ローレル 【1997,1998,1999,2000,2001,2002,2003】

躍動フォルムを持った最後のハイオーナーサルーン

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ブルーバードの上級版として誕生

 1.8リッタークラスのハイオーナーカーとして、 1968年4月にデビューした初代日産ローレルは、トヨタのコロナ、マークⅡ、三菱ギャラン、いすゞフローリアンなどを直接的なライバルとしていた。車名のローレルは、古代オリンピック競技の勝利者に与えられる月桂冠に由来する。
 マーケットでは、トヨタ マークⅡの爆発的なヒットに隠れる形で、どちらかと言えば地味な存在だったが、「欧州調ハイオーナーカー」として、一部に熱烈なファンを獲得していた。日産車としてはオリジナリティに富んだモデルとなっていた。

 初代ローレルがデビューした当初は、2.0リッタークラスの高級車であるセドリックと1.5リッタークラスを主軸とするブルーバードの中間を埋める車種として計画されたモデルであることはよく知られている。オーナー自らがステアリングを握るパーソナルカーとして企画されていた。つまりは、ブリーバードの上級車ということになる。スタイルがブルーバードに近いものとなったのはそうした事情による。

8代目は3ナンバー規格の4ドアハードトップ

 時代の流れとともにローレルも順当に発展を続け、1997年6月に第8世代のローレル(C35系)となり1999年にマイナーチェンジを実施する。8代目の5人乗り4ドアのボディーは、ゾーンコンセプトと呼ばれる衝撃吸収ボディとされ、安全性を飛躍的に高めている。

 スタイリングは3ボックスの4ドアハードトップでローレルらしく躍動的なものだ。サイズ的には3ナンバーサイズとなっている。モデルバリエーションは、スポーティー仕様のクラブSシリーズとラグジュアリー仕様のメダリストシリーズの2種があった。フロントグリルやヘッドライト、バンパーの形状がおのおの異なる。

 インテリアは、同じ時期のブルーバード系のものをグレードアップしたと言えるものとなっており、メータークラスターが助手席側にまで緩やかに伸び、センターコンソールも曲面を使ったものとなっていた。上位モデルのステアリングは変形4本スポーク型を採用するなど日産が主流としていたスタイルだった。

全車ストレート6を搭載

 駆動方式は、エンジンをフロントに縦置きとし、後2輪を駆動するローレルの伝統的なもので、アテーサシステムを搭載した4輪駆動仕様も設定された。ガソリンエンジンは3種ですべてNEOストレート6と呼ばれる直列6気筒の低公害、低燃費型へ切り替えられている。排気量2498㏄DOHCターボチャージャー付き(RB25DET型、出力235ps/6400rpm)を筆頭に、2498㏄自然吸気(RB25DE型、200ps/6000rpm)、1998㏄DOHC自然吸気(RB20DE型、155ps/6400rpm)。さらに2825㏄SOHCディーゼル(RD28型、100ps/4800rpm)があった。

 トランスミッションは4速オートマチックのみの展開。サスペンションは先代からキャリーオーバーされた前がストラット/コイルスプリング、後ろがマルチリンク/コイルスプリング(4輪駆動仕様は4輪マルチリンク)となる。ブレーキは全車種4輪ベンチレーテッドディスクを標準装備としていた。1999年8月にマイナーチェンジして外観の一部を変更している。

8代目でさらに明確化された2系統の個性

 C35型ローレルは、スポーティーな個性の「クラブSシリーズ」と、上質を追求した「メダリストシリーズ」をラインアップ。先代と共通するシリーズ構成だったが、8代目ではより差別化を図ることで、個性を浮き彫りにした。

 フロントマスク回りは、クラブS系がクリアカバーの中に丸目4灯式のヘッドライトを持ち、グリルはブラック塗装のハニカムデザイン。メダリスト系は、マルチリフレクターヘッドライトに、外周部にメッキを施した斜め桟デザインのグリルを組み合わせた。ボンネットフードのマスコットもメダリスト系は従来同様に装備するが、クラブS系では非装備。精悍なクラブS、エレガントなメダリスト、といった印象のエクステリアに仕上げられた。

 インテリアではクラブS系がブラック基調のカラーで、シートはサイドのサポート性を持たせたスポーティーシート。ブラウンもしくはウォームグレーの内装色のメダリスト系は、快適性を優先したコンフォートタイプのシートだ。それぞれの個性を明確し、お互いの存在感を高めるシリーズ構成となっていた。
 34年間に渡ってローレルが位置したハイオーナーセダンのセグメントも、ミニバン市場の拡大とともにその市場を徐々に縮小、2002年8月に、シャシーコンポーネンツを共用するセフィーロとともに新型車のティアナに後を託してその生産を終えた。