エクストレイル 【2007,2008,2009,2010,2011,2012,2013,2014,2015】

タフさに磨きを掛けた2代目本格SUV

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2代目は好評のスタイルを継承

 日産のSUVの主力モデルであるエクストレイル(X-TRAIL)は、2007年10月に第二世代へとチェンジされた。エクストレイルは、世界150ヶ国以上に輸出されているビッグセラーカーである。
 初代エクストレイルは4年連続でクラスベストセラーの座を獲得する成功作となった。それだけに2代目の開発は初代の美点を継承する方向でスタートする。開発コンセプトを「アウトドアスポーツを最大限満喫するためのタフギア」とし、初代以上に4WDを目指した。

 スタイリングやエンジンのラインアップは時代に即したものに変更された。ボディサイズは初代と比べて全長で135mm、全幅で20mm、全高で10mm拡大され、グリルの意匠やリア部分のデザイン変更などでひと回り大型化された印象となった。とはいえ、初代モデルとスタイリング上の大きな差はなく、エクストレイルらしさ溢れるスタイルにまとめていた。大きな変更はリアサスペンションがマルチリンクとなり、ホイールの位置が僅かに外側へ移ったため、リアのラゲッジスペースが拡大されたことだった。

瞬時に駆動力を調節する先進4WD

 フロントに横置きに搭載されるエンジンは当初ガソリン仕様のみ2種で、排気量2488ccの直列4気筒DOHC16バルブのQR25DE型(170ps/6000rpm)および、1997ccのMR20DE型(137ps/5200rpm)となる。トランスミッションは全車種CVTとなり、これに電子制御式の四輪駆動システム(日産ではオールモード4X4—iと呼ぶ)を組み合わせていた。

 新4WDシステムは、専用コンピューターがステアリングの操舵量を検知する舵角センサー/車両の旋回情報を判断するヨーレートセンサー/Gセンサーからの情報を瞬時に分析。ドライバーが意図するコーナリングラインを予測しながら、自動的に前後のトルク配分を調節すルインテリジェントタイプ。2輪駆動状態である前輪100:後輪0から4WD状態の57:43の間で、最適な駆動力の配分を行う。4WD移行への時間差が殆ど無いことが大きなメリットとなる。

 フルモノコック構造を持つエクストレイルのスタイリングは、各ピラーを太く仕上げた力強い印象のステーションワゴン型。フラットなボンネットとそれに続くフロントウインドウ、真っ直ぐに伸びるルーフがテールエンドまで達する。サイドウインドウは左右3つの6ライト。リアゲートは上方跳ね上げ式の1枚ドア。テールライトは比較的高い位置に付けられている。

室内は水洗いが可能。クリーンディーゼルも登場

 インテリアはライトクロカンとは言え、標準的な乗用車のそれを凌ぐほど豪華かつ充実したもの。シティオフローダーの一つの完成形であると言って良い。速度計やエンジン回転計を含むインスツルメンツパネルは、ドライバー正面に移動した。また、ラゲッジルームの床面には乗用車的な起毛のカーペットは用いられず、全体を水洗い可能なプラスチックトレイ化することで汚れに対する耐久性を向上させている点は新しい試み。さらにシートや天井にも表面を特殊な防水性のあるマテリアルでカバーして、水洗いや濡れても乾燥を早くするように配慮されている。エクストレイルの面目躍如という所。ラゲッジスペースは拡大され、荷室容量はクラス最大級の603L(VDA)を確保する。

 2008年9月には、新世代のクリーンディーゼルを輸入して国内販売を開始した。ルノーとの共同開発による直噴ディーゼルエンジンは排ガス規制のユーロ4や国内新長期規制もクリアするものだ。当初は6速マニュアルのみのラインアップだったが、2010年6月からは6速ATもラインアップに加え、幅広いユーザーニーズに応えた。ちなみにディーゼル搭載車は、欧州工場で生産された輸入車だった。

ダイナミックなCM展開。キーワードは“ノーリミット”

 2代目エクストレイルのCM展開は初代以上に鮮烈だった。第一弾のCMは“ノーリミット”というコピーとともに、プロスノーボーダーのトラビス・ライスさんが雪山を疾走する展開。まさにエクストレイルのタフさを象徴するシーンで構成されていた。

 第2弾ではプロファーファーの大野修聖さんがアマゾン川の逆流で豪快なライディングを披露し、オフロードを疾駆するエクストレイルとともに大注目を集めた。日本ではクルマのCMはソフトなイメージ広告が主流だが、エクストレイルは明らかに硬派な実証主義。優れた走破性を大自然のダイナミックな風景とともに描くストーリーは、見る者を魅了した。エクストレイルはCMも強いインパクトを持っていた。