ローレルHT 【1977,1978,1979,1980】

クラス初のラグジュアリーなピラーレス4ドア



ライバルに先駆け4ドアハートップを設定

 1977年1月に登場した3代目ローレルは、豪華さとともに、1973年のオイルショック後の社会的な価値観の変化に対応し安全性や低公害、省資源などを追求した意欲作だった。ライバルのトヨタ・マークIIに先駆けてスタイリッシュな4ドアハードトップをラインアップに加えたことでも話題を呼ぶ。

 4ドアハードトップは、シリーズのイメージリーダーだった。従来からのセダン、2ドアハードトップの上位に位置し、ファストバック調にまとめたリアエンドと、4ドアならではの利便性でユーザーを魅了した。4ドアハードトップというボディ形式自体はすでに上級車のセドリック&グロリアやクラウンではお馴染みだったが、ローレルの属するハイオーナーカーのセグメントではパイオニアだった。パーソナルな雰囲気と良好な使い勝手を実現した4ドアハードトップは、当時憧れの存在。他人とはひと味違う贅沢なボディタイプとして人気を博した。ローレルは開放感の高いピラーレス方式を採用し、すっきりとした印象にまとめ上げていた。室内側でもピラーレス構造のメリットは明白で、とくに後席からの広がりのあるサイドビューは大きなセールスポイントだった。

全車が滑らかな6気筒ユニット搭載

 4ドアハードトップは全車が上級の直列6気筒エンジンを搭載し、走りの面でもセダンや2ドアハードトップに差をつけた。フラッグシップの2800SGLが搭載するパワーユニットは排気量2753ccのL28E型。電子制御インジェクションと組み合わせ140ps/5200rpm、22.5kg・m/3600rpmを発揮。ちなみにこのL28E型ユニットは先代では昭和501年排出ガス規制対応に留まっていたが、モデルチェンジを機によりクリーンな昭和51年規制対応へと進化した。

 中心グレードの2000SGL-Eと2000GL6-Eが搭載したのは排気量1998ccのL20E型。こちらも電子制御インジェクションと組み合わせ130ps.6000rpm、17kg・m/4400rpmの出力/トルクを誇った。L20E型は絶対的なパワーの余裕はもちろん軽快な回転フィールでも魅力を放った。一方、静粛性と滑らかさが際立っていたのが2000SGL、2000GL6、2000カスタム6が採用した伝統のL20型である。排気量1998ccで出力/トルクは115ps/5600rpm、16.5kg・m/3600rpm。キャブレターを組み合わせた日産の主力6気筒ユニットだけに、その完成度は群を抜いていた。格別パワフルではないものの上級車らしい走りをもたらしたのである。ちなみにL20E型、L20型ともに昭和51年度排出ガス規制をクリアーしたクリーンユニットだった。

 足回りは4ドアハードトップ全車が、フロントがストラット式、リアはセミトレーリングアーム式の4輪独立システムを採用。一部グレードに4リンクのリジッド式リアサスペンションを採用していたセダンと2ドアハードトップにここでも差をつけていた。

豪華な装備と軽量ボディの融合

 装備も豪華である。ハイオーナーカーらしくドライバーをもてなす工夫をこらしていたのが特徴で、4ドアハートップ全車に運転席シートリフター&ランバーサポート、ステアリングチルト機構を装備した。調整幅の大きなリクライニング&スライド機構と相まって長距離でも疲れしらずのポジションを自在に取ることができたのである。SGL系にはエンジン回転数感応型パワーステアリングも装着し軽快なハンドリングを実現。もちろんワンタッチ式パワーウィンドウやFM付きマルチラジオ、メイクアップミラー付きグローブボックス、セーフティモニターなど各種のアメニティ装備も満載していた。豊富な装備とともにデザイン&質感も吟味しており、乗り込むだけで豪華さを実感できるのも魅力だった。

 運転のしやすさという面でも際立っていた。フロント&リアピラーともに形状を工夫しウエストラインを低く設定することでワイドな視界を実現。前席シートベルトもELR機構付きのワンタッチタイプとなり使い勝手が向上した。従来型と比較して平均50kgもの軽量化を実現したボディも軽やかな走りをもたらした。3代目ローレルの4ドアハードトップは、贅沢な味わいを俊敏な走りとともに満喫できるハイセンスなクルマだった。1970年代後半の日産を代表する隠れた逸材である。