ミニカトッポ 【優れた実用性を誇ったトールデザインの個性派】

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軽ハイトワゴンのパイオニア

1990年に軽自動車の規格が改正され、ボディサイズやエンジン排気量がわずかながら拡大されることになった。それに適応する形で、新型車として登場したのが三菱ミニカトッポだ。そのトッポも1993年9月に第2世代へと進化する。車名のトッポ(Toppo)とは、イタリア語でハツカネズミを意味するTopoを語源とするもので、かつて人気を集めたTVの人形劇「トッポジージョ」に由来する。また、日本で慎重の高い人のことを「背高のっぽ」などと言うが、その「のっぽ」から転じたものでもあった。

 第2世代目のトッポは、旧型から受け継いだ軽自動車のハイトワゴンというコンセプトは変わらず、各部を大幅にリファインしたものとなった。このハイトワゴンというコンセプトは、サイズ的に制約の多い軽自動車では、まさしくコロンブスの卵と言える発想であり、キャビン部分の全高を最大で1795㎜としている。これによって、室内スペースの上下空間は大きく拡がり、室内は下手な2リッタークラスの乗用車よりも広く感じられるほどになった。

ユニークな1:2ドアモデルもラインアップ

 基本的なボディやシャシーコンポーネンツは旧型同様に乗用車のミニカから流用されたものだ。ホイールベースは2280㎜へと20㎜ほど延長された。また、ハイトワゴンとなったことで、通常のワゴンやバンのような上ヒンジのリアゲートは使い難いことから、右側をヒンジとして開く横開きのドア型としている。面白いのは、リアゲートのウィンドウが独立して開閉することだった。これは小物の出し入れに重宝した。

 モデルバリエーションは5ナンバー登録となるセダンと、4ナンバー登録が可能なバンの2種類。ドアは一般的な左右1ドア+リアゲートの3ドア仕様に加え、後部座席の乗降性を向上させるため、左側ドアを2枚とした「1:2ドア(ワンツードア)」と呼ばれる変形3ドア+リアゲートの4ドア仕様も登場した。

パワフルなDOHC20Vターボも用意

 メカニズムは多彩で、三菱の自動車技術の集大成と言えるものとなっていた。乗用車登録のセダンのフロントに横置きされるエンジンは全車4気筒仕様。最強バージョンは、排気量659ccの直列4気筒DOHC20バルブにインタークーラー付きツインスクロール型ターボチャージャー付き(4A30型、出力64ps/7000rpm)だった。この他にSOHC16バルブのインジェクション仕様(同型、55ps/7000rpm)、SOHC16バルブのキャブ仕様(同型、50ps/7500rpm)とチューニング別に3種があり、トランスミッションも三菱独自の総合制御システムであるINVECSファジィシフトの4速オートマチック、3速オートマチック、5速マニュアル、4速マニュアルと4種が揃えられた。駆動方式は前2輪駆動のほか、三菱の独自開発によるHCU(ハイドローリックカップリングユニット)を使ったフルタイム4輪駆動仕様もあった。

 サスペンションは前がマクファーソンストラット/コイルスプリング、後ろは2輪駆動仕様が3リンク式、4輪駆動仕様は5リンク式が使い分けられる。ブレーキは全車で前がディスク、後ろがドラムとなる。

2度目のマイナーチェンジで魅力をアップ

 トッポは、1995年と1997年の2度マイナーチェンジを受ける。1997年1月に特別仕様のタウンビー(街の蜂を意味する)を追加。9月の改良では、エクステリアのイメージの一新を図った。ボンネットフード、フロントフェンダー、フロントバンパー、テールゲート、リアコンビランプを変更してシャープなスタイリングを実現。とくにフロントマスクは、新採用の大型グリルにより、迫力ある印象を身に付けた。さらにUVカットガラス(フロントドア)をほぼ全車に標準装備し、Q3とRtにはプライバシーガラス(リアドア/リアクオーターガラス)を採用。抗菌処理を施したステアリングホイール、サイドブレーキグリップも導入した。また、上級グレードには、新シート地のほか、木目調インテリアパネル、木目調ドアアームレストを採用し、質感の向上を図った。

 軽自動車のボディサイズ規制のなかでも広い室内空間を実現したトッポは、エンジン性能の高さもあって、主婦層を中心に市場で好評を得た。