ミラージュ 【1996,1997,1998,1999,2000】

シャープな造形とホットな走りを誇った5代目

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3タイプのボディを用意

 三菱初のFFハッチバック小型車として、1978年3月にデビューして以来、つねに新機軸のメカニズムや新しいスタイリングを世に問い続けたのがミラージュである。そのミラージュが「新世代ベーシックカー」を標榜して新型車にチェンジされたのは、1995年10月。車名のミラージュ(Mirage)とは、フランス語で神秘とかロマンチックなことを意味する。

 新しくなった5 代目ミラージュは、ボディバリエーションは3ドアハッチバックと2ドアクーペおよび4ドアノッチバックセダンの3車種があった。ただし、アスティのサブネームを持つ2ドアクーペは2カ月ほど遅れて発売された。駆動方式はフロント横置きエンジンによる前2輪駆動を基本とし、旧モデル同様VCU(ビスカスカップリング)をセンターデファレンシャルに用いたフルタイム4輪駆動システムを持つ仕様も設定されていた。トランスミッションは5速マニュアルおよび4速オートマチック(一部車種にマニュアルモード付きのINVECS-Ⅱを搭載したモデルもあり)が存在していた。

室内は旧型の造形を巧みに継承

 サスペンションは前がマクファーソンストラット/コイルスプリング、後ろがマルチリンク/コイルスプリングとなる。ブレーキは前がベンチレーテッドディスク、後がドラム(上級モデルはディスク)でサーボ機構を持つ。タイヤは185/65R14サイズをスポーティーモデルの標準とし、一部のホットグレードには195/55R15サイズが標準装備されていた。

 インテリアは基本的には旧型のイメージを色濃く受け継いでおり、センターコンソールから続くメータークラスター、変形3本スポークの革巻きステアリングなどは旧型のイメージを生かしたものとなった。つまり、基本的な部分は変更せず、新しい感覚を生み出し、同時にコストダウンを図ろうとしたわけで、その狙いは的中したと言っていい。

最強DOHCターボは205psを発揮

 搭載されるエンジンは多彩を極めることとなり、1.3リッターから2リッターディーゼル仕様まで、実に7機種を数える。ひとつのモデルで幅広い需要に対応せねばならない特殊事情を反映していた。

 ガソリン仕様では、排気量1298㏄の直列4気筒SOHC12V・4G13型(88ps/6000rpm)をベーシックとして、1468㏄の直列4気筒DOHC16V・4G15型(110ps/6000rpm)、1468㏄の直列4気筒SOHC12VにMVV(縦渦層状希薄燃焼システム)を持った4G15型(94ps/6000rpm)、1597㏄の直列4気筒DOHC16VにMIVEC(電子制御による可変バルブリフトおよびタイミング制御システム)を組み合わせた4G92型(175ps/7500rpm)、さらに、1829㏄のV型6気筒SOHC24V・6A11型(135ps/6000rpm)、さらに1834㏄の直列4気筒DOHC16Vにインタークーラー付きターボチャージャーを組み合わせた4G93型(205ps/6000rpm)があった。ディーゼル仕様は排気量1998㏄の直列4気筒SOHCにターボチャージャーを装備した4D68型(88ps/4500rpm)があった。

マイナーチェンジで大幅リフレッシュ

 1997年8月、ミラージュシリーズはマイナーチェンジが施され、内外観のリフレッシュが図られた。新デザインのマルチパラボラ式ヘッドランプ&リアランプなどの採用で、フロントおよびリアの印象を一新。新デザインのフルホイールカバーやアルミホイールの投入、新ボディカラーの設定なども話題を呼んだ。インテリアでは新シート地の採用が目を引くポイント。運転席エアバッグ、ABSが全車標準装備となったのも朗報だった。また、スポーツグレードの上級モデルに装備したレカロシートは、クッション奥行きを調整できる新タイプへ進化。内外観の大幅な変更、そして安全装備や機能装備の充実を施しながらも、価格の上昇は極力抑えられた。一部車種は価格据え置きとなった。

 2000年5月に車種統合と販売網の縮小が行われ、ミラージュシリーズはランサーシリーズに統合された。最後までミラージュの名を持っていたディンゴもその後に生産中止となってミラージュの名は消える。しかし、2012年8月にタイで生産される世界戦略車としてミラージュは復活した。今後の動きが注目される。