インテグラ 【2001,2002,2003,2004,2005,2006,2007】

スポーツ性を鮮明にしたエキサイティングクーペ

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4代目は3ドアクーペ限定モデル

 初代モデルが1985年に登場したインテグラは、ホンダのラインアップのなかでシビックより上級で、アコードより身近な存在として高い人気を博した。初代はHB形状の3ドアクーペでスタートし、その後クーペイメージの5ドアモデルを追加。2&3代目は3ドアクーペと4ドアハードトップを用意し、スペシャルティなブランドイメージを大切にした。なかでも3代目は、エンジンや足回りに徹底したスポーツチューンを施した“赤バッジ”のタイプRバージョンを設定し、ホンダのスポーツイメージを牽引する。

 2001年7月に登場し4代目モデルも、スポーツイメージを踏襲した。しかしこのクラスのユーザーのメインニーズは、すでにミニバンに移行していた。そのためラインアップは大幅にスリム化された。ボディタイプは3ドアクーペに絞られ、バリエーションは、イメージリーダーのタイプRと、スタイリッシュなiSの2グレード構成。トランスミッションはタイプRが6速マニュアル、iSは5速マニュアルと、5速ATが選べた。

220ps仕様のタイプRがイメージを牽引

 タイプRは、クラス最強のスポーツモデルとして開発された。パワーユニットは220ps/21.0kg・mのハイスペックを誇る1998ccのDOHC16V。高回転時に吸・排気バブルタイミングとリフト量を切り替えるVTEC機構と、吸気バルブタイミングの位相をエンジン負荷に応じて連続的に制御するVTC機構を組み込み、シャープなレスポンスと全域でのハイパワーを実現する。デュアルマニホールド、可変バルブサイレンサーを採用し排気抵抗を低減したのも特徴で、エンジンにこだわるホンダらしく、スポーツ心臓の理想を追求していた。絶対的なパワーだけでなく、ドライバーの五感を刺激するサウンドも素晴らしかった。

 トランスミッションもスポーツ派好みである。6速マニュアルのギアレシオは、エンジンパワーを引き出しやすいクロスレシオ設定。同時に1〜2速トリプルコーン、3〜6速ダブルコーンの全段マルチシンクロコーンを2リッタークラスで世界初採用し、軽快な操作フィールを実現したのだ。

 シャシーも入念に調律されていた。前がストラット式、リアがダブルウィッシュボーン式の足回りは、全体的にハードに仕上げるとともに、フロントナックルの剛性アップ、リアスタビライザーサイズアップ、各部ブッシュ硬度アップを実施。220psのハイパワーをフルに路面に伝えるセッティングとした。止まる性能も超一級で、ブレーキはブレンボ社製のアルミ対向4ポットキャリパーだった。

室内も感動のドライビングを演出

 タイプRは室内もスポーツドライビングを第一義とした作り込みがなされていた。シートは圧倒的なサポート性を誇るレカロ製バケットタイプ。着座位置はヘルメットを着用してのドライビングでも十分なヘッドクリアランスが得られるように低められていた。小径360mmの本革巻きモモ製ステアリングやアルミ製ペダルも操作性を重視したレイアウトである。

 室内に乗り込むだけで走りへの期待が高まる演出にもゆかりはなく、インテリアカラ―はブラックと鮮烈なレッドかブルーの組み合わせ。インテグラには、ハイパフォーマンスだけでなく、すべてにホンダらしい走りへのこだわりが宿っていた。

サーキットでも鮮烈な速さを披露

 タイプRの走りは鮮烈だった。ワインディングロードでも高速道路でも速さは鮮烈。道を選ばずリアルスポーツと呼ぶに相応しいパフォーマンスを披露した。旧型と比較して曲げ剛性で35%、ねじり剛性で116%アップした優れたボディ剛性の効果もあって、サーキットに持ち込んでも十分な速さを見せつけた。

 タイプRと共通の1998ccの排気量から160ps/19.5kg・mのパワーを生み出すiSも、スポーティクーペとして十分なパフォーマンスの持ち主だったが、タイプRの走りは別格。腕に覚えのあるスポーツ派に愛される硬派な存在だった。

 圧倒的なパフォーマンスで存在感を示した4代目のインテグラ。しかし、その人気は限定的だった。スポーツ派には熱狂的に支持されたものの、かつてのような人気の広がりはなかった。21世紀という時代は、速さよりも効率や実用性を指向するものなのだろう。クルマとしての完成度はすこぶる高かったものの、販売セールスは伸び悩む。だがスポーツカーは、クルマ趣味の究極の存在である。幅広く愛されるよりも、深く愛されることのほうが大きな意味を持つ。その意味で4代目インテグラ、とくにタイプRは本物のリアルスポーツだった。