ホンダデザイン14 【2001,2002】

新世代プラットフォーム採用。革新パッケージの創出

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“ZENSHINキャビンフォルム”で仕立てた新スモールカー

 自動車メーカーの世界的な合従連衡が巻き起こり、生産台数規模や主要コンポーネントの共用化が大きな注目を集めた2000年代初頭の自動車業界。独自路線を選んだ本田技研工業は、新世代プラットフォームを使ったニューモデルを精力的に開発していった。

 2001年6月には、新世代スモールハッチバック車のフィットを発売する。基本骨格に新開発のグローバル・スモールプラットフォームを採用。燃料タンクを車体中央に配したセンタータンクレイアウトやショートノーズおよび懸架機構のコンパクト化による低床ビッグキャビンによって、高効率パッケージングを実現した。
 エクステリアは、“ZENSHIN(全身、前進、全新)キャビンフォルム”をコンセプトに基本骨格を活かしたワンモーションスタイルで構成する。各部の造形は特徴的で、フロント部はバブルキャノピーヘッドライトを配するなどしてスポーティな印象を、サイドビューは8ライトグラスエリアやマッシブなフェンダー造形などで開放感と力強さを、リアセクションはサイドから回したキャラクターラインやシリンダーデザインのリアランプなどで新鮮なイメージを創出した。

 内装デザインについては、ドライバーを中心にスポーティ&パーソナルを追求。“ダイナミックレイヤードスタイル”をコンセプトに、メタリックパネルやアルミ調独立3眼メーターなどを組み込んで高品質なキャビン空間に仕立てる。また、簡単操作で4つのモードを可能にした“ウルトラシート”を採用したことも訴求点だった。

都会的とアクティブの2種類のスタイルを提案した2代目CR-V

 2001年9月になると、クロスオーバーSUVのCR-Vが全面改良を実施する。基本骨格に新世代グローバル・コンパクトプラットフォームを採用した2代目は、シャープ&タフネスをテーマに外装デザインを構築。力強さを表現するプロテクトモチーフをボディ全周に配しながら、ボリューム感のあるノーズやキャビン部を引き締めるルーフガーニッシュ、骨太のピラー、上質な縦長マルチリフレクターリアランプなどを採用してよりクロスオーバーSUVらしさを強調した。また、ボディ同色のバンパーや大型テールゲートガーニッシュを組み込んだ都会派のフルマーク、ブラックカラーのバンパーや背面スペアタイヤを装備したアクティブ派のパフォーマという2つのタイプを設定し、多様化するSUVユーザーのニーズに応えた。

 インテリアについては、アクティブ&ファンクションをテーマにシンプルで力強く、かつ機能性に優れたキャビン空間を演出する。ウォークスルーをよりスムーズにする新デザインのインパネシフト(AT車)とインパネパーキングブレーキは、操作しやすい位置に設定。前席にはタフに使えるサイドプロテクトデザインシートを装着する。新プラットフォームを活かした利便性に優れるシートアレンジも、新型CR-Vのアピールポイントだった。

ユーロトラムをモチーフに外装をデザインした小型ミニバン

 2001年12月には、グローバル・スモールプラットフォームを採用した第2弾となる小型ミニバンのモビリオが市場デビューを果たす。エクステリアはバーチカルエモーションデザインを採用。欧州の路面電車をモチーフに、大きなグラスエリアがビッグキャビンを主張するサイドビュー、個性的で親しみやすいイメージに仕上げたショートノーズ、サイドまで回り込んだテールゲートによって、新鮮かつ都会的なスタイルを構築した。

 7名乗り3列式シートを組み込んだインテリアは、パノラミックなキャビン空間に仕立てられる。また、7モードを誇る多彩なシートアレンジや前傾ヒンジ&大開口のフロントドア、両側スライド式のリアドア、豊富な収納スペースなどを採用し、高機能で使い勝手に優れるユーティリティ性能を実現していた。

モビリオの高効率パッケージを活かしたマルチワゴン

 2002年9月には、グローバル・スモールプラットフォームを採用した第3弾で、モビリオの基本コンポーネントを使ってハイトワゴンに仕立てたモビリオスパイクを市場に放つ。外装デザインは個性的で凝縮感のあるメタル・インゴットスタイルで構成。重厚感を醸し出す極太リアクォーターピラーや4灯式ヘッドライトを配したシャープなフロントマスク、コンビネーションランプをバンパーに組み込んだスタイリッシュなリアビューなどによって、シンプルかつタフなイメージを創出した。

 インテリアは、ブラックを基調にしたタフ&クールなデザインで仕立てる。前席にはディンプル調ファブリックを使った大型アームレスト付ベンチシートを装備。パーソナル空間を際立たせるドリンクホルダーイルミネーションやスポーティなホワイト3眼メーターなども設定した。カーゴルームの使い勝手のよさも特長で、クラストップレベルの荷室容量を確保したうえで有効な5モードのシートアレンジを実現する。また、リア両側スライドドアにはクラス初のパワースライド機構とイージードアクローザーを採用していた。