レガシィtuned by STI 【2007】

“かつてない一体感”を追求したチューンドカー

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レガシィ・スペシャルモデルの第3弾を企画

 富士重工業(現SUBARU)のモータースポーツ専門会社であるスバルテクニカインターナショナル(STI)は、世界ラリー選手権(WRC)に参戦するWRカーや各種モータースポーツに向けたグループNマシンの開発・製造、市販モデルのチューンアップパーツの開発・製造などを手がける一方で、2000年代に入ると専用チューニングを施したコンプリートカーの企画に積極的に取り組む。レガシィに関しては、「tuned by STI」と称するスペシャルモデルを開発。2005年8月に第1弾、2006年8月に第2弾を、それぞれ600台限定(ツーリングワゴン/B4合計)で発売し、スバリストたちから熱い支持を集めた。

 第3弾となるレガシィtuned by STIは、どのような方向性で仕立てるべきか−−。目指したのは“クルマとドライバーとの新たな一体感”の創出だった。目的達成のために従来モデルよりさらに踏み込んだチューニング=調律を実施する。ベース車となったのは、ツーリングワゴンとB4の2.0GT spec.Bグレード。また、入念な走行テストを繰り返したうえで最終セッティングを決めたのは、2006年に富士重工業の技術開発部からSTIに転籍して車両実験部の部長に就任したスバル車のマイスターこと辰己英治だった。

シャシーに新開発フレキシブルタワーバーをセット

 シャシー関連については、ボディ剛性を引き上げるとともに路面からの入力を適切にコントロールする新開発のフレキシブルタワーバーを装備したことが訴求点だった。さらに、専用チューニングのビルシュタイン製ダンパーとコイルスプリング、ピロボールブッシュ化したリアサスペンション、STI製7.5J×18アルミホイール+BSポテンザRE050A・225/40R18タイヤなどを採用し、トータルバランスに優れるハイパフォーマンスを実現する。

 パワートレーンに関しては、SI-DRIVEという先進テクノロジーに“STIの感性”というソフトウェアを注入する。具体的には、専用チューニングのSTI製ECU(エンジンコントロールユニット)やAT車に向けたSTI製TCU(トランスミッションコントロールユニット)、STI製スポーツマフラーなどを組み込んだうえで、エンジニアたちが徹底的に走り込んでSI-DRIVEの3モード(Iモード/Sモード/S#モード)に最適セッティングを施した。制動機構についても抜かりはない。ブレーキキャリパーにはブレンボ製のフロント対向4ポット/リア対向2ポットを、ブレーキホースにはSTI製ステンレスメッシュタイプをセット。ドライバーの意思に忠実に反応しながら高い剛性感も味わえるペダルフィールを実現した。

 内外装は、STIオリジナルのスポーツアイテムを豊富に盛り込み、独自の存在感を強く打ち出したことがトピック。エクステリアは、専用デザインのフロントアンダースポイラーやトランクスポイラー(B4)を装着して空力特性をアップ。インテリアは、アルカンタラとレザーのコンビネーション表地を採用したフロントシートをはじめ、専用エレクトロルミネセントメーター(STIロゴ入り/260km/h表示)や本革巻きシフトノブ、ダークメタル調の加飾、アルミ製サイドシルプレート(tuned by STIロゴ入り)などを装備する。さらに、オーナーの所有欲を満たすプレミアムアクセサリーのSTI製オリジナル本革キーケースも設定した。

ワゴンとB4の合計600台限定でリリース

 第3弾のレガシィtuned by STIは、2007年8月に市場デビューを果たす。車種展開はツーリングワゴンtuned by STIの6MTとスポーツシフトE-5AT、B4 tuned by STIの6MTとスポーツシフトE-5ATという計4タイプをラインアップ。販売計画は、ワゴンとB4を合わせて2008年2月受注分までの限定600台とした。

 ベース車比でツーリングワゴンtuned by STIが89万円高の407万円(消費税含まず)、B4 tuned by STIが91万円高の394万円(同)という高価なプライスタグにもかかわらず、受注は好調に推移する。チューンアップの内容を考えると決して割高ではなく、さらにtuned by STIに込めたエンジニアたちの熱い思いがスバリストたちに伝わったからだ。STIコンプリートカー造りにいっそうの自信を深めた開発陣は、以後さらに高いレベルのチューン=調律を実施したレガシィの企画に邁進していった。