歴代レガシィ研究 【1989〜】

“六連星”の屋台骨を支える“大いなる伝承物”の進化

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“ワゴン・ブーム”を創出した初代レガシィ

 1989年1月、富士重工業の新しい中核車が満を持してデビューする。車名は“大いなる伝承物”の意味を込めて「レガシィ」と名乗った。ボディタイプはサッシュレスの4ドアセダン(BC型)と5ドアワゴン=ツーリングワゴン(BF型)をラインアップ。搭載エンジンは水平対向4気筒のレイアウトを踏襲し、EJ18型1820cc・OHC(110ps)、EJ20型1994cc・DOHC(150ps)、EJ20-T型1994cc・DOHCターボ(220ps)の3機種を設定。いずれも16バルブヘッドや各気筒独立点火コイルなどを導入する。駆動方式はワゴンが4WDのみで、セダンは4WDと2WD(FF)を用意。また4WD機構は5速MTがビスカスLSD付きのセンターデフ式、4速ATが電子制御多板クラッチを備えたトルクスプリット式をセットした。

 富士重工業の新しい中核車は、RVブームの後押しもあって、とくにツーリングワゴンの人気が徐々に高まり始める。そして、1989年10月にターボチャージャー仕様のパワフルなEJ20-T型エンジン(200ps)を積むGTグレードが設定されると、その人気は爆発的なものとなった。

グランドツーリング性能に磨きをかけた2代目

 レガシィは1993年10月に全面改良を実施し、グランドツーリング性能に磨きをかけた第2世代に移行する。ボディタイプはセダン(BD型)とツーリングワゴン(BG型)の2タイプ。従来型比+50mmの2630mmというロングホイールベースを確保したうえで、張りのあるダイナミックな面構成や絞り込んだ前後端などでスポーティなルックスを創出した。

搭載エンジンは2ステージツインターボの新機構を組み込んだEJ20H型1994cc水平対向4気筒DOHC16Vツインターボ(250ps)を筆頭に、NAのEJ20型やEJ22型2212cc水平対向4気筒OHC16V(135ps)を設定。ターボのAT車にはVTD-4WDの駆動システムを新採用する。また、1994年6月には改良版のEJ18型を、同年10月にはEJ25型2457cc水平対向4気筒DOHC16V(160ps)を追加した。1995年8月にはクロスオーバーSUVのグランドワゴンを発売。さらに1996年6月になると“全性能モデルチェンジ”を謳うビッグマイナーチェンジを行い、搭載エンジンは新世代の“MASTER-4”シリーズに進化する。

 1998年6月になると、まずツーリングワゴンが3代目のBH型に移行。12月にはセダンがB4(BE型)の車名を冠して新型に切り替わる。搭載エンジンは“PHASE㈼”と称したEJ20およびEJ25ユニットを採用。2ステージツインターボエンジン(MT280ps/AT260ps)にはターボユニットに斜流タービンが組み込まれる。また、2000年5月には新世代フラット6のEZ30型2999cc水平対向6気筒DOHC24V(220ps)がランカスター6に搭載された。

4代目からは全車3ナンバーのボディサイズに移行

 2003年5月から6月かけては3ナンバーボディに移行した4代目レガシィが市場に放たれる。ボディのワイド化を活かした美しくエアロダイナミクスに優れるツーリングワゴン(BP型)およびセダン=B4(BL型)を設定。搭載エンジンは進化版のEJ20、EJ25、EZ30を設定し、EJ20ターボユニット(MT280ps/AT260ps)には排気圧を高く保つツインスクロールターボが新たに組み込まれた。また、スバルテクニカインターナショナル(STI)が専用チューニングを施したコンプリートカーも企画し、「tuned by STI」と称するスペシャルモデルを限定でリリースした。

 2009年5月になると第5世代のレガシィが登場する。ボディタイプは従来と同様にツーリングワゴンおよびアウトバック(BR型)とセダンのB4(BM型)を設定。ボディ自体は超高張力鋼板を要所に配置するなどして剛性強化と軽量化の両立を果たしたほか、ドア形状をサッシュ付きにして剛性のアップと開口部の拡大を図った。搭載エンジンは排気量の拡大および各部の改良を施した水平対向ユニットで、デビュー当初はEJ25型2457cc水平対向4気筒OHC16V・i-AVLS(170ps)/EJ25型2457cc水平対向4気筒DOHC16Vターボ(285ps)/EZ36型3629cc水平対向6気筒DOHC24V(260ps)を設定。NAのEJ25ユニットには、新開発CVTのリニアトロニックを組み合わせる。また、2012年5月のマイナーチェンジではFA20DIT型1998cc直噴水平対向4気筒DOHC16Vターボ(300ps)の新搭載とNAのEJ25型からFB25型2498cc水平対向4気筒DOHC16V(173ps)への換装を行った。

B4とアウトバックの2タイプとなった6代目

 2014年4月になると、レガシィ・ツーリングワゴンの実質的な後継モデルとなる日本専用デザインのレヴォーグが発表される。そして同年10月には、レガシィB4とアウトバックが第6世代のBN/BS型に移行した。車両デザインは最新プレミアムモデルにふさわしい質感と機能性を、バランスのとれた美しい造形で表現。また、パワートレインには改良版のFB25エンジン(175ps)+リニアトロニックを搭載していた。