アテンザ 【2008,2009,2010,2011,2012】

熟成を図った2代目グローバルカー

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新世代マツダを牽引したアテンザ

 イタリア語で「注目される」とか「思いやり」などを意味するattenzioneを基にした造語であるアテンザ(ATTENZA)を車名に持つ、マツダの新しい乗用車シリーズは2002年5月にデビューした。2.0および2.3リッターの直列4気筒エンジンを搭載したモデルで、伝統のブレンド、カペラの後継モデルと位置付けられていた。アテンザは6年後の2008年1月、フルモデルチェンジを受けて第2世代へと発展する。

 新生マツダを象徴する初代アテンザは世界で131万台が販売された大ヒット作となる。2代目は初代の実績をもとに、日本/欧州/北米/中国という4大マーケットのニーズを凝縮したクルマとして開発された。開発陣が目指したのは“スポーティなデザインの最高の高速ツアラー”。環境・安全性能の一層の高度化とともに、デザイン、ダイナミクス性能、パッケージング、クラフツマンシップなど、すべての領域にわたってアテンザらしさを一層際立たせることで、新世代へと発展させたのだ。とくにリニアかつ正確に応答するダイナミック性能の実現にはこだわっていた。

2代目もマツダ独自開発のグローバルモデル

 第2世代となったアテンザは、まず2007年9月にドイツのフランクフルト・モーターショーにヨーロッパをはじめとする海外市場への輸出ブランドであるマツダ6(Sei=イタリア語)のニューモデルとして発表、翌2008年1月から日本国内でも2代目アテンザとして販売が開始された。アメリカ向けのマツダ6も続けて発表している。ヨーロッパやアメリカの海外市場はもちろん、日本国内市場でも、最も競争の激しいクラスへ向けての新型車であったから、アテンザはマツダの総力を注ぎ込んだ力作となった。

 モデルバリェーションは5人乗りの4ドアセダン、5ドアハッチバックのスポーツ、5ドアスポーツワゴンの3種となっており、特にリアゲート付きの多用途車であるスポーツとスポーツワゴンを中心とした車種展開をしていたことが注目される。マツダはバンタイプのモデルとは縁が深く、1963年10月に発売された最初の本格的小型車であったファミリア・シリーズは排気量782㏄の水冷直列4気筒エンジンを搭載したファミリア・バンに始まっているのである。

ワゴンはダイナミックなスタイリングで個性を主張

 第2世代のアテンザのシリーズにも旧型と同様に本格的なスポーツワゴンと呼ぶワゴンが存在していた。ダイナミックな印象のスタイリングは旧型よりぐっと洗練されていた。車体寸法は全長4765㎜、全幅1795㎜、全高1490㎜、ホイールベース2725㎜と旧型に比べて一回り大型化されている。主に衝突安全性の向上を目的としたものであると言われる。

 インテリアのデザインは外観以上に大幅な変更が加えられ、円形のメーターは懐の深い独立したクラスターに収められ、ドライバーの視認性は大きく向上している。突起の無いなめらかな面で構成されるダッシュボードは、アメリカ的な雰囲気を持つが、この辺りの造形に、やはりフォードの影響を見ることができる。

4WDモデルは先進の6速オートマチック採用

 搭載されるエンジンは2種あり、いずれも直列4気筒DOHC16Vのガソリンユニット。排気量は2488㏄(170ps/6000rpm)と1998㏄(150ps/6500rpm)から選べた。ちなみに輸出仕様向けには1.8リッターのガソリン、2.0リッターおよび2.0リッター・ターボチャージャー付きディーゼルなどがある。トランスミッションは5&6速オートマチックと6速マニュアルの3種。4WD仕様は積極的なマニュアルシフトのメカニズムを盛り込んだアクティブマチックと呼ばれる6速オートマチックにグレードアップする。駆動方式は横置きエンジンによる前輪駆動と4輪駆動の2種となる。

 ワゴン仕様だからと言って、セダンよりも装備のグレードを落とすことはしていない。室内長も2030㎜と長く、後席のバックレストは分割可倒式だから、積載するラゲッジに応じた使い方が可能となっている。また、4輪駆動仕様の最低地上高は、2輪駆動仕様の140㎜に対して150㎜と若干高くなっている。オフロードでの走破性向上に貢献するはずだ。

足回りは骨太。レーダーを使用した安全デバイスにも注目

 サスペンションは骨太な設計で、前・ダブルウイッシュボーン/コイル・スプリング、後・マルチリンク/コイル・スプリングの組み合わせ。ブレーキは4輪ディスクで前はベンチレーテッド・タイプとなる。タイヤは215/45R18あるいは215/50R17、195/65R16サイズが設定されている。また、2.5リッター仕様にはDSC(Dynamic Stability Control =横滑り防止装置)やTraction control system(TCS)が標準装備される(2.0リッター仕様はオプション設定)。

 レーダーシステムを使い、後方から近付く他車を早期にドライバーに知らせるリア・ヴィークル・モニタリング・システム(Rear Vehicle Monitoring System)を日本で初めて搭載可能としたのも注目点。ステアリングのスイッチでエアコンディショナーやオーディオの操作を可能とするCF‐Netと呼ばれる新機構も採用された。車重はスポーツワゴンでは1450㎏から1590㎏となり(装備による違い)、このクラスとしては十分な軽量化を果たしている。

 4ドアセダンやスポーツと呼ぶ5ドアハッチバック同様に室内外の装備は豊富で、シートは本革張りと一部にファブリックを使ったハーフレザーシートのいずれかが選択可能。また、走行距離や外気温など走行時に必要な情報は、コンソール上部にセットされたインフォメーション・デスプレイにまとめて表示されるようになった。これは助手席からの視認性にも優れている。
 アテンザは使い易さとスタイルの良さを高い次元で両立させたユニークな国産車の1台である。