ホンダデザイン12 【2013,2014,2015,2016】

“人”を発想の原点とした独創性あふれる造形に挑戦

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クロスフェードモノフォルムのデザインを採用した3代目フィット

 2010年代に入ってからの本田技研工業は、M・M(マン・マキシマム、メカ・ミニマム)思想をさらに発展させたデザインポリシー、すなわち「“人”を発想の核とし、独自の先進技術と一体となって、独創性に満ちた新しい“骨格”を創造していく」という概念を、新型車に導入していく。

 2013年9月には、3代目となるフィットが“フィット3”と称して市場デビューを果たす。基本骨格には、歴代モデルのセンタータンクレイアウトのパッケージングをいっそう進化させた新設計プラットフォームを採用。フロントセクションはロードパスのストレート化を実施して衝突安全性を向上させ、フロアフレームは薄型化した燃料タンクを下方から包むように配置する。スタイリングに関してはホンダの新デザインコンセプトである“EXCITING H DESIGN!!!”をテーマに、フィットらしさを受け継ぎながらダイナミックに進化したモノフォルムエクステリアを構築。インテリアについては、従来の特長だった広さや快適さはそのままに上質感と運転のしやすさをさらに高めたソフィスティケイテッドフューチャリスティックコクピットを具現化し、同時に多彩なアレンジを可能とする“ULTRシート”を装備した。

SUVの力強さとクーペの艶やかさを融合したヴェゼル

 2013年12月になると、新ジャンルの小型クロスオーバーSUV、ヴェゼルが登場する。
 基本骨格に関しては、コンポーネント自体を4つのモジュールに分割してキャビン以降の作り替えを容易にしたフィット3用の新設計プラットフォームをベースに、ホイールベースの延長や車幅の拡大、車重および入力の増加などを踏まえた専用設計の車台を構築する。エクステリアについては、“Dynamic Cross Solid”をコンセプトにスタイリッシュかつ力強い外観を創出。具体的には、SUV的な安定感のあるロアボディとクーペライクなアッパーボディを融合させ、躍動感あふれるフォルムを実現した。

インテリアは“Expansible Cockpit”をコンセプトに、クーペのパーソナル感とSUVの安心感の両立を徹底追求する。前席はクリーンで広がりを感じさせるインパネとハイデッキセンターコンソール、ドライバー側に傾けたセンターパネルでドライビングのための空間であることを明確に表現。後席は上級セダンと同等の足もと空間と座面長を確保したうえで、シートバック角度の最適化などを行ってロングドライブでも疲れにくい居住性を演出した。

軽スポーツカーのS660は“ENERGETIC BULLET”がテーマ

 2015年4月には、軽オープンスポーツのS660を市場に放つ。
 低重心・低慣性のMRレイアウトを採用したS660のボディは、骨格の多くを直線+なめらかな曲線で構成し、さらに高張力鋼板を全体の60%以上で導入して、強靭かつ軽量な“一線入魂ボディ”を具現化する。エクステリアに関しては、“ENERGETIC BULLET”を造形コンセプトにロー&ワイドでタイヤがボディ四隅でしっかりと踏ん張り、高い運動性能を予感させるたたずまいを訴求。具体的には、“ソリッドウイング・フェイス”をモチーフとしてワイド感を強調したフロントマスクやシャープなウェッジ形状のサイドビュー、ダイナミックにアッパーボディを絞り込みリアフェンダーの張り出しを強調した迫力のあるリアセクションで構成した。

インテリアについては、走るための空間として直感操作を実現するコクピットを徹底追求。下端をDカット形状とした新開発のφ350mm小径ステアリングや人とクルマの動きをシンクロさせる新設計スポーツシート、ヒール&トゥがしやすいペダル配置、走りを際立たせるインターフェイスなどによって、操る楽しさと本格的なスポーツカーらしい高い質感を創出した。

2代目NSXはデザイン性と空力性能を徹底追求

 2017年2月には、新時代のスーパースポーツ体験(New Sports eXperience)を提供することを目指して開発した2代目NSXを発売する。
 高剛性の押出成形アルミ材を中心とした複数素材による新設計スペースフレームに、ミッドシップにレイアウトした新開発の3.5L・V型6気筒ツインターボエンジンと高効率モーターおよび9速DCT、そしてトルクベクタリングを可能とするフロントの左右独立モーターを組み合わせた新パワートレインの“SPORT HYBRID SH-AWD”を採用した新世代スーパースポーツは、“Interwoven Dynamic”をコンセプトにエクステリアを構築。エキゾチックなフォルムとスーパーカーの機能性を融合したキャビンフォワードなパッケージングを創出したうえで、空力と冷却を両立させたトータルエアフローマネジメントを実現する。

インテリアについては“Human-Support Cockpit”をテーマに、ドライバーが運転に集中できる空間を創造。優れた前方視界やカラー液晶ディスプレイによる高い視認性を実現したメーターパネル、シンプルで直感的なインターフェイス、サポート性や乗降性に優れた人間工学に基づくシートによって、“人間中心のスーパースポーツ”にふさわしいコクピットを実現していた。