ALFA ROMEO STELVIO FIRST EDITION 【2018】

エモーショナルな生粋のアルファロメオ!



文:中川和昌
その名は、伝説のステルヴィオ峠に由来

はじめてステルヴィオ峠を越えたのは今から30年ほど前のことだった。スイスからわざわざまわり道をして峠に着いた時の感動は今も忘れることができない。上から見下ろす綴れ折のワインディングは、まさに絶景。それから何度となく訪れているが、飽きることはない。イタリア側からはベルガモに近いイゼーオ湖からSS42、SS38、SS39を北へ上がり峠を目指す、その道中も素晴らしい。伝説の峠名を冠したSUVがアルファロメオから登場した。その存在はジュリアが発表された当初からアナウンスされていたが、48のタイトコーナーが頭に浮かび期待に胸が膨らんだことは言うまでもない。

アルファロメオが遂に手がけたSUV。すでによく知られているように、ジュリアのSUV版ということになる。つまり、ジョルジョ・プラットフォームのジュリアに次ぐ第2弾だ。
ホイールベースはジュリアと同一の2820mmで、全長はジュリアよりも若干短く4,820mm、1,905mmの全幅は逆に若干広く、全高は245mm高い1680mmとSUVらしいボディサイズとなる。視覚的にはぐっと引き締まっていて、コンパクトに見える。切り詰められた前後のオーバーハングは魅力的で、走りをイメージさせる。

日本仕様として、とりあえず導入されたのはファースト・エディションで、280馬力を発生する2リッターのターボエンジンを搭載する4WDのQ4のみの設定となる。

アルファロメオらしい造形と走り

ドイツやイギリスのライバルとなるプレミアムSUVとは明確に異なるテイストは、ひと目でアルファロメオとわかる。エクステリアはもちろん、独特の雰囲気を持つインテリアは個性的でブランドイメージを強調してとても魅力的だ。
これだけでも、数多く存在する同クラスのSUVに対して十分なアドバンテージを備えているが、さらにアルファロメオ、そしてステルヴィオの名にふさわしいドライブフィールはであった。
今回試乗したのは、中軽井沢から鬼押出し、その周辺の一般道であったが、とにかくSUVとは思えないほどスポーツライクな走りっぷりに、感動を覚えるほどであった。

走り出してすぐに感じたのは、軽快感だ。1810kgの車両重量は決して軽いほうではない。SUVとして一般的である。しかし、スタートした直後から軽さを感じた。車重は意識させない。特にワインディング路での軽快感は格別。ステアリングを切り込むと、気持ちよく、適切なロール角とともに素直にノーズは向きを変える。とはいえ、意図的にスポーツ仕立てとしたトリッキーの感覚ではないところはさすがだ。アルファロメオというと、スポーツカー的なキャラクターをイメージするが、実はそうではない。サスペンションは良く動くし、乗り心地も悪くない。個性はスロットルやステアリングの感覚が、ドライバーがの感覚よりわずかに早く反応する点。その設定に長けているとでも言おうか。全体のバランスでスポーツ感をつくり出しているのだ。これはドイツ車ではけしてまねできないもので、アルファロメオの伝統と言える。

もちろん、前後の重量配分やロール角の設定など、クルマの運動性能の基本的な部分もきっちり作り込まれる。やっぱりアルファはやる時はやる、その血筋を見せつけられたのである。
このところのアルファロメオは、コンパクトなモデルが多かった。ジュリアとステルヴィオで、かつての164や、166、あるいは159といったミドルクラスやアッパークラスの魅力をアピールできると思う。これを待ち望んでいたファンも多いだろう。もちろんボクもそのひとりで、仕事を忘れてすっかりやられてしまった。とりあえず、イタリアに行って、ステルヴィオ峠を走りたい。走りながらそんなことを考えていた。