アウトランダー 【2005,2006,2007,2008,2009,2010,2011,2012】

オンロードの走行性能も磨いた都会派SUV

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乗用車ライクなモデルがトレンド

 今日では、世界的な標準となった車種がSUV(スポーツ ユティリティ ヴィークル)である。比較的大型のボディを持ち、4輪駆動システムと柔軟なサスペンションを備え、市街地走行からある程度のオフロード走行までを、特殊な運転技術などを必要とせずに走れる万能性を持ったモデルだ。そのパイオニアとなったのは、1970年に登場した英国のランドローバー社製レンジローバーと言われている。決して安価なものではなかったが、乗用車並みの快適さと高いオフロード性能を両立していたレンジローバーはクルマの理想的なスタイルのひとつとなり、世界中の多くのメーカーが競って同工異曲のモデルを生み出すきっかけとなった。

 第二次世界大戦後にアメリカのカイザー社との技術提携により、警察予備隊(後の自衛隊)が使うJeepのノックダウン生産(部品を輸入して組み立てる)でクルマの本格生産を開始した三菱自動車では、1982年4月誕生のパジェロや同年10月発売のデリカの4WDモデルなど、ハードな性能を持つJeepからSUVモデルへの転換を進めていた。2005年10月にデビューしたアウトランダーは、三菱製SUVを代表するモデルであり、三菱が永年にわたって培って来た4輪駆動技術を生かしたモデルとなっていた。車名のアウトランダー(Outlander)とは、遠隔地とか辺境の地を意味するアウトランドにerの文字を加え、冒険者とか開拓者と言ったイメージとした造語だ。

従来よりひとクラス上へとシフト

 2005年10月に登場したアウトランダーは、2001年6月にデビューしたクロスオーバーSUVのエアトレックの後継モデルだった。2ボックススタイルのワゴンボディを持つSUVだ。アウトランダーのボディサイズは、エアトレックよりひと回り大型化されている。全長4640×全幅1800×全高1680mmの伸びやかな国際サイズで、ホイールベースは2670㎜でエアトレックより45㎜長い。室内艤装の違いにより、5人乗りおよび7人乗りが選べた。駆動方式はフロント横置きエンジンによる4輪駆動が基本だが、燃費の良い前2輪駆動モデルもあった。モデル基本グレードはMおよびGの2種である。

2007年、3リッターV6MIVEC仕様が登場

 搭載されるエンジンは、デビュー当初では排気量2359㏄の直列4気筒DOHC16V(4B12型、出力170ps/6000rpm)のみとなっていたが、2007年10月のマイナーチェンジに伴い、排気量2998㏄のV型6気筒DOHC24V MIVEC(6B31型、出力220ps/6250rpm)を加えた。トランスミッションは2リッター4気筒エンジン仕様はCVTとし、2007年10月以降に加わった3リッターV型6気筒エンジン仕様では6速オートマチックが組み合わされた。サスペンションは前がマクファーソンストラット/コイルスプリング、後ろはマルチリンク/コイルスプリングで、4輪駆動仕様も2輪駆動仕様も変わらない。ブレーキは4輪ディスクでサーボ機構を持つ。

 アウトランダーは、旧型エアトレックの輸出名であったことからも判るが、どちらかと言えば海外市場向けのモデルであった。この当時ダイムラー・ベンツ社の傘下となっていたから、同じグループに属していたクライスラー系のGS型シャシーを採用、また、4輪駆動システムはJeepコンパス、同・パトリオット、ダッジ キャリバーなどにも使われていた。国産車には珍しい国際派だったわけだ。面白い成り立ちのモデルである。

デビューから4年、2009年に実施した2回の改良

 初代アウトランダーは多くの改良を受けているが、なかでも大きなリファインとなったのは2009年の2回の改良だった。この年は、9月に一部改良を行い、その3カ月後の12月にマイナーチェンジを実施している。9月の一部改良では、CVT制御の見直しにより2.4リッターエンジン車の10・15モード燃費を、4WD車は11.6km/Lから12.2km/Lに、2WD車は12.2km/Lから12.6km/Lにリファイン。同時に、3リッターモデルがラインアップから外された。新デザインのメッキフロントグリルとワイド感を強調したリアバンパーもこの際に採用。また、シート地は質感の高いスエード調ベロア&メッシュファブリックに変更している。

 2009年12月のマイナーチェンジでは2リッターモデルが加わり、200万円を切る199万5000円からのラインアップとなった。同時にアグレッシブなスタイリングが魅力のグレード「ROADEST」では、プレミアムスポーティをコンセプトに、フロントバンパー、フロントフォグランプ、ヘッドライト、フロントフェンダーなどのデザインを一新。リアバンパーのデザインも変更し魅力をさらに高めた。