと呼ばれる無段変速と4速オートマチックの2種でシフトレバーの位置はコラムシフトとなっている。コラムシフト化によりセンターコンソールが小型化し、前席および後部座席間の移動(ウォーク・スルー)がスムースになった。

 サスペンションも全面的に新しい。フロントはストラット/コイルスプリング、リアはトレーリングアームにコイルスプリングを組み合わせたマルチリンクとなった。ブレーキは前・ベンチレーテッドディスク、後・リーディングトレーリングで、サーボ機構を持つ。タイヤは195/65R15サイズが標準装備となる。

最高162通りのアレンジが楽しめた3列シート

 インテリアは床面が低くなり、ホイールハウスの出っ張りも小さいためこのクラスとしては十分な広さを持つ。3列シート(前から2/3/3名掛け)を装備しており、最大で8人乗車が可能。2列目シートはベンチタイプとスプリットタイプの2種から選べた。ちなみに最後部の3列目に3人の大人が座るのはかなり窮屈だった。3列目シートは折り畳み式で、畳めば後部のカーゴスペースは飛躍的に増える。3列目のシートを含めて、シートアレンジのスタイルは多彩で最高162通りも楽しめたという。

 セレナのキャッチコピーは“モノより思い出”。カタログでは「何かを買い与えるだけでなく、ただやみくもに時をすごすだけでなく、今しか経験できない大切なものを残してあげるために、親として、もっと深い時間を子供と過ごす必要があるのではないでしょうか。そんな気持ちで子供たちをみつめたとき、新しいセレナのコンセプトは生まれました。モノより思い出。親と子の思い出づくりのために、クルマができることは何かを追求」と記載し、セレナが理想のファミリーカーを目指したことを宣言した。このコンセプトはモデルチェンジを経ても普遍で最新モデルにも継承されている。

 セレナは2000年6月にマイナーチェンジを行い、ハイルーフ仕様とオーテックがプロデュースしたライダー仕様などの特別仕様車をシリーズに加える。また、エンジンをガソリン仕様2種に限定し、全車ULEV(ウルトラ・ロー・エミッション・ヴィークル=極低公害車)の認定を取得した。
 1999年に深刻な経営危機にあった日産は、フランスのルノー社の支援を受け再生の道を踏み出す。セレナはある意味で最も日産らしい最後のオリジナルモデルであった。