NSX-R 【1992,1993,1994,1995】

スポーツスピリットを結集した究極MR

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NSXはスーパースポーツの新基準

 軽量オールアルミ製モノコックボディのミッドに、2977ccのV6DOHC24Vユニットを搭載。その秀でたポテンシャルを受け止めるための足回りと数々の快適先進機能を採用したNSXはスーパースポーツに新たな基準を提示する。速さ、緻密なドライブフィール、運転のしやすさ、そして高い信頼性は、世界の一級品と呼ぶに相応しいレベルに到達していた。

 1990年9月13日(翌14日に発売)のデビューから2年と2カ月後、NSXに新たなスーパーモデルが誕生する。NSXタイプRだ。チューニングの項目は多岐に渡るが、筆頭は軽量化である。それもただ減量するのではなく、クルマの重心を、車体の中心へ、また低部へと定位させるため、周辺部位から軽量化を実施。ヨー慣性モーメントや荷重移動の低減化を実現して走りを極めている。

Rは徹底した軽量化で走りをリファイン

 軽量化を説明しよう。バンパービームのアルミ化で8.79kgを減量。エンジンメンテナンスリッドのアルミフレーム&アルミメッシュ化では4.0kg、リアスポイラー素材の見直しで1.9kg、リアパーテーションガラスの1枚化が2.15kgの軽量化を生みだした。

 そのほか、レカロ社との共同開発の超軽量フルバケットシート、MOMO社製の軽量ステアリングホイール、ENKEI製超軽量アルミホイール、チタン削り出しシフトノブ、クラッチダンパー、フロアカーペット、トランクライニング材など数十項目の専用パーツを採用。これにより合計120kgにおよぶ軽量化を実現した。

 もともと軽量だったNSXからさらに120kgもの贅肉をこそぎ落としたのである。効果はてきめんで、加速性能をはじめブレーキ性能、コーナリング性能が一段と高次元なレベルに変化した。

高精度な仕上げでレスポンスを追求

 エンジンのファインチューニングも徹底して行われた。鏡面仕上げクランクシャフトの採用や、ピストン/コンロッドの重量精度向上などの品質管理によって各パーツのバランスを向上させる、レーシングエンジンと同じチューンアップ手法を選択。スムーズで力強い加速感を実現した。

 最高出力280ps/7300rpm、最大トルク30.0kg-m/5400rpmの2977ccV型6気筒DOHC24V(C30A型)のスペックそのものに変更はないが実力は大幅にアップしていた。パワーウェイトレシオは4.82kg/psから4.39kg/psにリファイン。また、ファイナルギアレシオは4.3%引き上げられ、4.062から4.235へと変更された。

足回りもレーシングスペック

 足回りのチューンは、「サーキットなどでのスポーツ走行がいっそう楽しめること」をメインテーマに実施。これまで以上の高いトラクションと操縦性を目指した。

 ダンパー、スプリングの強化はもちろんのこと、車高を1160mmへと10mmダウン。窒素とオイルを完全に分離した分離加圧式高応答ダンパーの採用やサスペンションブッシュ類のバネレートアップのほか、 キャンバー角/キャスター角などアライメントの見直しを実施。タイプR専用の新開発タイヤの装着や、LSDのプリセット荷重の変更、アルミパイプ補強によるボディー剛性の向上も行った。
 レーシングカーのチューニング理論を随所に応用したピュアスポーツモデル。それが、NSXタイプRだった。1992年11月より3年間生産。その後、NSXのマイナーチェンジを経て、7年ぶりの2002年に復活。後期型のNSXタイプRはさらなるポテンシャル向上で、究極のピュアスポーツモデルへと進化する。